「絶対に別れない」と言い張る夫から逃げると決めた。住民票支援措置でモラハラ支配から脱出した女性の決断

2025.10.11 LIFE

「絶対に離婚したい」Fさんの作戦

夫が離婚拒否をしてから、Fさんは離婚の準備を計画的に進めました。Fさんには、親に預けていた結婚前の貯金が70万円ほどありました。結婚するときに夫から「全ての貯金を一緒の口座にしよう」と言われたのですが、そのときはその貯金のことをたまたま忘れていたのです。

「当時は、それが離婚するために役立つとは思ってもいませんでした。結婚してからは全てのお金を夫に管理されていましたから、貯金をすることなどできません。ですので、この貯金のことを思い出せて本当に助かりました」

親はすでに高齢で施設に入っているため一緒に暮らすことはできませんでしたが、この貯金が「逃げるための後ろ盾」になりました。

 

悟られないように準備し、夫が不在の昼に家から脱出

Fさんは、夫が不在の日程を見計らって娘を連れ出し、以前から連絡をとっていた支援センターを訪れました。まずは一時シェルターに入所し、安全な環境で生活を守りながら、次の住まいと子どもの学校の準備を進めていけるようにサポートしてもらいました。



事情があって「昼逃げ」のように家を離れたとしても、その後の賃貸契約や子どもの学校、社会保障の手続きに住民票は必要になります。しかし、住民票をそのまま次の住所に移すと、夫が役所で住民票や戸籍を請求した際に新住所が知られてしまう危険があります。そこでFさんが利用したのが「住民票支援措置」です。

 

この制度は、DVやストーカー被害を受けている人の住所を加害者に知られないようにするためのもので、役所で住民票や戸籍の閲覧・交付が制限されます。加害者が「親族や代理人」として請求したとしても住所は漏れず、シェルターから新しい住まいへ移るときも、子どもの転校手続きをするときも、安全を確保しながら暮らしを立て直すことができるのです。

 

こうしてFさんは、シェルターから新しい住居へと移り、娘の学校も決まりました。そうして支援を受けながら日常を少しずつ整えていったのです。「二度とあの生活には戻らない」そう強く心に誓いながら、新しい生活を一歩ずつ築きはじめています。

 

居場所が漏れる危険を、さらになくすためには 次ページ

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