「夫に悪気はない」それでも苦しくてたまらない。 心がすり減った妻が、“わかってもらえない結婚”から抜け出すまで
けれど、どんなに頑張っても夫の態度は変わらない。そしてある日、Tさんは自分の中で何かが切れたのを感じました。その後、Tさんは心身の不調が続き、心療内科を受診しました。
「あなたは『カサンドラ症候群』ですね。」
医師は静かに言いました。
「ご主人との関係の中で、心が疲れきっている状態ですね。お薬で少し楽にはなるかもしれません。でも、本当の意味で回復するには、環境の見直しが必要です。」
その言葉を聞いたとき、Tさんは胸の奥がぎゅっと締めつけられるようでした。
「やっぱり私の不調の原因は、夫との関係なんだ、と絶望しました。家に帰れば、また同じ毎日が始まる。薬を飲んでも、夫は変わらない。そう思うと、希望も何もありませんでした。」
Tさんはそう語りながら、静かにうつむきました。
カサンドラ症候群とは
カサンドラ症候群とは、ASD(自閉スペクトラム症)など、感情のキャッチボールが難しいパートナーと暮らす人に起こる心の疲弊のことを指します。相手に悪意があるわけではなくても、共感が返ってこない、反応が薄い、感情がすれ違う、自分のことを理解してもらえない。そんな状態が長く続くことで、「自分の気持ちをわかってもらえない」「何を言っても無駄」と感じるようになり、次第に心が麻痺していくのです。
カサンドラ症候群で苦しんでいる人は、外から見ると“しっかりしている人”に見えることが多く、家事も仕事もきちんとこなし、周囲には笑顔を見せることもできます。しかし、心の内側では、慢性的な疲労・不眠・集中力の低下、などの体調不良、そして深い孤独感に苦しんでいます。
特に、相手を理解しようと努力する優しい人ほど、カサンドラになりやすいといわれています。「私が我慢すれば」「この人を支えないといけない」そう思い込み、自分の限界を超えても頑張り続けてしまうのです。
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