「不倫はしょせん、まやかし」0才児がいるのに、不倫相手の元に逃げた借金まみれの夫。「土日のスーパーに行くのが辛かった」残された妻の悲哀
女性と夫が暮らす家に突撃
毎日お金のことを尋ねられる苦しさから逃れて、女性のところで暮らすようになった俊さん。そこに行けば、何もかも忘れることができたのでしょう。
しかし、離婚問題も借金問題も解決しなければ前に進めません。
「俊さんは車のローンを滞納していました。私が保証人になっていたのですが、代わりに払ったりせず放っておいたので、義両親のところにローン会社から連絡が行ったのです。幸いなことに、義理の両親は協力的でした。
多分、その時は女性にお金を使っていたのでしょう。同棲しているから生活費も入れていたでしょうし、あっちもこっちも回らなくなっていたと思います。
私は、義両親から居場所を突き止めてほしい、探していると伝えてほしいと言われました。住民票から住所を突き止め、多分ここにいるのではないかと話したら、突撃してほしいと言われて実行したのです。」
ひとみさんは、二人が暮らす家に予告なく訪問しました。
「俊さんが出てきて顔を見たとたん、分かっていたこととはいえカッとしました。
『あんた何やってんだ!お義父さんとお義母さん困っているんだよ!』と言ったことは覚えていますが、頭にきていたので何を話したのかあまり思い出せません。
その後、女性に会ったら、『私は、この人と生活していきます』と言われました。悔しいというよりも、わけが分からない感じでした。
あれから20年経ち、不倫のカウンセリングをするようになってから「心の勉強」をしたんです。すると、当時の私の態度が悪かったからそうなったんだな…と思うようになりました。
あの頃は人の心理についての知識がないので、ただ『意味が分からない! わけが分からない!』と思っていました。
サレ妻さんはみんなそうだと思いますが、不倫されていることが現実かどうか分からない、なぜこうなったのか分からないという状態に陥ってしまうんですよね。」
あの人たちは次元が違う
その後、ひとみさんは離婚に向けて動き出しました。俊さんに戻ってきてほしいとは思わなかったと言います。
「戻ってきてほしいなんて全く思いませんでした。どちらかというと、借金まみれの夫を引き取っていただいたという感覚でした。」
この日を境にひとみさんは、養育費の額を決めるなど本格的な離婚協議に入りました。
「別れたいというより、もう女性のところに住んでしまっていて、月に2回ほど洋服など必要な物を取りにくる程度。そんな日が2ヶ月ほど続いていました。
俊さんは私と別れたくてしょうがなかったので、私が『離婚したい』と言ったらすんなり承諾してくれました。
女性と暮らすのにお金が必要だったせいか、家にお金は一切入れてくれませんでした。
その頃、私は職場復帰していて、経済的にはそれでやっていけました。実の両親は車で4、5時間ほどかかるところに住んでいたので頼ることはできず、子どもは保育園に預けました。その分、両親は経済的には助けてくれました。
離婚成立後。相手の女性と話した時、次元が違うところにいるんだなと思いました。
彼女はシングルマザー。同じく“シンママ”になった私に向かって、『俊さんと一緒に借金を返していこうと思います。養育費もちゃんと払います』と言いました。
二人が離婚後に知り合って、たまたまそういう人を好きになったというなら、『勝手にどうぞ』と思います。ですが、わざわざ不倫してまで、借金まぎれの男性を選んだのかどうしても理解できません。
二人は別の次元にいるんだ、すごく低いところにいるんだな…と気づいて、一気に興醒めしました。」
ひとみさんは、不倫する人は不倫脳になってしまうと言います。
「頭の中はお花畑。相手しか見えない視界不良が起きています。
不倫あるあるですが、この人が運命の相手だと思い込んでしまって現実的な問題が頭に入ってきません。
逆境なので運命を感じやすくなり、もう二人は悲劇のヒロイン。戦争をしている隣の国の王子様とお姫様のようになってしまいます。私たちは結ばれてはいけない運命の元に生まれてきたけど、心から愛し合っているよね、みたいな感じになるのが不倫だと思うんです。
でも、結局二人は乗り越えられません。しょせんまやかしなので、その後に破綻します。
俊さんも相手の女性と再婚して子どもができたそうですが、数年後に風の噂で離婚したと聞きました。
女性は最終的には父親の違う二人の子どもを抱えてシングルマザーになってしまいました。それは運命でもなんでもなくて、因果です。不倫の結末、略奪愛の結末は因果応報。自分のところに返ってきます。
不倫して幸せになるというのは成り立ちません。世の原理原則として、人を傷つけて、人を踏み台にした上で幸せになるというのは成り立ちません。
カウンセリングをすると、皆さん、仕返ししてやろうと思うのですが、『あなたは仕返しする必要はない』、と伝えています。因果が起きている訳ですから、あなたを苦しめた、傷つけた二人は、人生のどこかで責任を取るべきだとご説明しているんです」