「本当に大事にしないとならないことができなくなった」ある日突然円形脱毛症に見舞われると何が起きる?【円形脱毛症体験記】#10
髪を失う恐怖、ウィッグに振り回される日々
最初のころは髪がごそっと抜けてしまうことがやっぱり怖かった。半年で髪の3分の2が抜けました。自分が壊れていくような感じ。治療しても、髪は生えないし、脱毛斑は新しくできる。
ヘアロスの人でスキンヘッドにする方もいますが、剃るというのは怖くてできなかったですね。自分じゃなくなるような気がして。
医療用帽子は、見た目に抵抗があって試していませんが、普通の帽子でカバーしたこともありました。でも頭皮に生地が当たってチクチクするんですよね。
フルウィッグの医療用ウィッグをしていた時期もありました。約10年前ですが、当時は部分ウィッグってあんまりなかったように思います。フルウィッグよりも高くて、オーダーできるメーカーで見積もりしてもらったら40万円くらいした覚えがあります。人毛も人工毛も使いましたよ。結局、いいところも、悪いところもわからないから色々買うしかなかった。
でも、ウィッグをしていると、どうしてもウィッグが気になっちゃうんです。子どもを公園に連れていきたい、目いっぱい子どもと一緒に楽しみたいのに、「ウィッグが暑いから早く帰りたい」とか、「ブランコに乗るとウィッグずれるかも」とか。自分のこと、ウィッグのことでいっぱいになるんです。「なんでこんなことに振り回されなければいけないんだろう」「本当に大事なものを大事にできなくなっているのでは」と思うようになりました。
また、もともと肌が弱いので、医療用ウィッグで蒸れたり、頭皮をかいてしまったりで肌荒れしちゃったんです。ウィッグは頭皮環境にもよくないなと思いました。
次のページへ▶▶「あ、私、女子だった」。久しぶりにかわいいと褒められて私の気持ちが変わった。ウィッグではなくスカーフという選択
写真提供:すべて角田真住さん
■角田真住
合同会社アルモニア代表 。37歳のときに多発型円形脱毛症を発症。自身の経験経験を同じ病気に悩む女性のために生かしたいと合同会社Armonia設立。円形脱毛症による脱毛だけでなく、抗がん剤の副作用による脱毛など、治療や疾患で見た目に悩みを持つ方に向けたヘッドスカーフのブランドを立ち上げる。脱毛症への理解を進めるため、講演活動も精力的に行う。ヘッドスカーフブランドHP:LINOLEA (scarf.official.ec)
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