「離婚してほしい」と夫から突然の三行半。水面下で10年以上続いていた「エコ不倫」とは

2024.11.01 LIFE

冷えていく夫婦仲

夫の豊さん(仮名)の浮気を知ったのは一人目の子どもが赤ちゃんだった時のこと。たまたま昔の携帯の電源を入れて、赤ちゃんにおもちゃとして与えたところ、女性とやり取りしているメールが見つかったのです。

 

その時は、反省文まで書いて、「二度と浮気しない」と誓った豊さんは、子どもの面倒をよくみてくれて、家にもちゃんと帰ってくるようになりました。育児に追われて、夫の浮気を気にする余力がなくなってきた真由美さん。気づいたら、夫との関係が悪化していたそうです。

 

相手の女性と豊さんがいつから付き合っていたのかは分かりませんが、少なくとも二人目の子どもが生まれた時には関係があったと振り返ります。

「夫は不倫もしていましたが、私との関係もあったので、3人目の子どもが生まれました。決定的な何かを見たわけではないし、確証もつかめないままだったのですが、徐々にこの頃から夫との関係が悪くなっていきました。

最初の浮気事件の時は、まだ多少なりとも気持ちが残っていたのですが、私の気持ちは完全に冷え切っていました。」

 

 

このまま離婚されたらヤバい

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真由美さんは、裁判で有利になるような証拠をつかめていない状況で、夫の方から離婚を切り出されたらまずいと思いました。

「子育てに追われて体力的にも精神的にも余裕がなくて、積極的に証拠を探すこともなかったのですが、何の証拠もない状態で夫が勝手に出て行ったら、数年後には離婚が認められてしまいます。

 

でも、養育費だけで逃れようなんてむしが良すぎます。子どもに対する責任は取ってもらわないといけないので興信所に相談しました。とりあえず法的に有効な証拠を押さえて、有責だということを証明する必要がありました。興信所も弁護士事務所も、納得できるところが見つかるまで数件当たりました。」

 

 

とにかく証拠保全!

興信所の人に調べてもらうと、女性は結婚していて、ちょうど真由美さんが第3子を出産した頃に離婚していました。つまり、当初はW不倫だったのですが、今は女性は自由の身でした。

 

真由美さんは、とりあえず証拠を押さえるために行動に出ました。

「弁護士にスマホに入っている証拠を全部撮影してくださいと言われたので、夫が寝ている間に指紋認証でスマホを開けて、私の指紋を登録しました。女性と写っている写真やメールを全部撮影してから、もう一度夫の指紋認証をして元の状態に戻しました。

 

怒りに震えながら何年か分のメールを見ると、豊さんは女性と泥沼の別れ話をしていることもありました。

年に3、4回別れ話をしていていました。相手の女性は二度妊娠していて、一度目はW不倫だったので中絶していました。夫が中絶費用を出さなかったので、そのことを責められていました。

2回目は流産したようです。『私の赤ちゃんを返して』『ケジメをつけろ』と言われていました。よくそんな女性と付き合うなと思いますが、二人は今も続いています。いつから続いているのか分かりませんが、10年以上続いていると思います。」

 

 

 「離婚してほしい」

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豊さんは、相手の女性が妊娠していた時に、「離婚してほしい」と何度も真由美さんに言いました。

「突然そう言われて驚きましたが、二人のメールを見ると、妊娠した女性に相当詰められて離婚を切り出したようです。女性には、『僕も離婚に向けて頑張っている』と返信していました。もちろん、私には不倫のことは隠したまま離婚してほしいと言ったのです。」

 

豊さんは、真由美さんが「推し活」をしているから離婚したいのだと言いました。

「私には好きなアーティストがいて、趣味で月に一度ライブに行っていたんです。それが気持ち悪い、気持ちが離れたから離婚してくれと言っていました。あいにく、私の気持ちは何年も前に離れています。

 

弁護士に言ったら大笑いしていました。

『ご主人が有責なので、理由があろうがなかろうが、ご主人からの離婚はできません。しかし、奥様が離婚したい場合はすぐに離婚できますよ。不貞は裁判所が認める離婚理由の一つなので』と言われました。」

 

 

ここまで来ると、夫婦ではあるものの気持ちはゼロからマイナスへ。真由美さんは、愛情のかけらもなくなったそうです。

「さすがにここまで来ると、気持ちの上では全く大丈夫。意外と平気でした。慣れたのもあるのか、夫が何をしても動揺しません。最初に浮気を知った時はショックで夜も眠れなくなりましたが、今は、すっかり冷めきっているので悩む理由がないのです。」

 

 

「離婚して」とは言わない。なぜなら…

ただ、真由美さんから離婚を切り出すことはありません。

「子ども三人を私一人で背負うのはちょっと重い。一人で一気に抱えるのは経済的に無理があります。

 

いくら養育費を貰っても、たいした金額ではないでしょう。三人が大学に入学するまでは、ちゃんと生活していけるよう、お金を出してもらいます。」

 

豊さんは相手の女性が流産してから、「離婚してくれ」とは言わなくなりました。しかし、出張や仕事を理由にほとんど家に帰ってこなくなりました。

 

真由美さんが不倫のことを知っているとは露ほども思っていないのです。

「平日はほとんど向こうの家にいるのですが、仕事だと言って帰ってきません。週末たまに家にいる感じです。

本当の出張もあると思いますが、9割くらいは女性のところにいると思います。たまに『どこのホテルに泊まるの?』と聞くのですが、そのホテルを調べたら閉館していたこともありました。嘘しかつかないのですが、本人はバレていないと思っています。」

 

 

夫の策略

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豊さんは、できたら不倫していることを隠したまま離婚したい、慰謝料など余分なお金も払いたくないと思っているようです。

「今は、なるべく私から『離婚したい』と言わせるよう仕向けてきます。冷たくしたり、無視したり、嫌われる努力をしています。

『もう好きじゃない』とか『家事をやり残している』とか、手当たり次第に別れたい理由を言ってきます。

 

豊さんは、極め付け、

『子どもたちには、お前が原因で離婚になったということは黙っていてやる。有難いと思え』、と言いました。

私は、とうの昔に嫌いになっているし、はっきり言ってもう小細工してもらわなくてもいいんです。夫婦間の愛情がなくなったことは分かっているので。

 

相手の女性は、どういうわけか結構稼いでいてお金があります。夫の服や小物も全部買ってあげていて、すごい貢ぎようです。

離婚したとしても慰謝料数百万なんてポンと出せるはずです。でも、夫は自分が悪者になりたくないから、バレないように離婚したい。正直に言えばそれで済む話なのに、やっていることが姑息です。

 

二人は、ケンカしながらも10年以上続いているわけですから、別れることはないでしょう。夫も女性に依存しているのだと思います。」

 

 

子どもが独り立ちするまでは

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真由美さんは、夫が浮気していると分かっているのに、黙っていることが苦しくなることもありました。でも、今は振り切れています。

「予定では、末っ子が大学に入学するまで離婚しないつもりです。あと7年くらいの辛抱です。

毎日家で顔を合わせていたら耐え切れないかもしれませんが、最近はずっと家にいませんし、土日も出張とか言って相手の家に入り浸りです。洗濯物も向こうでしていますし、私が夫の世話をすることはほとんどありません。

 

子どもたちも父親がいなくても寂しがらないんです。いきなりそうなったわけではなくて、だんだん帰ってこなくなったので、そういうものだと思っているのかもしれません。子どもたちは子どもたちで忙しくしていますし、パパがいなくて寂しいなんて聞いたことがありません。

 

でも、私は子どもたちには気を遣っています。楽しい家にしたいので暗い話もしないし、夫の悪口も言ったことはありません。もっとも、夫の話自体しないので、話題にのぼることもありません。子どもたちは子どもたちで楽しく暮らしています。」

 

真由美さんは、離婚して新しいパートナーを探す気もないと言います。

「子どもが独り立ちするまでは、絶対に恋愛や再婚はしません。子どもが一番大事ですし、第一そんな時間がありません。離婚後も特にそういうことは考えていません。ベストな選択ではないかもしれませんが、より良い選択かなと思っています。」

 

 

エコ不倫

ほとんど家に寄りつかない豊さんですが、生活費や子どもにかかるお金は出してくれるそうです。

「夫が隠しているお金があることは知っていますが、給与明細も毎月もらっていますし、実質的には財布は私が握っています。

 

もし、夫が財布を握っていたら離婚したかもしれません。笑っちゃう話ですが、それも相手の女性の財力のおかげです。かなり貢いでくれているのですが、夫は、『あなたに今までに使った500万、600万を返して』と言われています。

返せるはずないし、そんなことは私には全く関係ありません。私に言わせれば、全く家計に響かない『エコ不倫』です(笑)」

 

 

真由美さんは、不倫の厳罰化ができないなら、せめて不倫の回数に応じて慰謝料増えるようにしてほしいと言います。

「母にも言われたのですが、一度不倫をした人は、また繰り返します。2回目以降は都度倍額になるとかしてくれたらいいのに。相場が安すぎて離婚できないんです。このまま待つしかありません。」

 

真由美さんは、夫の不貞を知っているとも言わず、黙って形だけの夫婦を続けています。

 

 

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