「子供を産まないと思ったのは何歳ごろ?」第1位の答えは…?
「自分らしく、自由に、自立して生きる女性」を応援するメディア、OTONA SALONE。編集長の浅見は、とりわけ40代女性のさまざまなシーンに「それはもしかして悩まなくていいんじゃない?」「いろんな生き方があると思うよ」と発信しています。
そんな中、OTONA SALONEでも連載「おこなしさまという生き方」を執筆中のくどうみやこさんが出版した書籍『子どものいない人生の歩き方』が大変な反響を集めています。
「産まない」40代の迷いや悩み、楽しみや未来について、くどうさんにお話を伺いました。
日本はこれから多様化が進むと思います!
浅見・さっそくですが、今回の書籍は「子どもがいない人生の生き方」に迷う人たちに向けたものです。この本を執筆した動機とは?
くどう・はい、浅見さんもご存知の通り、私自身には子どもがいません。産まなかった、産めなかった、産みそびれた、強いていえばどれも正解です。経緯は書籍の冒頭に詳しく書いていますが、結果的に子どものいない人生を歩むことが確定しました。そしてちょうどいま、女性の生き方は急激に多様化している最中です。かつて、昭和の時代は男の人が主に働く分業型でしたが、平成は女性が社会に進出しました。これから元号が変わり、また女性の生き方が変わるタイミングがくるのだろう。そう考えていることも一つの動機です。
子どもを産まないと思ったのは何歳のときでしたか?
浅見・書籍は「第1章・産むと産めないのはざまで」から始まり、「第2章・子どもがいない女性13人の人生」、次が私も強く興味を持った「第3章・子どもがいない女性の意識調査」。この章は本書のためにとったデータで構成されていますが、このデータはすごいですね。まず、「もう子どもを産まないと思ったのは何歳のときだったか」。
くどう・はい、面と向かってはなかなか聞けないですよね。ご覧の通り、30代後半から40代前半でほぼ50%を占めます。私自身、このデータを取る前に肌感で40歳くらいかなと思っていたので、ほぼ正解でした。近年は、生殖補助医療の技術が進みましたので42歳以降に出産されるケースもありますが、やはりデータを見てもタイミングを逃したなという実感が強く見えてきます。
浅見・「タイミングを逃した」というのがメインなのは、逆に私は驚きました。私の家系は長寿なので(笑)自分がたぶん90歳以上までは生きるだろう、40歳はまだ人生の半分だなって結構昔から思っていて。占いで3ケタ狙えるって言われたりするので、ものごとにあんまり焦らなくなっているんですかね(笑)。
くどう・そういう人はかなりレアです(笑)。結婚はいつでもできるけど、妊娠はタイムリミットがあるし、年齢と共に妊娠率は低下する。でもそのことを以前はあまり知られていなくて、ここ数年で一気に周知されるようになりました。私自身、「そんな大事なこと、早く知りたかった」と悔やんだし、日本の場合は結婚してから産むのが王道なので、上の図表の通り「タイミングを逃しがち」なんだと感じます。つまり、妊娠リミットに関する情報がなかったんです。逆に、私たちより下の世代はまたいろいろな情報が入ってくるので、生き方の選択は仕事一辺倒にならずに真剣です。そのかわり、「ロールモデルとなる先輩女性がいない」という声をよく聞く。世代が変われど試行錯誤が続いているようです。
本当に少子化対策したいなら男女関係なく残業ゼロに!
浅見・ですよね、前もって知識があるが故に「こうあるべき」にがんじがらめになってしまう例もありますし。どれを選んだからといっても優劣はないんですが。ちなみに2位の「病気による体の事情」というのは?
くどう・20代に無理に仕事をして体調を崩した、持病を持っているなどのエピソードが目立ちました。この回答は複数選択なので、みなさんタイミングを逃してしまったり、体や健康上の理由だったり、私と同様にいろいろな事情が複雑にからみあったんだな、と実感しました。
浅見・私が〇をつけるなら……どれかな、いま45歳ですけれど、そうね、いまだに産むとも産まないともホントに考えてないです。この中から敢えて選ぶなら「なんとなく」か「子供より仕事を優先した」ですけど、それともなんか違って。子供じゃなくて「プライベートより仕事を優先した」ですね。もしくは「考える域に達してなかった」、というのがフィットするかな。
くどう・はい、子どもは持たないと明確な意思を持っていた人たちは8.2%しかいないんです。また、男性側は、たとえば性風俗などの発展で「満たされやすくなった」ので、別に結婚しなくてもという側面もあるのではと感じます。
浅見・産む産まないの話しは女性に終始しがちですが、私は男性の考え方も同じくらい重要だなと思っています。ずっと、本気で少子化対策したいなら男女とも残業なんかゼロにすべきだとことあるごとに言っているのですが、聞いてもらえない(笑)。もう一つ、政府の言う「女性躍進」というのはあくまでも結婚して子がいる人の話で、私たちはいったい何なんだという気持ちにもなります。働き方改革を本当にしたいなら、女性や男性、未婚既婚を分けず、全員一斉に社会を変えないとならないんですよね。
孤独死と老後の不安は「産まない人生」につきまとう
くどう・いっぽう、夫はイクメンであれとの社会的風潮が強くなっているので、男性たちも大変ですよね。もちろん育児に男性も関わるべきだとオレだって思う、もちろんオレだって早く帰りたい、でも現実問題として帰れないんだよと。
浅見・この8.2%には子どもが好きじゃないからという人も含まれますよね。なのに、世間の顔色を見て無理をして出産育児を始め、結果的に虐待が起きたりするのも本末転倒だなって思います。
浅見・「子どもがいないことで感じたことのあるもの」もぐっときました。6位「孤独死」7位「老後の不安」。私はずっと孤独死を覚悟している部分があるので(笑)、ネット技術がプライバシーも尊重しつつなんとか検知してくれるのを期待しています。また、1位の「子どもがいる友人との距離感」も「あるある」でした。どうしても友人たちの会話の中でぽつんと置いていかれることがあって。
くどう・その距離感ばかりはしょうがないなと割り切るしかないですよね。このデータでは私は「産んだほうがいいという社会的プレッシャー」が4位な点が興味深かったです。かつてプレッシャーをかけてくるのは親やご近所など身近な人でしたが、いまは8位。社会的なプレッシャーが上位なんです。また、5位の「大人としての未熟さ」も気になっています。というのも、私自身、子どもの頃に思っていた大人像と、実際自分が40歳を過ぎたときの像にギャップがあったんです。40代でこれでいいのか?と。かつては、人を育てることで自分も成長するんだろうなと漠然と思っていたんですね。浅見さんは部下を育てたりしていますが、私はそういうこともなかったので、もしかして自分はずっと未熟なんじゃないかな?というコンプレックスを抱えています。
「未熟であること」はむしろ有利なポイントでは?
浅見・あら、私はむしろ「未熟で何が悪い?」と思っちゃいますね(笑)。カンペキな人って逆に近寄りがたかったりしますから、ヌケてるところがあるほうがいいな、なんて。「カンペキな大人になりたい」けれど頼りない部分がある未完成な人のほうが魅力があっていいような気がしてます。スキがないと突っ込めないから、未熟でいいんじゃない?って思うんです。
くどう・それはちょっと例外的な意見かも(笑)。世の中意外と、一般的な枠から外れている自分に劣等感を抱えている人は多いですよ。でもこうして「こうでもいいじゃん?」という価値観を投げていただくとそれはそれでいいなと思うんですよね。
浅見・よくバツイチの人が「私はバツイチだから…」って自虐的に言うんですが、いやいや、私たちの独身女子会トークでは「バツがいっこあるならイイじゃん?私たちマルいっこもないのに?」ってなるんですよ(笑)。私たち結構税金払ってるのにとか(笑)。
くどう・税金、もっと払えって言われますよね(笑)。もう、きつい(笑)。
浅見・そして「子どもがいなくてよかったこと」。これは、ここまでの質問に比べてみなさんのびのびと答えていらっしゃいます。私は基本的に「自分のために使える時間が多い」に尽きるかなと思っています。さきほどの「大人として未熟」という点に関しては、たとえば朝自分の準備もして子どもの準備もしてというような「他人の世話をする」点は私はしていませんから、ごく普通に「未熟だな~」と思います。朝起きたくなくてぐでーっとしていると「ああ私ってダメ人間」って思ったり。
くどう・むしろ「未熟ですが何か」と(笑)。OTONA SALONEは多様性のありかたとしてそういう方向ですね(笑)。見ていくと、「キャリアアップを目指しやすい」が低い点が今らしいなと思っています。かつては子どもがいない=キャリア女性でしたが、今は雇用の多様化でそうとも言えなくなりました。
浅見・「楽しむ」ことが上位にきているのが面白いですね。本当にいまはメインは仕事じゃないんですね。自分らしい生き方を追求するほうが重要で、子どもを持たない層はそちらに注力すると。
くどう・これまでも結婚している、していない層での意識比較はありましたが、子どもの有無での生き方や、意識の違いは意外に調査されていないので、今回書籍を執筆するに当ってはぜひご紹介したかったデータです。
(後編に続きます)
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