「老いは誰にでも平等に訪れる」頂点に上り詰めた道長、衰えはじめる彼の力。愛する人がいるから生きられる!?【NHK大河『光る君へ』#42】
病で倒れた道長。道長とまひろの「川辺の誓い」とは
まひろは道長が病に伏せていると百舌彦(本多力)から聞き、道長が休息している宇治にかけつけました。まひろはぐったりとしている道長を目にします。
まひろの誘いで、ふたりは川辺を歩くことに。道長とまひろはお互いに現在の心境を口にします。
「早めに終わってしまった方が楽だという お前の言葉が 分かった」
「今は死ねぬと 仰せでしたのに」
「誰のことも信じれぬ」「己のことも」
「もう よろしいのです」「私との約束は お忘れくださいませ」
「お前との約束を忘れれば 俺の命は終わる」
[中略]
「私も もう終えてもいいと思っておりました」
権力争いで疲れ果て、身体の調子も悪い道長は死を考えるように。一方、まひろも娘の賢子(南沙良)が成長し、光る君の物語も終わり、彰子(見上愛)も強くたくましくなったため、人生をそろそろ終えてもよいと思っているところでした。まひろはかつて口にしていたように「私は私らしく自分の生まれてきた意味を探してまいります」(13話)という言葉を現実のものとしていたのです。
まひろは道長に「この川で 2人流されてみません?」と提案しますが、彼の返事は「俺より先に死んではならぬ」というものでした。
まひろは「ならば…道長様も生きてくださいませ」「道長様が 生きておられれば 私も生きられます」と応えます。
川辺でのふたりの姿は晩年を感じさせるもので、若さが衰え、かつてのようなキラキラとした輝きには靄(もや)がかかっています。自分たちの夢を実現するために精一杯生き、この世界の苦しみも悲しみも味わいつくし、死と向き合うステージに到着したからです。
この世界は厳しく、残酷ですが、それでも前を向いて生きていけるのも愛する人の存在があるからなのかもしれません。まひろと道長は身体の距離は離れていても、出会ったあの日から心は赤い糸で結ばれており、お互いを感じながら生きてきたのです。
▶つづきの【後編】では、道長の体調不良が描かれていた42話。平安時代の人々はどのような病いに悩まされていたのでしょうか? 平安貴族ならではの「病気」についてお届けします。__▶▶▶▶▶
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