「病気も全部代わってあげたい」母は言った。すい臓がん末期の父が「別にどこか痛いとか、気持ち悪いとかじゃない」それでも、苦しんだ3つの症状とは

「これまでの経験が活きている……」感じながら、在宅療養の準備がスタート!

「すい臓がん」で余命3ヶ月を宣告された父。すでにがんは広がり、主要な血管や神経に浸潤しているため、大きな手術は難しい。年齢的に手術や化学療法は体の負担になることから、「何もしない」という選択肢もある。そんな医師の言葉を聞き、父は「抗がん剤治療はせず、住み慣れた家で、このまま穏やかな時間を過ごす」という道を選びます。

 

当初、その考えを受け入れられなかった私は、何とか治療を受けてもらおうと説得を試みますが、父の気持ちが変わることはなく……。もどかしい想いと焦り、不安な気持ちに押しつぶされそうになりながら、気が付けば「すい臓がん 治る 奇跡」といったワードでネット検索。「がんが治る水」「がんが消えるサプリメント」など科学的根拠のない情報も目にし、本気で購入を考えてしまうほどでした。

 

しかし身近な家族や友人、父がこれまでお世話になっていた総合病院の「緩和ケア認定看護師」(※1)らの支えにより、ようやく父に寄り添う決意が固まります。「残された時間が、あとどれぐらいなのかは分からない。でも後悔のないように一日一日を大事にしよう」と決め、前を向いて歩けるようになりました。

(※1)日本看護協会の認定を受け、緩和ケア分野における熟練した看護技術と知識を持つ看護師。 看護師として5年以上の実務経験と、認定看護分野における3年以上の経験が必要。

 

気持ちを切り替えて改めて気付いたのは、「やるべきことがたくさんある」ということ。さっそく翌日から、父が在宅で療養するための準備を始めます。優先したのは、「介護保険サービスの利用申請」「(在宅療養がしやすいように)自宅の環境を整える」ことでした。

 

このとき私は、「お義母さんの介護をしてきて良かった」と実感します。介護サービスの手続きはもちろん、介護用品を選ぶにしても、お義母さんのところにあったカタログを目にしていたことで、スムーズに進めることができた。「これまでの経験が活きている……」と感じた瞬間でした。

 

▶母は言った。「代わってあげたい! 病気も全部、私が代われたらいいのに」

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