夫に無視されても「私に価値がないわけではない」 サイレント・モラハラの夫に支配されていた妻が、“自分の軸”を取り戻すまで

2025.11.01 LIFE

自分が変わったら、夫にも少しずつ変化が

ある朝、夫が玄関を出る前に「行ってきます」と言った日がありました。たった一言ですが、それだけで、Nさんの胸は一日中あたたかくなったといいます。「やっぱり、あの人は冷たい人じゃない。本当は優しい人なんだ」その思いが、次の日も頑張ろうという気持ちを支えてくれました。

 

けれど同時に、彼女は気づき始めています。「夫の態度を変えることは、私にはできない」ということに。だからNさんは、夫を変えようとするのをやめ、自分の受け止め方を変えることに決めました。
夫の反応や態度を気にするのをやめ、子どもとの会話を大切にし、自分の時間を持つようにしたのです。

 

夜、子どもが眠ったあとにお気に入りの紅茶を入れ、小さなノートにその日の出来事を静かに書き留める。そんな時間が、Nさんにとって心を整える大切なひとときになりました。「夫の態度と、私の価値は関係ない」そう思える瞬間が、少しずつ増えていったといいます。

 

そして不思議なことに、Nさんが夫の態度に怯えなくなり、自分のペースで穏やかに過ごすようになると、夫の方にも変化が現れました。ある朝、夫の口から自然に「行ってくるね」という言葉が出たのです。

 

Nさんが以前のように怯えたり、夫の機嫌をうかがったりしなくなったことで、夫の中で“支配の効果”が薄れていったのでしょう。

「相手を変えようとしなくても、自分の軸を取り戻すことで、関係の空気は確かに変わっていきました」

Nさんはそのことを、穏やかな笑顔で語ってくれました。

誰かを変えようとするより、自分の心を守ること。それが本当の強さなのかもしれません。

 

<<この記事の前編:「私は透明人間なの?」夫に無視され続ける、サイレント・モラハラの恐怖。精神的に支配され、言葉さえ失っていった私は

 

【こちらの記事も読まれています】

●モラハラ父に支配され育った女性が選んだのは、父と同じようなモラハラ夫との結婚だった。幼い頃から叩き込まれた「支配の構造」から抜け出す道はあるのか

 

1 2 3

スポンサーリンク

スポンサーリンク

スポンサーリンク