「ごめんね、ママ」モラハラ父を選んだはずの娘が、母のもとへ戻ってきた理由
「もう一度、母の元へ」長女の変化と再会
夫のモラハラターゲットに長女がなったと知り、Eさんは胸が張り裂けそうになりながらも、すぐに娘を迎えに行きました。
「ごめんね、ママ」
長女がそうつぶやいた瞬間、Eさんの目から涙がこぼれました。長女は少し痩せ、目には力がありませんでした。
最初はぎこちなく、気まずさを隠すような態度のままEさんに話しかけてきた長女。しかし、その表情には「甘えたくても甘えられない」ような戸惑いがにじんでいました。
モラハラ家庭で育った子どもは、加害者である親に標的にされないようにと、被害者である親を否定することで「自分は正しい側にいる」と思い込もうとします。長女もまさに、その葛藤の中で揺れていたのでしょう。
心理学には「認知的不協和」という言葉があります。これは、自分の価値観と現実の行動にズレがあるとき、人が強いストレスを感じる状態を指します。長女は本当は母親が大好きだったのに、父親に同調することで母を傷つけるような言動をとり続け、その本心と行動の食い違いに苦しんでいたのです。そして、自分がモラハラの標的になったことで、ようやく母の苦しみを理解することができました。
母と妹が家を出た後、父親との二人きりの暮らしは、全く楽しいものではありませんでした。いつも不機嫌な父を見てビクビクと暮らす日々の中で、「母がいてくれたからこそ、安心して暮らせていた」こと、そして「父は自分を愛していなかった」ことを痛感したのです。
Eさんが長女に伝えたこと 次ページ
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