インフルエンザ大流行をどう「食べて予防」する?小雪の頃、気のめぐりをよくしてくれる黄色くて小さい食べ物の名前とは
こんにちは、再春館製薬所の田野岡亮太です。
2025年の小雪(しょうせつ)は11月22日から12月6日。暦の上では冬の始まりです。
1年に二十四めぐる「節気」のありさまと養生について、ここ熊本からメッセージをお送りします。
【田野岡メソッド/二十四節気のかんたん養生】
ひとつ先の季節までのつながりを考えて身体をケアしていくのが大切です
前回は「寒くなると活躍したくなる“腎”の機能」のお話をさせていただきました。今回は、腎とつながりのある“肝”の機能についても少し触れてみたいと思います。
肝の機能が働きたくなる季節は“春”です。寒い冬を越えて少しずつ暖かくなるにつれて、肝の機能が動き出したくなります。この肝と腎の機能には深い関係があります。腎が蓄える精(エネルギー)と肝に貯蔵される血は、お互いの源が同じと捉える「精血同源(せいけつどうげん)」という考え方があります。
腎の機能は、パートナーとの共同作業が得意かもしれません。秋の“肺”の機能と一緒に働くと、肺が吐き出して腎が吸い込む「呼吸」を行います。春の“肝”の機能とは、お互いが貯めているものが少なくなった時に補い合います。裏を返すと、腎精(エネルギー)のみに注力して肝のケアを疎かにすると腎精が貯まらない…ということにも。腎精の貯蔵には、腎の機能のケアだけではなくて“肝の機能”のケアも大切になります。
腎の機能をケアしながら、肝の機能にも気遣ってみましょう、というのが今回のメッセージです。季節は連続しているので、ひとつ先の季節を見据えた意識を持つと、身体はきっと喜びます。
金柑はこの時期とっても「役に立つ」食べ物です。そのほかにも
11月後半になると金柑をスーパーで目にするようになります。金柑の旬は11月から3月頃で、2月が出荷の最盛期だそうです。この金柑は[温性]の食材なので、身体が冷えるこの季節には嬉しい働きをしてくれます。効能としては、[疏肝(そかん)]ストレスなどで滞ってしまった肝の気の流れをスムーズにしてくれます。また[解鬱(げうつ)]肝の気がギュッと固まってイライラしたり落ち込んだりする状態を解消してくれます。食性を知ると、金柑がとても頼もしい存在に感じられるようになりますね。
これらの“肝・腎の機能にうれしい食材”を使ったおススメレシピの1つ目は「牡蠣とニラのなたまめしぐれ煮」です。寒くなると旬を迎える牡蠣。同じく寒くなるとスーパーでも出回り始める冬ニラと合せてレシピにしてみました。
作り方は、鍋に水(300ml)を入れて沸騰させ、なたまめ茶(ティーバッグ1包)を浸して5分間煮だします。ティーバッグを取り除いた後、牡蠣(100g/6粒程度)・酒(大さじ1)・水あめ(大さじ1)・しょうゆ(大さじ1)を加えて1~2分間煮ます。その後、牡蠣を一度取り出し、千切りにした生姜(1片)・2cm程度に切ったニラ(3本分)・みりん(大さじ1)を入れて、とろみが出るまで約10分間煮詰めます。ここに牡蠣を戻し、絡めて照りが出たら器に盛りつけて出来上がりです。
牡蠣は「身体に潤いを補い、血を貯蔵する肝に血を補って助ける」働きが期待でき、一緒に合わせたニラは「身体に熱を補い、気と血のめぐりに働きかけて肝と腎の機能を助ける」働きが期待できます。肝に血を補うだけでなく、そのめぐりをニラがサポートしてくれるので、牡蠣とニラは効能でもつながりがあります。ニラだけでも身体に熱を補いますが、ニラと合せたなたまめ・生姜・水あめは“腎・肺に働きかける温食材”トリオです。これから寒さが深くなる時季におススメの組合せでもあり、生姜の辛み・ニラの風味・牡蠣の旨味がしぐれ煮の甘みと絡まって美味しく感じられるレシピの味を構成する食材トリオでもあります。
時雨(しぐれ)とは、主に秋の終わりから冬にかけて降る「降ったり止んだりする一時的な雨」のことで、“しぐれ煮”の語源は様々あるようですが、一説には「さまざまな風味が口の中を通り過ぎることを時雨が一時的に降る様子に見立てた」ことのようです。天気が悪いと憂鬱な気分になりがちですが、秋から冬にかけての“今の季節”が語源の旬のレシピの味わいで、雨の日も気を晴らしていただければと想ってレシピにしてみました。
2品め、すずきの包み蒸しはおもてなし料理にも!
2つ目も肝・腎の機能を補うレシピとして「すずきの包み蒸し」を紹介します。すずきは海の水面に波しぶきが立つところを好んで回遊する白身の魚ですが、中医学的な効能を見ると「肝と腎の機能を補う」働きがあります。そんなすずきの力を身体に摂り入れる方法を紹介したいと思ってレシピにしてみました。
作り方は、酒(大さじ2)・塩(小さじ1/2)で下味をつけたすずき(100g)の切り身上に、さつまいも(1/2本)・にんじん(1/2本)・三つ葉(10~15本)を乗せて蒸します。さつまいもは縦半分に切り、厚さ5mm幅の半月切りにした上で水につけてあく抜きをします。にんじんは5mm厚の半月切りにします。
クッキングシートで包み、フライパンに足つきの蒸し台を入れて10分間蒸します。蒸し終わったら、ポン酢(大さじ2)・白いりごま(大さじ1)・きび砂糖(大さじ1)・おろし生姜(少々)を合せた調味料をかけて出来上がりです。
蒸し料理は消化作用の脾の機能にやさしく、包んであることで緑色・オレンジ色・さつまいもの黄色・すずきの白身と見た目にも美味しく特別感も感じられます。すずき以外の魚でも同様の調理をすることもできます。
先ほど紹介したように、すずきは「身体に潤いを補って乾燥と咳を鎮める」働きが期待できます。緑色の三つ葉は「消化を促して、身体の水分のめぐりに働きかけて便の通りを良くする」働きが、オレンジ色のにんじんは「身体に潤いを補って乾燥と咳を鎮める」働きが、黄色のさつまいもは「身体に気を補っておなかを温める」働きが期待できます。
乾燥で身体の水分が減って寒さで身体の水分のめぐりが悪くなりやすい小雪の時季ですが、潤いを補って水分のめぐりを良くしてくれる緑色・オレンジ色・黄色の食材トリオをすずきと合せるのは、効能的にも合理的な組合せです。身体への効能と共に、見た目にもちょっとおしゃれな見映えになるのではないかなと思ってレシピにしてみました。
連載中の「田野岡メソッド」が書籍になりました!
「身近にある旬の食べ物が、いちばんのご自愛です!」 田野岡メソッド連載で繰り返し語られるこのメッセージが、1冊の書籍にまとまりました。近所のスーパーで手に入る身近な食材を使い、更年期をはじめとする女性の不調を軽減する「薬膳」を日常化しませんか?
日本の漢方では「その症状に処方する漢方薬」が機械的に決められていますが、本来の中医学では症状と原因は人それぞれと捉えます。それに合わせた効果的な食事を「薬膳」とし、食で養生するのが基本なのです。
田野岡メソッドに触れると、スーパーの棚が「薬効の宝庫」に見えてきますよ!
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