浮気した夫とはわざと離婚せず「彼氏」を作る【#婚外恋愛2】

2018.02.18 LOVE

「離婚はしてやらない」

 

 

B子の夫が同じ会社の若い子と不倫している事実は、半年前にB子が夫のスマホをチェックしたことで露見した。

LINEのトーク画面に並ぶ生々しい愛の言葉の数々を、B子は冷静に自分のスマホで撮影した。それを証拠に夫を責めたが、夫から返ってきたのは

「だったら離婚する?」

という反省の色が欠片も見えない言葉だった。

現在パート勤めで、生活費は夫の収入に頼っているB子にとって、離婚は難しい選択だった。今さら稼ぎを上げることがどれだけ大変か、それまでお金の心配をすることなく生活してきたB子には立ち向かう力がなかった。

あの頃、「子どもがいなくて本当に良かった」とB子は繰り返したが、それは子どもに愛情の消えた親の元で過ごす環境を強いることがなくて良かったのではなく、自分ひとりなら仮面夫婦であっても好き勝手に過ごすことができるので、余計なストレスがなくて良かった、という意味だった。

それから、B子は自分が既婚者という立場を捨てた。

お金がないから不倫した夫と今でも夫婦として同じ家に住む、という屈辱は、B子から節操を奪った。出会い系で会える男性を探してみたり、メンズバーのようなところで若い男性に貢いでみたりと、夫の稼いだお金をこれまで以上に浪費しながら、日々の鬱屈した気持ちを晴らしているようだった。

「離婚はしてやらないんだから」

それが、B子の歪んだ決意だった。夫はそれからも生活費を渡す代わりに若い女性と関係を続けている。それを黙認して自分も男遊びはするが、望まれても離婚なんてしてやらない。自分だけが不幸になるなんて許さない。その覚悟が、B子を「自分を愛してくれる男性」を探す原動力になっていた。

これまで、B子の「男性遍歴」は聞かされてきたが、実際に誰かを紹介されたのは初めてだった。意外だったのは、派手な身なりを好むようになったB子がこんな地味な男性選んだことだ。

口数は少ないが穏やかな視線でB子を見つめる彼の様子は、もしかしたら彼女の事情をすべて知って付き合っているのかもな、と思わせる。

そして、こんな男性に愛されることで、B子の底のない闇も少しは和らぐのかもしれない。

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