「鍵を開けて入ってくる人がいる」「敵を追い出す!」と玄関に座り続ける義母。知っておいて!「妄想」も認知症の症状のひとつなんです
「監視カメラで見られてる!」一気に加速する義母の妄想
田舎で暮らしていた頃は、「温泉好き」だったお義母さん。新しい住まいでも、最初は「お風呂場が綺麗でいいわね~」とうれしそうに言っていましたが、徐々に入浴や洗髪を拒否し、「お風呂は毎日入ってる」と嘘をつくように。その後、夫が時間をかけてお義母さんの“ホンネ”に迫ったところ、「お風呂に入らなかった理由」が分かってきました。
【義母がお風呂に入らなかった理由】
1.シャワーの使い方、お風呂の沸かし方が分からなくなった
2.浴室の雰囲気が怖かった(特に壁の色)
3.浴室に監視カメラが付いていると思っていた
3.については、24時間コールセンターにつながる「通報装置」を「監視カメラ」だと思い込み、「だってお風呂に入ってる様子を見られてるんでしょ。そんなの恥ずかしいじゃない!」と言って、激しく拒否。
さらに入浴以外にも「監視カメラで見られてる!」と、部屋の中央に置いてあったテーブルを隅の方へ移動させ(ここなら映らないという判断)、日中もカーテンを閉め、家の中でも落ち着かないようになりました。
恐らく、お義母さんにとって生まれて初めて目にする「通報装置」たるものは、“恐怖の物体”だったに違いありません。幾度となく「これは監視カメラじゃないよ」と伝えても、一度植え付けられた「負の記憶」が消えることはなく……。
ところが後日、お義母さんから元気な声で連絡がありました。
義母:「(マンションの)1階でお会いした方が親切でねぇ、『何か困ってることはありますか?』って言うから、カメラのことを聞いてみたの。そうしたら、『静かにしていれば、カメラに映らないから大丈夫!』って教えてくれたのよ。だから、できるだけ音を立てないように気をつけてるの」
夫:「……」
この“1階でお会いした方”については、その後も特定することができず、実際にそんな会話があったことすら、いまだに謎のまま。そしてこれ以降、お義母さんは音に対して敏感になり、「くれぐれも、部屋の中では静かにして!」とお願いされるようになりました。
「敵を追い出す!」という新たな目標で前向きに?
ある日、頼まれていた食品などを届けようと義母宅のドアを開けると、玄関にお義母さんが座りこんでいます。思わず大きい声が出そうになるのを抑え、「なぜここにいるんですか?」と聞くと、こんな答えが!
▶▶「私が見張っているの」訪問するたびに玄関に座っている義母に困惑