冬の感染症が猛威をふるう12月「大雪」の時季は「腎」が影響を受ける。食べておくべきものは意外にも…え、本当?

こんにちは、再春館製薬所の田野岡亮太です。

2025年は12月7日から21日が大雪です。

1年に二十四めぐる「節気」のありさまと養生について、ここ熊本からメッセージをお送りします。

 

【田野岡メソッド/二十四節気のかんたん養生】

いよいよ冬が本格化する「大雪」。そんなときにケアしたいのは「腎」

大雪のひとつ前の節気、「小雪」では山に雪が積もり始めていました。「大雪」になると雪は町にも降り始めます。だんだんと人の住んでいるところにも雪が降る時季、木の葉もすっかり散り終えました。と言いたいのですが、近年は暦と季節にズレが生じることも多い印象で、熊本では12月上旬でもまだ紅葉が楽しめる年もあります。写真は熊本城の大イチョウが紅葉最盛期に真っ黄色の葉をたっぷりとたたえるひと時の光景です。

 

ご好評をいただいている再春館製薬所への通勤道の四季シリーズ、今回は畑にビニールトンネルが出現しました。トンネルは例年12月頭からちらほら出現します。日中はトンネルの中が温室になって暖かく、厳寒期でも霜などの影響を受けることがなく安心して栽培を続けられるそうです。もう少し先の季節になると「ここはこれを植えていだんたな!」と気づくことができ、それも楽しみです。

 

「腎」はなぜ寒さの影響を受けやすい?答えは「水」を扱うから

さて、大雪の頃、冬本格化の時季に気遣いたいのは「腎」の機能です。腎の機能とは、腎臓・膀胱・尿道・子宮・卵巣、男性では精巣も含めた臓腑で、「次の世代へ命をつなぐ」働きがイメージしやすい代表的な機能になります。

 

寒い季節“冬”に活躍したくなる“腎”の機能は、精(エネルギー)を貯蔵する大仕事を担っています。中医学の捉え方では「精血同源(せいけつどうげん)」なので、“精”を貯めることに気遣う時は肝の機能に貯まる“血”もケアしてあげることが重要になります。

 

腎が担う働きとして次に挙げたいのは「津液(しんえき)のめぐり」。人間の身体には、年齢にもよりますが水分が約70%含まれていると言われます。身体の水分は、めぐっていると状態が良く、滞っていると不調のもとになります。自然界でイメージすると、常に流れのある清流はきれいな水であり続けますが、流れがなくなりよどんだ“水のたまり場”的なところには苔が生え始めたりします。

 

水は常に“流れがあること”でコンディションが良くなるのですが、身体の中でも同じイメージです。中医学には「陰と陽」の考え方があり、“水は陰”に属します。水に対して、対立したり制約したりしながら存在するのは“陽の火”で、これを担うのが腎の陽(=腎陽)と考えます。

 

身近なもので例えると、鍋に水(=陰)を入れても水は自由には動きません。この鍋を火(=陽)にかけると、水が水蒸気となって空気中を「自由に動き回る」ようになります。ただし、冬の水場は寒さをとても厳しく感じます。腎の機能も“水”を扱うので寒さの影響を受けやすい環境にあります。そんな腎ですので、外からの寒さに負けないように温めてあげたいですね。

 

腎を温める意外なレシピ。1つめ、あまり季節を感じないけれどパワーはすごくて…?

“腎の機能にうれしい食材”でおススメなのは、ニラ、たまご、豚肉、牡蠣、羊肉、枝豆、クコ、さつまいもなどが挙がります。

 

これらの“腎の機能にうれしい食材”を使ったおススメレシピの1つ目は「ニラたま」です。季節の印象があまりないメニューではありますが、実は寒い時季におススメです。使われる食材を中医学の視点で見つめて見ると、この時季にとてもおススメなものばかりでしたので、食材の効能をお伝えしたい一心でおススメレシピにしてみました。

 

作り方は、フライパンにごま油をひいて豚肩ロース肉(200g)を炒め、3cm幅に切ったニラ・しょうゆ(大さじ1)・オイスターソース(大さじ1)・みりん(大さじ2)を加えて炒めてお皿にとります。ごま油をひきなおしたフライパンに溶きたまごを入れて、半熟炒りたまごにします。先ほどの豚肉・ニラ炒めの上に乗せたら出来上がりです。

 

ニラは「身体に熱を補い、気と血のめぐりに働きかけて肝と腎の機能を助ける」働きが期待でき、たまごは「身体に血と潤いを補って腎の機能を整える」働きが期待できます。豚肉は「身体に血と潤いを補って腎の機能を助ける」働きが期待できるので、ニラ・たまご・豚肉が一堂に会すことで「補われた血と潤いがめぐり始め、肝と腎の機能のサポートになる」と読み解くことが出来ます。今回は調味料にオイスターソース(=牡蠣)を使いました。牡蠣は「身体に潤いを補い、肝に血を補う」働きが期待できます。美味しさを目的に加えていますが、調味料としてだけではなく「身体への効能」の点でもニラ・たまご・豚肉のトリオを支える嬉しい存在です。

 

寒さが深まるこれからの時季、「手軽に身体のためになるレシピ…」と思ったら、一番に想起いただけると良いと思ってレシピを紹介させていただきました。

 

「羊とさつまいも」意外な組み合わせがこの時期の身体を整える

2つ目も腎の機能を補うレシピとして「羊肉のさつまいも煮込み」です。「冷えが厳しくなってきたら身体に熱を与える羊肉」のようなフレーズを耳にされたこともあるかと思いますが、最近はスーパーの精肉コーナーでも少しずつ目にすることが出来る店舗も増えてきましたので、「ちょっと身近に感じるきっかけ」になれば良いなと思ってレシピにしてみました。

 

作り方は、ラム肉(300g)に塩(小さじ1)・こしょう(小さじ1)で下味をつけ、さつまいも(1/2本)は一口大に切ります。鍋にオリーブオイルと薄切りにしたにんにく(1片)を入れて弱火で香りが出るまで炒め、さらに1cm幅に切った玉ねぎ(1/2個)を加えて炒めます。玉ねぎがしんなりしてきたらラム肉を入れ、表面の色が変わったら料理酒(100ml)を加えて強火でアルコールを飛ばします。ラム肉が浸る程度の水を入れ、塩(小さじ1/2)・りんご酢(小さじ1)を加えてフタをして弱火で1時間ほど煮込みます。ラム肉が柔らかくなったら、さつまいも・枝豆(10さや分)を加えてさらに30~40分ほど煮ます。さつまいもが柔らかくなったら器に盛りつけて、水で戻したクコ(10個)・三つ葉(2本)を添えて出来上がりです。

 

羊肉は「身体を温めて血を補い、腎の機能を助ける」働きが、さつまいもは「身体に潤いを補って腎の機能を助ける」働きが期待できます。一緒に合わせた玉ねぎは「身体をめぐる気・血・水分のめぐりを良くする」働きが、枝豆は「身体に血を補い、水分のめぐりを良くして腎の機能を助ける」働きが期待できます。

 

肉じゃがをイメージして“羊肉&さつまいも”を組み合わせてみたのですが、「血と潤いを補って腎の働きを助ける」とそれぞれの効能が補い合い、重なり合う形で腎の機能をサポートします。さらに、羊肉は身体を温める作用が強い「熱性」の食材、一緒に合わせた玉ねぎ・にんにくは「温性」の食材なので、寒さがグッと深まる大雪の時季にはおススメの「食べた食材の効能から温まることが出来る組合せ」と感じたのでおススメレシピにしてみました。

 

来春を見据えて身体に精(エネルギー)を貯める腎の機能は、津液(しんえき)のめぐりを担う水に関係する働きで冷えの影響を受けやすい特徴があります。この時季はスーパーの食材コーナーで、温性の食材、腎を補う食材を手にすると身体が喜びます。

 

 

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