まさか自分が「モラハラ夫」に?結婚10年目の筆者が失敗を経て「セックスレスなし」円満な夫婦関係にたどりつけた理由とは【後編】
課題を克服するために
「コミュニケーション」「コンディション」「自己受容」の3つの課題を克服する上でキーワードとなるのが「感情管理」です。
たとえば夫婦でコミュニケーションを図るのに、感謝や喜びや楽しさといったポジティブな感情をセーブする必要はありません。むしろおおいに共感して夫婦一緒に前向きでポジティブな感情を楽しむのがベストです。
しかし、怒りなどのネガティブな感情をダイレクトに表現してしまうのはよくありません。ただしここで重要なのが「怒るのはいけないこと」ではなく「不適切な形で怒りを表現することがいけない」という目線を持つことです。
つまり「自己受容」です。
別に怒ってもいいのです。失敗してもいい。怒りという自然な感情や失敗をありのままに受け入れましょう。不快なことをされたら怒るのがあなたや私ですし、それが人間の自然な姿です。何も不自然ではありません。
ただし、表現方法を工夫した方が予後がいいのは明らかです。
こうして自分の怒りや悲しみや悔しさや嫉妬や後悔といったネガティブな感情をありのままに受け入れ自己受容すると、コミュニケーションの質が上がります。
大半の人間は感情が不安定な人(感情処理が得意でない人)に対して警戒心や不安感を覚えます。逆に言えば、大半の人は安定感のある人を好む傾向があります。ですから、自分の感情が安定すれば必然的にコミュニケーションの質が上がるわけです。
コミュニケーションの質が上がれば、夫婦関係が良くなるのは自然なこと。暮らしの幸福度も向上するでしょう。
ストレスが減れば体調もよくなるかもしれません。
こうして感情と環境が整備されれば、「コミュニケーション」「コンディション」「自己受容」の3つの課題の達成が円滑に進行します。
理想の夫婦関係を実現するためのロードマップが見えてくるのではないでしょうか。
筆者夫婦の“いま”
私たち夫婦が出会ったのは、かれこれ15年以上も前のことです。
私達は出会って間もなく惹かれ合い、交際開始とともに同棲を始めました。長い結婚生活では、24時間365日のほとんどを一緒に過ごしてきました。今もそうです。
確かに、付き合い始めの頃のような初々しいパッションはなくなりました。
だからといって気持ちが冷めたわけではなく、むしろ人生の苦難をともにしてきた絆や、お互いに支え合い助け合ってきた信頼関係と感謝の気持ちは、交際当時の直情的な情熱や熱烈さなどよりもはるかに尊いものです。
我が家には二人の子がいます。陽気で明るい小学校3年生の長男と、食い意地が張りすぎて最近我が家で「美食太郎」というあだ名が定着しつつある2歳の次男。
子が生まれ親になると、我々夫婦も以前のような恋人然とした関係ではなくなりました。ライフスタイルも変わりますし、お互いの立場や役割も変わります。家庭を持つことであきらめなければならないことや、我慢しなければならないこともあります。
しかし、子を授かった幸せには代えられません。
今日も家族みんなで笑いながら食卓を囲める喜びには代えられません。
人生模様はこうして徐々に移ろい、春夏秋冬のような美しさや厳しさとともに変化していくのでしょう。
一方で、私には昔から変わらないものがあります。
それは、妻の幸福を願う気持ちです。
妻の素敵な笑顔で満たされていたいという私自身の幸福への欲求でもあります。
妻も同じように、私の幸福を願ってくれていると思います。
変わるものがあれば、変わらないものもあり。変わってしまうものもあれば、変えるべきでないものもある。
「芯は揺るがないこと」
それが、紆余曲折ながらも我々が心地よい夫婦関係でいられる理由であり、四季折々と同じく人間関係の自然な営みなのだと感じる今日この頃です。