【離婚とお金】夫婦合算の年収が750万円の場合、「養育費」はいくらもらえる?「住宅ローン」の残金はどうなる⁉【行政書士が解説】

2024.10.12 LIFE

資産価値が購入時よりも下がっていることが判明

真央さんは「うちはいくらで売れるのかな」と思い、無料の査定を申し込むべく、駅前の不動産屋の門を叩いたのです。しかし、担当者がはじき出した金額は1,900万円。まだ住宅ローンは2,360万円も残っており、これでは460万円の赤字。460万円を現金もしくは借入で用意しなければなりません。

 

真央さんは愕然としましたが、「いや、おかしいでしょう。買ったときにリフォームしたんですよ。そのことが反映されてないじゃないですか?」と指摘。しかし、担当者は「いや、反映しています。かなり個性的な間取りにしたようですね。これじゃ、買いたいって言う人は限られますよ」と回答。

 

そこで真央さんは「いや、リフォームする前だって2,000万円の価値があったんですよ。それより安くなっているじゃないですか?」と質問。しかし、担当者は「お買い上げから5年が経過していますよね。いくらリフォームしても劣化する部分があるんですよ」と返答。

 

さらに「そもそも駅から徒歩で25分も離れていますよね。だから、お買い上げのときに安かったわけで……。今回もあんまり人気が出ないんじゃないかな。ただでさえ離婚した夫婦が住んでいたって縁起が悪いのに」とダメ押しされたのです。

 

そして、「ローンが残っちゃうのは頭金を入れていないから、ローンの期間がマックス(35年)だからですよ。途中で売ろうなんて考えちゃいけない物件なんです」と念押しをされ、真央さんは肩を落として帰宅するしかありませんでした。

 

マンションを購入したとき、真央さんは専業主婦。しかし、長男が小学校に上がったタイミングで働き始めました。現在は派遣に登録し、オペレーターとして活躍し、毎月20万円以上、稼いでいます。
それでも二人の子どもを抱える真央さんにとって460万円は大きな金額です。もちろん、同額の貯金を持ち合わせていないし、こんな大金を貸してくれる親戚、友人も見当たりません。そもそも夫が進んで購入したマンションなのに「なんぜ私が460万円も工面しないといけないの!」と憤ります。

 

 

夫のわがままで購入した物件のマイナス分。どうにかできる⁉

筆者は行政書士、ファイナンシャルプランナーとして夫婦の悩み相談にのっていますが、真央さんが筆者の事務所へ電話をかけてきたのは、マンションの件で出口が見えなくまった矢先でした。

 

結婚している間に築いた財産は夫婦の共有です。(民法762条)
真央さんは夫婦は結婚15年目に持ち家のマンションを購入しました。夫が10割の所有権を持ち、夫が債務者となって住宅ローンを組んでいます。真央さんは登記上の権利を持っていませんが、法律上は真央と夫の共有です。

 

しかし、離婚することで共有の状態は終わります。夫婦の共有財産を分け合わなければなりませんが(民法768条)マンションも分与の対象になります。夫婦の財産が預貯金だけなら分かりやすいです。仮に残高が500万円なら250万円ずつ分ければ良いからです。
しかし、マンションの場合、建物自体はプラスの財産ですが、一方で住宅ローンはマイナスの財産です。しかも、真央さんの場合、マンションを売っても利益は生まれません。残るのは460万円の住宅ローンだけ。
筆者は「住むところを失った挙句、230万円のローンを払ってと頼んでも、旦那さんは首を縦に振らないでしょう」と指摘しました。

 

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