ギャンブル依存症の夫に振り回され、長男は不登校に…。普通の家族じゃなくてもいいから楽しく暮らしたいのに(後編)
グレーゾーンは辛い、はっきりさせたい
遠藤さんの夫は、病院でWAISという検査を受けて広汎性発達障害(当時)と診断されました。一方、長男は、WISC検査と他にも3、4種類の検査を受けても、コアなアスペルガー(ASD)ではないと言われました。
「発達障害ではない、普通の子どもとして接したらいいのかどうか聞いたのですが、そこは答えてもらえず、はっきりと診断はつかないけれど、支援が必要な子ですと言われました。でも、私は、はっきりさせたかったんです。育児をどういう方向性でしたらいいのか分からず、『この子は本当にグレーゾーンなの?』という疑問を持ち続けていました。最終的に、『この子はアスペルガーだ』、と自分に言い聞かせて納得しました」
双子は3歳の頃に保健センターで新版形式発達検査を受けましたが、それほど発達に大きなアンバランスは見られず、発達障害と言える状態ではないと言われました。
「子どもと一緒にいる時間を大切にしたかったので2年保育にしたかったのですが、集団適応ができるか様子を見た方がいいということで3年保育を勧められました。長男のような困り感はないので、精神科に通院したことはありません」
理想の家族ではないけど、不幸ではない
夫の状態は、今は落ち着いているといいます。遠藤さんは、とりあえず今の暮らしを楽しく続けていきたいとずっと思っています。
「私には、結婚するときに思い描いていた 家族像や夫婦像がありました。ごく普通のものなのですが、それを実現するのはもう無理なんだなと思って、長年かけて少しずつ現実を受け入れてきました。普通の暮らしは無理だから不幸かというと全くそんなことはなくて、自分が思っていた形ではないものができてきた気がします。今は、その形ができあがる過程にいるんです。
隣の家族とか周りと比べてしまうと、夫と接するのもだいぶコツがいりますし、子どもたちも普通の子どもとは少し違います。でも、それは悪いことではありません。コツを覚えていて楽しく生きていきたいと思っています。
コツというのはすごく小さいことなのですが、例えば、パソコンの設定が分からなくて夫に尋ねたときにちゃんと教えてくれるとか、そういうところから話が広がればいいなと思います」
昔はそういう関係性がなくて、自分に興味を持ってくれないことが寂しかったという遠藤さん。最近「ZOOMってどうやるの?」と夫に尋ねたら、嫌な顔一つせずに、当たり前のように設定してくれたのだと嬉しそうに言います。
「私は、何か失敗しても夫に一度も責められたことがなくて、そういうのはすごくいいところだと思っています。こうして夫のいいところを見ていくようにするのが、私のコツです。『私が思うやり方ではないからダメだ、終了!』というのではなくて、『夫にはこういういいところがある』と考えるようにしています」
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