「ぼく、食べ物が飲み込めない……」突然の不登校。行き着いた「子どもの受け止め方」と「周囲との支え合い方」とは
家族という殻の中で向き合い続けるのは行き詰まるから。「隣に、遠くに、どこかに、誰かがいる」という心の支え方
互いの考え方を吸収し、コミュニケーションを重ねながら、混乱と葛藤の先に新たな「家族のカタチ」を見つけたゆうさん一家。そこに至るまでは、家族4人の枠を越えた周囲からの支えも多くあったようです。
「あたたかく声をかけてくれたママ友の存在は、ありがたかったですね。一時期、私たちが不安で閉じこもっているような時に『大丈夫?』『最近どう?』と語りかけてくれる一言は、大きな救いになりました。長男と仲が良い友達が毎朝誘いに来てくれたり、『今日俺んち泊まりなよ!』と声をかけてくれることも多かったのですが、その背後には親であるママ友の理解と気遣いがあるはず。息子のことも、私のことも、何度も孤独から救い出してもらいました」。
さらに、“ご近所”という枠を越えた支えは、また違う効果ももたらしたようです。
「長男が不調になり始めた頃、学校外のつながりで仲良くしていたパパ友が、長男の話をじっくり聞いてくれました。その時、長男の口からぽろっと『学校は不自由』という言葉がこぼれたそうなんです。不登校の原因を推測するヒントは、この単語だけ。それでも息子の繊細さや察しやすい部分を踏まえながら『自分の望まないタイミングとペースで、物事を進めることが苦しいのだろうな』『本人にとって有意義だと感じにくい学習方法が苦痛なのかな』と推測することはできます。おかげで、苦しみに寄り添う大きな手掛かりを得ることができました。
息子にとって、友達などの“横のつながり”ではなく、親や先生といった“縦のつながり”でもない。日常生活では接点も利害関係も少ない“斜めのつながり”にしか話せないことってあるんですよね」。
一方、ゆうさん自身にとっての“斜めのつながり”の存在も――。
「困難な状況下では、やはり当事者でないと話しにくいことや分かり合えない部分があることは、どうしても否めません。その点、私は手帳を軸としたオンラインコミュニティで、運よく同じような悩みをもつ方に巡り合えました。毎日愚痴って傷をなめ合うわけでもなければ、リアルに顔を合わせるとも限らない。でも、当事者の何気ない一言からにじみ出る思いに共感して救われたり、踏ん張れたりすることって、とても多いんです」。
今、それぞれの場所で同じようにがんばっている人がいる。そう思えるだけで、大きな励みになる――と、ゆうさんはにっこり笑います。
さらに、支えは“人間”だけとも限りません。
「少し前から、猫を飼い始めたんです。以前から興味はあったものの、なんとなく先延ばしにしていて……でも『もしかしたら何かいい影響があるかもね』と夫と話し合い、保護ネコを2匹を迎え入れました。それ以降、長男の状態がグンとよくなったことを感じます。
一体なぜだろう?と考えてみたのですが……長男は、圧倒的に猫を受け入れる体制なんですよね。『自分がこうしたい』ではなく、どうしたら猫が幸せに過ごせるかという一点にフォーカスしているとでも言いましょうか。猫が幸せでいることを大切に考えた結果、猫がすごく幸せそうで、それを見ている長男は幸せで心が満たされる――そんな循環が彼の心を癒すのだと思います」。
家族や世界を、うれしいカタチに1ミリでも変えたいから。伝えずに諦めるより、たった1つでも伝えることを選びたい。
時に困難と向き合いながら、大切なものを大切にするために変化してきたゆうさん一家のカタチ。いま改めてゆうさんが感じる「幸せの瞬間」とは、一体どんなものなのでしょう?
――その問いに、ゆうさんはにっこりと、そして迷わず「日常そのもの」だと答えてくれました。
「夫の独立以前は、休日に家族全員で出かけることが多かったんです。キャンプに行ったり、公園に行ったり……みんなで遊ぶのが、ものすごく楽しかった。ところが夫の独立後は、アウトドア事業のオンシーズンともなると夫はその運営に行ってしまいます。週末を迎えても夫は不在で、小学生になった子どもたちは友達と遊んでばかり。気づけば私は一人になることが増えて、なんだかつまらないし、煮詰まる時期がありました。
そういう変遷に加えて、長男の不調もある今思うのは、今こうして家族4人で揃う日常って、当たり前じゃないんだなって。くだらないことを言い合ってみんなが笑って、家の中でギャーギャー騒いでいる――これが私にとっての幸せそのものなんだな、って思うんです」。
丁寧なチューニングを重ねながら、既に円満な「家族のカタチ」を手にしているように思えるゆうさん。率直に話し合える夫との関係がとてもまぶしく映ります。そんな夫婦のカタチに一歩でも近づくためのヒントを聞いてみると、少し考え込んだあと、次のように話してくれました。
「……『こういう夫婦になりたいんだ』という思いを、恥ずかしがらずに伝えること、ですかね。
私は、手帳を生業にしている分、ユーザーの方から人生についての悩みなどを聞く機会も多くあります。そこで出てくる代表的なものが、パートナーへの不満なんですよね。でも、その言葉を裏返すことで、自分の願望や理想の手がかりをつかめると思うんです。
たとえば『私に家事を任せっきりで腹が立つ』なら、それは『パートナーであるあなたと協力して生活したい/もっと私を大切にしてほしい』というメッセージの表れかもしれない。『私の話を全然聞いてくれない』といういらだちには、『寂しい/一緒にチームになりたい』という気持ちが隠れているかもしれない」。
ゆうさんがこのヒントを伝えたいと思うのは、自らの試行錯誤の道のりがあるからなのだそう。
「“不満の裏側にある本音”に気づけたとしても、口に出して切り出すのはものすごく勇気が必要ですよね。素直な気持ちを伝えることは、私にとっても難しく、時には怖いこともありました。うまく伝えられず、夫を傷つけたことも少なくありません。
そんな痛みとともに、学びとして心に刻まれたのは、『伝えないと溝は埋まらず、関係は変わらない』。それはつまり『伝われば、関係は少しずつ変わる』ということ。そんな経験と実感があるからこそ、『勇気を出して伝えてみて!』とあえて言いたいんです。――10回伝えたら、2回くらいは相手が拾ってくれるかもしれない。何も伝えないよりは、きっといい未来につながるはずだから」。
スポンサーリンク
【注目の記事】
- 40代50代には「骨活」と「腸活」どっちも大事!「どっちもできちゃう」森永カルダスヨーグルトのヒミツとは
- ゆらぎ世代は健康の見直し時期。自分のことは後回しになりがちだからこそ取り入れたい毎日の腸活&骨活習慣
- 40・50代スタイリスト・編集部員が「全買い替え」を決意した優秀すぎるブラ。「試着なしでOK」「着やせ」「つけている感覚なし」夢のようなブラがあります!
- 40・50代に告ぐ!「なんだか調子がゆらいできたな」と迷う人に「ララフェム」が推せる理由って?佐々木千絵さんが試したよ
- 50代、甘いものを我慢しない。私たち「ゆらがない世代」が考える、暮らしのちょっといいコト
- 70代までやりがいをもって働ける有望資格「保育士」が学費負担ほぼゼロで取得できる?JR蒲田「学研アカデミー」が評判のワケ
- 白髪に悩む40代、50代必見!自宅でムラなくきれいに染めるために知っておきたい「意外と見落としがちなポイント」とは?【毛髪診断士が解説】
- 「実は結構こわい歯周病」40代50代女性が知っておくべき「歯みがき知識」を歯学博士・倉治ななえ先生に聞きました