
「大宰府」は雅な都の暮らしを支える場所だった。平安時代、中国経由で日本に入ってきた贅沢品とは?
宣孝も乙丸も愛する女性の大宰府土産に「紅」をチョイス。まひろが「茶」の苦みに顔をしかめるシーンも
「光る君へ」には大切な人への贈り物として紅(口油)が登場しています。かつて、宣孝はまひろに大宰府の土産として紅を贈っていました。本放送では、乙丸がきぬに紅を贈るシーンがありましたね。
乙丸(矢部太郎) きぬ(蔵下穂波) 大河ドラマ「光る君へ」 47話(12月8日放送)より(C)NHK
前回の放送回には乙丸が紅をうれしそうに購入するシーンもありました。このシーンでは、乙丸が売り子の女性から使い方を教わっていましたが、この女性は下唇にのみ紅をつけていました。当時、紅はこのように下唇のみにつけるのが一般的だったようです。
平安時代、紅は高価なものであったため、誰もが手にできたわけではありません。当時の紅は中国経由で入ってきたもので、紅花の色素を乾燥させたものでした。
また、前回の放送回ではまひろが隆家(竜星涼)から茶を出され、その味にとまどい、顔をしかめるシーンがありました。茶は平安時代、鎌倉時代に中国から渡来したものですし、大宰府では外国人の接待も行われていたので、この地では常備されていたのかもしれません。
都で茶を飲んだ記録としては、遣唐使の永忠が「嵯峨天皇にお茶を煎じた」という815年頃の記録があります。紫式部の時代においては都で茶を口にできる人といえば、天皇や宮廷の儀礼に参加する上流貴族に限られていました。
私たちにとって身近な紅も茶も中国から入ってきたもので、かつては稀少かつ高価なものだったのです。
参考資料
大森正司『おいしい「お茶」の教科書: 日本茶・中国茶・紅茶・健康茶・ハーブティー』PHP研究所 2010年
地域批評シリーズ編集部、 岡島慎二、 土屋コージン『日本の特別地域 特別編集72 これでいいのか 福岡県』マイクロマガジン社 2016年
山下景子『日本美人の七十二候』PHP研究所 2016年
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