「処暑」が過ぎて少し秋の気配も感じます。早くも乾燥が始まるこの時期から食べておきたい3つの食材とは?
こんにちは、再春館製薬所の田野岡亮太です。
私は研究開発部に属し、さまざまな商品に携わってきました。その過程で、たとえば漢方原料が土地土地で少しずつ性質を変えること、四季のうちでも変わることを知り、やがて人間の心身そのものが気候風土に大きく影響を受けていることに深い興味を持つようになりました。中医学を学び、国際薬膳調理師の資格も獲得、いまもまた新たな活動を続けています。
1年に二十四めぐる「節気」のありさまと養生について、ここ熊本からメッセージをお送りします。
【田野岡メソッド/二十四節気のかんたん養生】
処暑のころから、まず「呼吸」の機能をケアしてあげて。「腎」のケアはアンチエイジング!
秋が少しずつ進み始める処暑のころから、外気の気温と湿度に変化があらわれます。今年はずっと暑いので、なかなか実感が得られにくいですが、朝晩は少しずつ涼しく。そうなるとまず湿度に変化があらわれます。まだまだ気温は高いですが、空気が乾燥し始めるので過ごしやすく感じるこの時季を中医学では「温燥(おんそう)」と呼びます。
秋の乾燥した空気が肺の機能に影響しやすいのは「呼吸」を行うから。身体の中から息を吐きだして、身体の中に新しい空気を取り込む作用です。中医学では呼吸は、肺の機能ひとりで行っているというよりも、腎の機能との共同作業と捉えています。まずは肺が身体の中から空気を吐き出し、ちょうど骨盤の中あたりに位置する腎の機能が身体の奥深くまで外気を吸い込む…そんなイメージです。吸い込んだ空気は肺まで入って留まりますが、その奥で腎の機能が引っ張って呼吸を助けている…まさに呼吸のパートナーですね。
肺の呼吸のパートナー「腎」の機能を特に気遣いたい季節は冬。寒さが身体を脅かすようになると、冷えを嫌う腎の機能をより一層ケアしてあげたいから。なのですが…腎の機能は身体の活動エネルギーの源ともなるので、出来れば1年中気遣いたいですね。活動エネルギーの源なので、腎の機能ケアは身体のアンチエイジングケアにも。肺との共同作業で呼吸を担っているので、乾燥が本格的に深まる前に、肺の呼吸のパートナーとしてのケア&アンチエイジングケアとして腎の機能ケアも意識してみてはいかがでしょうか。
ブタと芽キャベツ、ぶどうの組み合わせが「腎」を助けてくれる理由とは
“腎の機能にうれしい食材”でおススメなのは、豚肉、山芋、芽キャベツ、ほたて貝柱、ブロッコリー、クコなどが挙がります。これらの“腎の機能にうれしい食材”を使ったおススメレシピの1つ目は「豚スペアリブのさっぱり煮」です。腎は骨にも関わりが深く、豚スペアリブの骨成分は腎の助けになると中医学では考えます。このスペアリブに、旬を迎えてスーパーに並び始めた“ぶどう”と、少し先取りですが、これから寒くなるにつれて旬に近づいていく“芽キャベツ”を合せてレシピにしてみました。
作り方は、まず豚スペアリブ(300g)にしょうゆ(大さじ1)・酒(大さじ1)・胡椒(少々)で下味をつけます。山芋(100g)は皮をむいて一口大に切り、ぶどう(10個程度)・芽キャベツ(6個)は洗っておきます。鍋にごま油をひいて豚スペアリブを炒め、表面に焦げ色がついたら、山芋・ぶどう・芽キャベツを入れて、水(300ml)・きび砂糖(大さじ4)・しょうゆ(大さじ3)・酒(大さじ2)・りんご酢(大さじ2)を加えて中~強火で30分ほど煮たてます。液量が約半分量になったら、豚スペアリブ・野菜を盛りつけ、水溶き片栗粉(水:大さじ2、片栗粉:大さじ1)を加えてとろみをつけ、豚肉・野菜の上からかけたら出来上がりです。
豚肉は「気と血を補い、身体の乾燥を潤わせながら、呼吸のパートナー腎を補う」働きが期待できます。これだけでも肺と腎にとって嬉しい効能ですが、「気と精を補って、肺と腎のコンディションを整える」働きかけが期待できる山芋、「気と血を補い、乾燥を潤わせる」働きがきたいできるぶどう、「呼吸のパートナー腎のコンディションを整える」働きかけが期待できる芽キャベツと合せて、肺・腎のどちらの機能もさらに喜んでくれるようなレシピにしてみました。
ぶどうは甘酸っぱい果物ではありますが、リンゴ酢ときび砂糖(+しょうゆ)で煮ている味付けなので、味がマッチするのではないかな…と思って合せてみました。買ってきたぶどうの味が予想と異なって酸っぱい場合にはおススメですし、ぶどうの代わりにレーズンや龍眼(りゅうがん)をお使いいただいても良いと思います。
活躍します!ベビー帆立を見つけたらぜひブロッコリーと組み合わせて
2つ目も腎の機能を補うレシピとして「ベビー帆立とブロッコリーの照焼き」を紹介します。帆立や乾燥貝柱は値段が張るので手に取りにくいですが、スーパーでお手頃価格のベビー帆立に出会ったので、レシピにしてみました。
作り方は、ブロッコリー(1房)を食べやすい大きさに切って下茹でをします。ベビー帆立(100g)に片栗粉を薄くまぶします。フライパンにごま油をひいてベビー帆立を軽く炒めたらブロッコリーを加え、薄口しょうゆ(大さじ1)・酒(大さじ3)・みりん(大さじ1)・きび砂糖(小さじ1)を絡めて出来上がりです。
ホタテとブロッコリーはともに腎を補う食材。ブロッコリーは下茹でをしておき、ベビーホタテは片栗粉をまぶしておきます。ベビーホタテを軽く炒めたらブロッコリーを加えて、薄口しょうゆ、料理酒、みりん、きび砂糖を絡めたら完成です。
ベビー帆立は「身体に潤いを補い、呼吸を担う腎を補う」働きかけが期待できます。夏から秋に季節が移り、そろそろ乾燥が気になる頃になる…そんな時に、身体に潤いをもたらしてくれるのは嬉しい効能ですね。一緒に合わせたブロッコリーは「呼吸を補う腎を補う」働きかけが期待できます。ブロッコリーは常用野菜の仲間入りをしましたね。美肌に良いと言われますが、中医学的な効能を見ると腎の機能の応援団です。
いちばん簡単にケアできるのは「クコ」+「杜仲茶」。常飲したい組み合わせ!
料理は少し時間・手間がかかって…という時に“お茶”で身体を気遣ってみるのはいかがでしょうか。クコの実と杜仲茶を合せるだけで、肺・腎の機能に嬉しい薬膳茶になります。クコは「肺を潤してコンディションを整え、呼吸のパートナーである腎のコンディションを整える」働きかけが期待できます。杜仲茶も同様に腎に嬉しい働きかけが期待できるので、秋~冬の備えとともにアンチエイジングとしてもおススメの組み合わせに感じます。
スーパーにぶどうや梨が並びはじめて、少しずつ秋の気配が感じられるようになり始めましたので、秋の「呼吸」という観点と「一つ先の季節の予習」を合せて腎の機能のお話をさせていただきました。次回は「肺の秋」と言えるぐらい、秋らしさが感じられるようになっていると…良いですね。
じわじわと人気…「田野岡メソッド」は書籍でもご覧いただけます!

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日本の漢方では「その症状に処方する漢方薬」が機械的に決められていますが、本来の中医学では症状と原因は人それぞれと捉えます。それに合わせた効果的な食事を「薬膳」とし、食で養生するのが基本なのです。
田野岡メソッドに触れると、スーパーの棚が「薬効の宝庫」に見えてきますよ!
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