あの人はもう、結婚しちゃいましたか?-42歳・絵美の場合(2)-【40女の恋愛事情・story3】
どうしてついていかなかったのだろう。
何年も経ってから、何度も何度も後悔した。
あの頃の私は若く、これからも素敵な出会いがいっぱいあると思い込んでいた。
そんなことは、なかったのに。
吉野さんほど好きに思える男の人には、あれから一人も出会っていない。
本当に好きだったのに、どうして、ついていかなかったんだろう。
あの頃の私は仕事をしてみたかったし、自分がどこまでできるか試したかった。
吉野さんのサポートに回るには、ワガママすぎたのだと思う。
今だったら、違う。
彼のために潔く仕事も辞められる。むしろ、辞めたい。
彼と一緒に海外に行ける。むしろ、行きたい。
自分の仕事での限界もわかったし、もう十分頑張ったと思うから、あとの人生、誰かと一緒に、誰かのために生きてみたい。
気づくのが、あまりにも遅かったけれど。
彼のSNSは、彼の意思で不特定多数に公開されているものではあるのだけれど、なんだか人の家を覗いているような、いけないことをしている気持ちになってしまう。
彼のステータスを見るのが怖かった。
既婚となっているに、違いないのだから。
でも、今、どうしているのか、知りたい。
彼の笑顔を見る。
笑いジワが増えて、前よりも顔が浅黒い。
優しそうで、モテそうな、素敵な40代になったのが、わかる。
対して私は、どうなのだろう。
スマホのセルフカメラを見る。
ひたすら意地を張って仕事を貫いてきて、疲れた顔がそこにある。
恋も、友達とのおしゃべりも、部屋でのリラクゼーションも、趣味も。
全部、仕事のために時には切り捨ててたり諦めたりしてきた。
仕事を最優先にして生きてきたから、顔つきが固い。
彼のように、落ち着いて、真っ直ぐな笑顔になれない。
どこか不安げで自信なさげな顔になってしまう。
この記事は
作家&エッセイスト
内藤みか
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