インフルエンザ流行期は「腎」をケアすべし!いま食べておきたい2つの「黒い食材」、意外に身近な

こんにちは、再春館製薬所の田野岡亮太です。

2025年は12月7日から21日が大雪です。

1年に二十四めぐる「節気」のありさまと養生について、ここ熊本からメッセージをお送りします。

【田野岡メソッド/二十四節気のかんたん養生】

腎をサポートするのは「黒い食材」。ミネラルを含む目印です

暦が“大雪”の寒い時季に身体に摂りこむと腎の機能が喜ぶのは「黒い食材」です。腎の機能は、腎臓・膀胱・尿道・子宮・卵巣、男性で言えば精巣も含めた臓器とその働きを広く含んでいますが、腎臓の働きをとり上げると「尿中のたんぱく・ミネラルなどの体内に必要な物質を身体に戻す」という働きがあります。

 

冬の寒さで身体が冷えてしまうと腎の機能にも冷えの影響が及んで、腎臓も十分な働きをすることが出来ず、結果としてたんぱく・ミネラルを尿と一緒に流し出してしまうことが起きます。こんな時は、体外へ漏れ出てしまったミネラルは補給することが先決です。寒さが身体に影響しはじめたなと思ったら、腎の機能に冷えの影響が及ばないように身体を温めながら、ミネラルの摂取を気にしてみてください。

 

ところが、「ビタミンC豊富」などはあちこちに書かれているのに、堂々と「ミネラル含有」と書かれている食材はそうそうありません。スーパーに並んでいる食材の中からミネラルを手にしたいときは“黒い色”を目印にしてみてください。

 

黒い色は一緒に含まれているポリフェノールなどの色でもありますが、少なからず黒い食材の中にはミネラルが含まれています。冬の寒さで身体が元気に動けていないなと思った時は、黒い食材を手に取って腎の機能への働きかけを行ってみてください。

 

わかめと昆布の実際の見た目は濃い緑色ですが、乾燥状態は黒っぽく見えます。海藻類はミネラル豊富な海水の中で育つので、黒っぽい濃緑色ではありますがミネラルを含んでいます。

 

「黒」にはどんな食材が? まずは黒ごまを、同じく腎の働きを助けるえりんぎ・クコと合わせて

“腎の機能にうれしい食材”でおススメなのは、黒ごま、黒米、えりんぎ、カリフラワー、いか、ムール貝、クコ、シークワーサーなどが挙がります。

 

これらの“腎の機能にうれしい食材”を使ったおススメレシピの1つ目は「蓮根とえりんぎの黒ごまきんぴら」です。手軽に使える黒い食材として一番に想起される“黒ごま”を使って、気軽に作れるレシピにしてみました。

 

作り方は、蓮根(100g)は皮をむき、3mm厚の銀杏切りにして酢水に浸けます。縦に細く割いて3cm程度の長さに切ったえりんぎ(2本)を蓮根と合せて、フライパンにごま油をひいて炒めます。全体にごま油がなじんだら、しょうゆ(大さじ2)・みりん(大さじ3)・酒(大さじ1)を加えて、水分がなくなるまで炒めます。仕上げに黒ごま(大さじ1)を加えて、全体によく絡ませます。器に盛りつけて、水で戻したクコ(大さじ1)を上からふりかけたら出来上がりです。

 

黒ごまは「身体に精と血を補って、肝と腎の機能を助ける」働きが期待できます。中国の古代思想である陰陽論から考えると、“精”は陰・陽に分かれる前の“源”と捉えることが出来るので、黒ごまはとても身体に嬉しい食材と紐解くことが出来ます。一緒に合わせた蓮根は「腎のコンディションを整えて、精を身体に留める」働きが、えりんぎは「身体に気と潤いを補って、血と潤いのめぐりを良くする」働きが期待できます。

 

つまり、黒ごま・蓮根・えりんぎを合せることで「源流物質の精を身体に留めて、気・血・潤いを補って肝と腎のコンディションを良くする」ことができる、身体に嬉しいトリオになるので組み合わせてみました。最後にふりかけたクコも「肝と腎の機能を助けて目の疲れを改善する」働きが期待できます。黒ゴマ・蓮根・えりんぎトリオを効能面でもしっかりと支えてくれるので、赤色の見た目の華やかさも加えておススメレシピにしてみました。

 

この季節に活躍させたい「黒米」そしてムール貝、いかと「杜仲茶」でパエリアを

2つ目も腎の機能を補うレシピとして「ムール貝といかの黒米杜仲茶パエリア」を紹介します。こちらも黒い食材として名前は挙がるものの、「黒米ってどうやって使うの…」という声の印象も多いので、その一つの方法としてお伝えできればと思ってレシピにしてみました。

 

作り方は、まず“材料の準備”をします。いか(70g)の胴を輪切りに、玉ねぎ(1/2個)・にんにく(1片)・種を外したなつめ(2個)をみじん切りにします。カリフラワーは小房(8~10個)を残してみじん切りにします。鍋のお湯(500ml)に杜仲茶(ティーバッグ1包)を入れて5分煮だし、ティーバッグを取り除いて杜仲茶を作ります。

 

次に“調理・炊飯”に移ります。フライパンにオリーブオイルをひいて、いかに焦げ目がつくまで炒めた後、みじん切りにした玉ねぎ・にんにく・なつめ・カリフラワーを合せます。次いでムール貝(10個:貝殻あり・なしどちらでも良い)・カリフラワー(小房)・杜仲茶(500ml)・塩(小さじ1/2)を加えてひと煮立ちさせる。いか・ムール貝・カリフラワーを一度取り出した後、白米(1合)・黒米(1/2合)を入れ、強火5分、さらに弱火12分、仕上げに強火20秒で炊き上げる。最後に、一度取り出したいか・ムール貝・カリフラワーを戻し入れて、くし切りにしたシークワーサー(1/2個)を盛りつけたら出来上がりです。

 

黒米をはじめて使うなら、オススメは「乾煎り」すること。ムール貝も便利です

国産の古代米の例。左から緑米、赤米、右端が黒米(紫黒米)。

白米だけであれば硬さはまったく問題ないのですが、黒米を入れると少し歯ごたえを感じる方がいらっしゃるかもしれません。その場合は、白米と黒米を合せる前に、黒米だけ“乾煎り”しても良いです。フライパンに油をひかずに1分程加熱するだけです。黒米に火が入るとポップコーンのようにはじけます。1つはじけるのを目安に白米と合せても良いですし、半分くらいはじけさせてから白米と合せても良いです。“乾煎り”を1度入れてみるとかなり印象が変わると思います。

 

黒い食材として名前は挙がる黒米は「身体に潤いを補い、血のめぐりを良くして腎の機能を助け、目の疲れを改善する」働きが期待できます。「黒米ってどこに売ってるの…」という声の印象も多いのですが、道の駅や物産館でよく見かけることがあります。この黒米に合わせた玉ねぎは「身体をめぐる気と血と水分のめぐりを良くする」働きが、にんにくは「体表の毛穴を開き、身体を温めて咳を鎮める」働きが、なつめは「身体に気と血を補う」働きが期待できます。

 

黒米と一緒に炊飯した玉ねぎ・にんにく・なつめはすべて「温性」の食材なので、パエリアのベースを支えるお米部分が「黒い食材の黒米も摂れる身体を温める食べ物」になるので、寒さがグッと深まる大雪の時季におススメと感じて組み合わせてみました。

 

パエリアを見た目から美味しく感じさせる具材で使ったいかは「身体に血と潤いを補って血のめぐりを良くする」働きが、ムール貝は「身体を温めて精と血を補い、肝と腎の機能を助ける」働きが、カリフラワーは「腎の働きを助けて健やかな身体を作る」働きが期待できます。

 

1つ目のレシピで紹介した黒ごまと同様に、ムール貝も陰陽の源流物質の“精”を補うことができるので、とても身体に嬉しい食材と紐解くことが出来ます。ムール貝はスーパーの海鮮冷凍コーナーで見かけることが多いです。殻が付いていたり外してあったりと様々ですが「身体に嬉しい食材」をスーパーで目に出来るだけで嬉しくなり、身近に活用してもらえる食材になって欲しいという想いでおススメレシピにしてみました。

 

次回は陰が極まる冬至です。ここからまた陽の世界に一歩ずつ踏み出します。

 

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