「ダメ男なのに別れられない恋人のようなもの」だった生理が終わるとき。閉経を隠しておきたくなる女心の正体とは【美容ジャーナリスト 齋藤 薫さんと考える「閉経」】
オトナサローネ読者には、閉経予備群やすでに閉経した方もいらっしゃるでしょう。閉経後も、今までと変わらずアクティブに自分の人生を楽しむにはどうしたらいいのか? そんな漠然とした不安を感じた時、少し先にそれらを経験した“先輩”の声を聞きたくなります。
『年齢革命 閉経からが人生だ!』(齋藤 薫/文藝春秋刊)で、齋藤さんがつづっている女性の身体や生き方についての話から、私たちが、閉経後も充実した毎日を送るためには、自身の身体の変化をどう受け止めていけばいいのかを、一緒に考えていきましょう。
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まだ閉経してない……と噓をついた日。女はなぜ月経を恋しがるのか?
―――齋藤さんご自身、いざ閉経を迎えるまではどんなふうに受け止めていたんですか。
正直を言うなら、私自身がかつては閉経について、人一倍ネガティブな意識を持っていた。それこそ、女でなくなるのが怖かったし、閉経が決定的になっても、それをどうしても認めたくなかった。
今から考えると笑ってしまうんですが、閉経して数年経った頃、さほど深刻なものではない〝健康調査〞のような問診票に答えなければならないことがあって、そこに「あなたは閉経していますか?」という質問があり、思いっきり閉経しているのに、「いいえ」と答えていたほどです。バカみたい……と思いながら。
それこそ、なぜそんな馬鹿げた噓をつくのか、これは実際に閉経してみないと分からないのかもしれない。いやそこで「いいえ」に丸をつけてしまうのは私くらいなのでしょうが、きっと「はい」に丸をつけることに一瞬逡巡した人は少なくなかったはずです。
ともかくしばらくは生理が去ったことを隠しておきたくって、そういう愚かな抵抗をしていたんです。自分でも不可解なほどに。
―――たしかに、閉経しているとアンケートに回答するのは少し勇気がいりそうです。
でも言ってみれば、それもまた女の本能。長く一緒に暮らすパートナーがいて、その彼が家を出て行ってしまったにもかかわらず、まだ家にいるふりをしてしまうような、微妙で奇妙な女心、とでも言うのか。こういう感情はまさに女にしか分からない。リアルな痛みのみならずいろんな苦痛をもたらすのに、それでも一緒にいてほしい、生理は女にとって、ダメ男なのに別れられない恋人のようなものなんだと思います。
そういえば、生理が始まる年頃にもそんな心境になったことがあるかもしれません。周りはみんな生理が始まっているのに、自分には来ないと悩んだ人もいるはず。不安で不安で仕方なく、待ちわびた生理が来た時は、やっと来てくれたのねと輝かしい気持ちになったりした。まさに忌々しく煩わしいものと知りながらも、女性は生理を恋しがる。厄介な相手だと思いながらも、女は生理が恋しいんです。
―――ふふふ、「生理は女にとって、ダメ男なのに別れられない恋人のようなもの」って、わかる気がします!
〝全てのことに意味がある〞と考えると、苦痛を強いられるのに恋しいという矛盾した感情自体、神が与えた生理機能なのではないかとも言えます。親子の間に生まれる接触系幸せホルモン・オキシトシンも、もともとは出産の激痛を緩和するために神が与えた生理的な作用とも言われるが、同じように月経を恋しいと思うような本能を与えられてしまったのではないかと。
それこそ昔は月経中の女性を隔離する「月経小屋」というものまであった。平安時代から明治時代まで続いた風習です。〝女性は血のケガレにより地獄に落ちる〞との教えから、生理中の女性に触れると危険と信じられ、数日にわたって劣悪な環境に押し込められるという世にも恐ろしい慣習。ただそれも、家事から解放され嫁いびりから逃れるチャンスになったわけで、いわゆる月経困難症のつらさを考えれば、一つの救いとなったとの見方もある。いずれにせよ、女と生理の関係は複雑にして怪奇。説明がつかないことも多々あるが、ともかく女は生理が嫌いだけど好き。どこかで恋しいんです。
>閉経のとらえ方が、ネガティブからポジティブに変換された理由は…
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