【松下奈緒さんインタビュー】話題のドラマで難しい役どころの母を熱演する松下さんが以前、家族のためについた「優しい嘘」とは?
俳優をはじめ、ミュージシャン、旅番組の司会など、活躍されている松下奈緒さん(40)。
現在、放送中の話題のドラマ『夫に間違いありません』(月曜22時~フジテレビ系列)では主演を務め、ふたりの子供の母親役を演じています。
夫の遺体を誤認し保険金を受け取ってしまったことから、人生が大きく狂い始めるサスペンス作品の中で、松下さん演じる母親が家族を守るためにとる行動、松下さん自身の家族を思う気持ちについて伺いました。
家族や子供への愛情は誰しもが持っていると思う
――脚本を読んだ感想を教えてください
まず、読み物としてすごくおもしろかったですね。展開も早く、登場人物がいろいろなことに巻き込まれ、そして追い込まれていくんですが、その姿が苦しくもあって……。これからどうやって演じていくのか、とても楽しみです。
――失踪し、その後死亡したと思っていた夫が実は生きていて突然帰宅。すでに使い込んでしまった夫の保険金のことや、子供たちとの生活。さまざまなことに翻弄されながら、家族を必死に守ろうとする母親・聖子を演じるわけですが、松下さんから見て聖子はどんな性格ですか?
自分からは何も問題提起をしないタイプの女性だと思います。その場にいるだけなのに、自然にいろいろなことが起こって、知らず知らずに中心人物になってしまうんですね。
性格的には、穏やかですが自分をしっかり持っている女性だと思います。声を荒げたり感情的になることはなく、自分を押し殺して生きてきたんでしょうね。だからこそどこかで爆発する瞬間がくるんだろうなと。
――松下さんなら、もし死んだはずの身近な人が実は生きていた、とわかったらどうすると思いますか?
これは、私も考えました。例えばそれが親だったら……と想像したりもしたのですが、まだ答えは出ていません(笑)。当事者になってみないとわからないし、そういった本当の悲劇って経験した人にしたわからないものだと思います。人によってとる行動は何パターンもあるだろうし。そこは想像で演じるしかありませんね。
夫がいなくなったことの寂しさ、戻ってきたことのうれしさ、そこから繋がる「家族ってなんだろう」ということ。ひとつひとつの気持ちの機微を整理して演じていこうと思います。
――母親としての愛情深さもこのドラマもキーポイントだと伺いました。
年齢とともにお母さん役をすることが増えてきました。やっぱり子供に対する思いや、女性だからこそ持っている子供への愛情のようなものはあると思います。
私が関わる相手は子役ですが、その場のシーンだけの関わりだとしても、「この子は今何を思っているかな」とか「どう感じているかな」といったことは常に考えてコミュニケーションをとっています。
短期間で本物の家族のような空気感を作らなくてはいけない
――家族もののドラマをするときのこだわりはありますか?
私が一番オープンにならなきゃと思っています。家族もののドラマの難しさは、「一瞬にして家族にならなきゃいけないこと」ですね。最初はもちろん私も相手も緊張しているのですが……コミュニケーションが取れていない中で演じるのはすごくもったいないと思っていて。もちろんお芝居でカバーできる部分もありますが、私の場合、それではうまく世界に入り込めないこともあります。
本当の家族の一員のように、まずは自分をさらけ出して距離感を縮めてやっていけたらいいなと思っています。
――子役を相手に演技をするのは、大人の俳優相手に演じるのとは違う部分がありますか?
違いますね。子役の方たちはみんなすごく演技が上手なんです。天才だからなんでもできちゃう。でも私としては「お芝居をしにきている」という感覚はできるだけ捨てて欲しいと思っていて。私もできるだけそうしたくないと思っています。
もちろん台本はあるんですが、演技というよりもできるだけ日常の延長線のように演じたいですね。小さい子供だと、それがすごくかわいいし、リアルさも出ます。
――子役と打ち解けるためにやっていることはありますか?
腰を落として目線を子供に合わせて接するようにします。あとは話をする時間をたくさん持つこと。空き時間に学校や幼稚園での出来事を聞いたり、それに対して私からもおもしろい返しをしたりとか。それでもなかなか心を開いてくれない場合もありますが(笑)。
家族を守るためにつく嘘は理解できる
――松下さん演じる母親は、家族を守るために秘密を守り抜いたり、大きな決断をしていきます。松下さん自身はそんな聖子の行動に共感できますか?
自分にとって何が幸せかを考えたときに、家族の幸せが一番となる気持ちは理解できます。それが子供だったらなおさらだと思うし。
家族の絆って目に見えるものじゃないし、いつか途切れるかもしれません。それでもつないでいきたいと思うのが、母親の聖子なんじゃないでしょうか。
――聖子と自分が似ているところはありますか?
いろいろあるんですが、ひとつ感じた共通点は「お願いごとを断れないところ」ですかね。相手は軽い気持ちで「これやっといて」と言ったのに、私は「やらなきゃ!」ってすごく頑張っちゃう。それで相手が「そんな強く頼んだつもりはなかったんだけど」となることがよくあります(笑)。
――ドラマのキーポイントでもあるのですが、松下さんは「家族のためにつく嘘」は許容できるタイプですか?
許せますね。私自身も許してきた気がします。言わないほうが相手のためと思って言わなかったこともあるし。もし正直に言ったことで家族が壊れてしまうくらいなら、ずっと言わないでおいて自分だけが苦しめばいいやと思うタイプです。
――具体的に家族に嘘をついたエピソードはありますか?
親に「今日ごはん家で食べる」と言っておきながら、外で食べてきちゃったとき。お腹がすいているふりをして、もう1回ごはんを食べたことがありますね……(笑)。小さい嘘ですが、自分さえ苦しめば終わる話なんでね。おいしいねって食べれば誰も傷つきません(笑)。
後編では、松下奈緒さんが趣味を超えて夢中になっていること。健康のために始めたことなどについて伺います。
【INFORMATION】
『夫に間違いありません』

毎週月曜22時
カンテレ・フジテレビ系列にて放送中

死んだはずの人間が、ある日、突然あなたの目の前に帰ってきたら…? 死んだと思っていた夫が一年間失踪していた理由は? すでに使い込んでしまった夫の保険金はどうしたらいい? 子供たちとの生活と幸せを守るために妻が下す選択は、日常を少しずつ蝕んでいく。実際に起こりうる「遺体の取り違え」事件から着想を得た、ジェットコースターのように展開する、息もつかせぬヒューマンサスペンス。
出演:松下奈緒、桜井ユキ、 ほか
【PROFILE】
松下奈緒/俳優、ミュージシャン
兵庫県出身。2004年女優デビュー。数々のドラマ・映画で主演を務める。2010年NHK朝の連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」でヒロインを演じ、同年NHK「紅白歌合戦」で紅組の司会を務める。2025年にはデビュー20周年を記念したピアノのアニバーサリーライブも実施。幅広いフィールドで活躍を続けている。
撮影/廣江雅美
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