「突然ハゲたらどうする?」…大好きだった帽子が「かぶらなければいけない」ものになった。「視線が怖い」医療用帽子〈体験談〉【専門医Q&A】

「たかが円形脱毛症でしょ」という視線

「多発型円形脱毛症」で、大きい脱毛斑は7cm程度。これが後頭部に3つ。側頭部、襟足など合わせて7か所+α。子どものころから剛毛・多毛・くせ毛・白髪……髪にはコンプレックスしかありません。それでも、3日おきに脱毛班が増えていく恐怖、髪を抜けていくことへの不安は筆舌に尽くしがたいものでした。

 

▶▶〈体験談〉頭皮注射30カ所、40代突然現れた「かじられたアンパンマン」

 

多発型円形脱毛症になり、日々感じることは「鏡を見るのが怖い」「視線が怖い」「うしろ姿を見られるのが怖い」「外に出るのが怖い」「人前に出るのが怖い」「心ない言葉がつらい」「おしゃれができない」「死ぬ病気ではないのはわかっているけど、根治はしないこと・再発率の高さへの絶望と不安」。

 

でも、直面した悩みは「脱毛した頭でどうやって⽣活していく? 仕事は?」という見た目に関するものでした。

 

脱毛は、きれいにツルっと抜けるわけじゃなく、まだらに、虫食いのように脱毛斑ができます。スキンヘッドのような美しさはありません。「脱毛班を見られたくない」という気持ちはもちろんありましたが、「脱毛斑を見るほうも気を遣う」と思い、まわりに気を遣わせないように、円形脱毛症になったことを伝えたうえで帽子で隠し、明るく振る舞っていました。「脱毛斑を人に見せないようにする」苦労がありました。家族でもショックを受けるかなと、家の中でも医療用帽子をかぶっていました。

 

▶▶【閲覧注意】40代、「多発型円形脱毛症」のリアル写真 はこちら

 

外見に症状が出る病気に罹患している人は、「普通」とは異なる外見ゆえに生きづらさを抱えがちです。がんサバイバー、円形脱毛症などヘアロス経験者にたくさんお話を伺いました。当事者は病気自体を隠したいと思っている人が大半ではないでしょうか。あえて自分から病気のことを発信なんてしたくはない。でも、仕事をするうえで人前に出るには”帽子をかぶらなければいけない”ので、伝えるしかありません。「たかが円形脱毛症で」という応対に傷つくこともありました。

 

病気にもランクがあったんだね」。これは映画『夜明けのすべて』の主人公、重いPMS症状を抱えている藤沢さんのセリフ。全頭脱毛なら、がん治療による脱毛ならOKですか?と思いながら、このセリフを何度もかみしめました。

©瀬尾まいこ/2024「夜明けのすべて」製作委員会

映画『夜明けのすべて』、生きづらさを抱えて働く人たちが少しだけ楽になる「意外とシンプルなヒント」とは?

 

 

 

自分の心と折り合いがついたら、「髪が抜けたんだ」「かじられたアンパンマンみたいになったよ」って言える。ヘアロスを受け入れるのには、それだけ時間がかかるんです。

 

 

>>こんな頭じゃ、外に出れない

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