「30分泣いて、残りの30分で母親の顔に戻って帰宅していました」乳がん当事者が「自分に必要だった」ウィッグを開発して起きたこと【乳がん体験談】#2
病気を正しく知ることで、正しく治療できる
今年、人材紹介コンサルに転職。起業だけでなく、兼業でキャリアを積んでいます。また、遺伝性乳がん卵巣がん当事者会にも参加。
「がんサバイバーとして、社会復帰して起業したロールモデルになれたらと思います。女性として、同じ体験をした女性が前向きになっていけるような発信をしていきたいですね。
2015年遺伝性乳がん卵巣がん症候群当事者会の特定非営利活動法人「クラヴィスアルクス」に姉と参加しました。
現在は姉が副理事を務めています。私の娘は現在23歳、姉の娘は20歳。現在はふたりとも母親が乳がんであること、遺伝性乳がん卵巣がん症候群であることを知っています。娘には高校入学後に伝えました。まだ遺伝学的検査は受けてはいません。遺伝の確率は50パーセントと言われています。
遺伝性乳がん卵巣がん症候群の場合、進行も早いため亡くなる方も多い。でも、 遺伝学的検査は簡単にはできないんです。家族歴でリスクが高い人から優先して、病院側が検査できるかどうかを決めていると聞きます。娘には、近いうちに検査を受けた方がいいこと、知ることが大切なこと、遺伝カウンセリングをすすめています。
私たちにできることは、がん治療への恐怖や、未来への不安をなくすこと。髪が抜けるのが嫌で抗がん剤を拒否したり、全摘出を拒否して命を落としてほしくない。年齢が若いほど、将来のことを考えて判断を誤ってしまうケースもあると思います。正しく知れば、正しく治療できます。そのために、当事者としての情報を発信することで、治療までのタイムロス、悩む時間をなくしたいと思っています」
野中さんはがん患者の家族の立場も、がん当事者も経験しています。パートナーや家族に求めることはどんなことでしょうか。
「一緒に泣かれるとつらいですね。目先のことではなく、がん当事者の目線を上げるコミュニケーションをしてもらえたらと思います。正直、気持ちは本人しかわからないこと。いっしょに落ち込むのではなく、2年後旅行しようよなど先のことを話してほしい。望むことも正直に言ってもらったほうが楽だと思います」。
人毛100%の部分ウィッグは、更年期の薄毛や白髪に悩む女性にも人気だという。注文後、美容師が自毛になじみやすくカットし、指定のカラーリングがされた状態で届く。ナチュラルにボリュームアップすることができ、さまざまなアレンジが楽しめます。ホルモン療法をしている方や更年期障害で薄毛や脱毛に悩む方に、人毛ウィッグは手軽で自然なものであるということが広まっていくことを願っています。
<<前編:「遺伝する乳がん」を知っていますか?もし私が、あなたが、姉妹がそのがんにり患したら何をすればいい?次の話▶▶乳がん治療「抗がん剤だけではなくホルモン療法でも髪が抜ける!?」がんそのものより辛いのは「脱毛」だった 1月8日 21時 更新
写真提供:SUMIKIL
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