母と息子、ようやく通じた「おっかさん」……蔦重とつよが交わした、40年越しのぬくもり【NHK大河『べらぼう』第41回】

2025.10.28 LIFE

*TOP画像/つよ(高岡早紀) 蔦重(横浜流星) 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」41話(10月26日放送)より(C)NHK

 

吉原で生まれ育ち、江戸のメディア王に成り上がった蔦重の人生を描いた、大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(NHK総合)の第41話が10月26日に放送されました。40代50代働く女性の目線で毎話、作品の内容や時代背景を深掘り解説していきます。

 

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本の価値が軽視されがちな今こそ、心に響く老舗の主人の言葉

自分たちの儲けをとにもかくにも重視し、商いを営む人もいますが、社会的な役割を意識しながら商売を行っている人もいます。

 

 江戸の地本問屋を中立な立場からまとめてきた須原屋の主人・市兵衛(里見浩太朗)もまた、本屋としての社会における役割を重んじていました。

 

市兵衛は絶版処分を受けた林平子の『三国通覧図説』を出版し、身上半減の処罰の対象に。この本には“みんなが知っていた方がよいこと”が書いてあったため、出版に踏み切ったのです。

 

「知らねえっていうことはな 怖えことなんだよ。 物事知らねえとな 知ってるやつにいいようにされちまうんだ。本屋ってのはな 正しい世の中のために いいことを知らせてやるっていう つとめがあるんだよ。平賀源内風に言えばな “書を以って 世を耕す”」

 

市兵衛のこの台詞にハッとさせられた視聴者は、筆者を含めて多いと思います。正しい情報を知らなかったばかりに油断し、敵の思うままに呑み込まれたり、知識がないゆえに正しい判断ができなかったりすることもあります。

須原屋の主人・市兵衛(里見浩太朗) 蔦重(横浜流星)  大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」41話(10月26日放送)より(C)NHK

市兵衛が処罰を覚悟の上で本を出版した理由を蔦重(横浜流星)に語る場面では、市兵衛の目には力強さと決意が宿り、現在の江戸情勢への深い不安をも滲ませていました。年齢を理由に自分の跡を下の世代に譲る覚悟を抱きつつも、晩年に大仕事を成し遂げた市兵衛は、本屋であることに揺るぎない誇りを湛えているように見えました。

 

市兵衛が大胆な一歩を踏み切った背景には、世を耕すべく駆け巡る若き蔦重の影響があったように思います。市兵衛は蔦重に人生の先輩として与える立場でありながらも、実は彼自身も蔦重から多くのものを吸収していたのです。

 

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