「もう一緒に暮らせない」モラハラ夫と離婚する決意をした私が始めた「具体的な準備」とは【2025年度ベスト記事セレクション】
「いままで何を我慢してきたのか」
その夜、Mさんは子どもたちを寝かせたあと、ひとりベッドの上で考えていました。玄関先で立ち尽くしたときの夫の勝ち誇った顔が、何度も頭に浮かびます。
「私は今まで、いったい何を我慢してきたんだろう」
胸の奥から、押し込めていた感情がせり上がってきました。
Mさんは正社員として働いており、収入の不安はありません。離婚すれば住居や生活の面で不便もあるでしょう。それでも、自分と子どもたちが「心の自由」を手に入れられるのなら、その価値は十分にあるはずでした。
それなのに「離婚は子どものためにならない」と思い込み、夫のモラハラに耐え続けてきたのです。けれどもその間、子どもたちは父の足音におびえ、無理に笑顔を作り、母をかばい続けていました。「自分が我慢すれば家が平和になる」と信じてきたけれど、それは「怒らせないことが正解」という歪んだルールを子どもに植え付けていただけでした。
その事実に気づいたとき、胸が痛むと同時に、強い決意が芽生えました。「これ以上、子どもたちをこの環境に置き続けるわけにはいかない」Mさんはノートを取り出し、離婚に向けてやるべきことを書き出しました。
・生活費の通帳とカードを分けて管理する
・子どもたちの学校や習い事の連絡先を整理する
・住民票や保険証など必要書類をひとまとめにする
・実家や信頼できる友人に連絡し、緊急時に助けを求められる体制をつくる
書き出すうちに、頭の中が少しずつ整理されていきました。
その夜、小さなバッグに、いざという時に困らないように保険証や通帳などを入れました。「何かあっても、すぐに出られるようにしておこう」そう思いながら、親友にLINEを送りました。
「もう決めた。少しずつ準備を始めるね」すると、「なんでも手伝うから」という返事がすぐにきて、涙があふれてきました。味方がいると思えたことで、Mさんの心はほんの少し軽くなりました。
モラハラ夫の「懲らしめ行動」は、相手を怖がらせて支配を回復しようとするものです。我慢を重ねれば重ねるほど、夫は「まだ言うことを聞く」と確信し、支配は強まります。子どものためと思って沈黙することが、かえって「顔色をうかがう生き方」を教えてしまう危険があります。
「もうこの人とは一緒に暮らせない」と思ったら……。Mさんのように、少しずつ準備を始めることが心と未来を守る第一歩です。書き出すだけでも頭の整理になりますし、信頼できる人に話すことで孤独が和らぎます。
あなたの我慢は、あなたや子どもを守る唯一の方法ではありません。
安全に暮らせる未来のために、動き出してもいいのです。
<<前編:子どもたちの前で「お前らの母親は最低」と罵倒してくる夫。夜中に子どもごと家から締め出された日から、私は変わった
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