ウイルスや寒さの影響で体調を崩しがちな「冬至」の時季、「意外な3つの海鮮」を食べるべし?1つは赤くて2つは白くて

こんにちは、再春館製薬所の田野岡亮太です。

この冬の冬至の期間は2025年12月22日から2026年1月4日。

1年に二十四めぐる「節気」のありさまと養生について、ここ熊本からメッセージをお送りします。

 

【田野岡メソッド/二十四節気のかんたん養生】

1年のうちで太陽がいちばん低い軌道を通るのが冬至

最も昼が短いのが冬至です。冬の真ん中であり、真冬の始まりとも言われます。冬至の日は、日中に太陽が空を移動した軌道の高さが1年で最も低くなるため、物の影が一番長くなります。冬至の次の日からは、また軌道が少しずつ高くなっていくので、影が短くなりはじめます。

 

影を陰、明るい部分を陽とすると、「影が短くなり始める=陽が回復し始める」とも捉えることができるので“一陽来復(いちようらいふく)”と表現されます。

 

およそ3,000年前の中国で“圭表(けいひょう)”あるいは“土圭(とけい)”と呼ばれた「影を測定する棒と目盛」を建てて太陽と影を観測した結果、最も影が長い日を「冬至」、最も短い日を「夏至」、1年の間で昼間の棒の影の長さが同じで、昼夜が等しい日をそれぞれ「春分」「秋分」と定めたそうです。そういう区切りの日と思うと、何か感慨深くなりますね。

12月中旬の阿蘇は例年、抜けるような空を感じることが出来る空間です。空気は冷たいのですが、「太陽のどことない温かさと力強さを感じる」と思ったりもしましたが、太陽の軌道が低いために太陽を近く感じたからなのかもしれません。カルデラ地形の阿蘇は1年を通して神秘的な空気を感じることが出来ますが、冬の阿蘇も気分転換にはおすすめです。

 

熊本は九州の中央に位置していて、山は阿蘇、海は天草(あまくさ)から自然の力を感じることが出来る土地です。再春館製薬所や熊本空港からだと、車で30分走ると阿蘇を感じられる景色に変わります。

 

清らかに湧き続ける水源を見ながら涼をとる夏の阿蘇、黄金の稲穂が一面に広がる秋の阿蘇、太陽が温かく感じられる冬の阿蘇、野焼きを行う春先の阿蘇、といろいろな景色が見られますが、陽が満ちて見渡す限り黄緑色に包まれる新緑の阿蘇が待ち遠しくも感じられます。

 

天草の海は熊本空港からだと2時間ぐらいかかる距離ですが、気分転換には適度な距離かもしれません。有明海は遠浅な海で、真鯛・車えび・太刀魚などが有名です。さらに釣り船に乗って1時間ほど走ると大洋、東シナ海に出ることができます。ここまで来ると見渡す限り“360°水平線”という日常にはない風景に出会うことが出来て、大自然の中で生きていることを実感します。この時季は天然の寒ブリを釣り上げられることが出来るのも魅力のひとつです。

 

冬には膀胱も気遣いたい。「尿をためて出す」だけではないその役割は

寒い冬は“腎”の機能を気遣って欲しいのですが、腎とは腎臓だけではなく、膀胱・尿道・子宮・卵巣、男性では精巣と、次の世代に命をつなぐ働きを持ちます。この腎臓と膀胱は「つながっている」「連携している」の“表裏関係(ひょうりかんけい)”にあります。ですので、腎をケアすることは、表裏関係の膀胱をケアする事でも貢献できます。

 

膀胱は「尿をためて体外に排出する」という働きをしていますが、足太陽膀胱腑(あしのたいようぼうこうふ)という経絡(けいらく)で身体表面の防衛機能ともつながっています。寒い冬は、体調に影響を及ぼしやすい「寒さ」「ウイルス」などが身体表面にくっつきやすくなります。身体表面の防衛機能である“衛気(えき)”がしっかり働けるように整えて、寒さ・ウイルスで体調を崩さないようにしましょう。

 

身体表面の防衛機能である“衛気(えき)”の整え方のひとつに「膀胱のコンディションを良くする」ということが挙がります。膀胱と衛気は経絡でつながっている関係なので、膀胱のコンディションが崩れてしまうと、身体表面をまもっている衛気から膀胱に向けて援軍が供給されます。おかげで膀胱のコンディションは幾分良好になりますが、供給した分だけ身体表面の防衛機能は手薄になってしまい、寒さ・ウイルスが居座りやすくなってしまいます。

 

そうです!発熱・寒気などの風邪の初期症状の確率が上がってしまいます。ですので、寒い冬に身体表面の防衛機能がしっかり働くことが出来るように、膀胱のコンディションも整えておきましょう。

 

腎と膀胱に働きかけるレシピ、1つ目は「いかとほうれん草のくるみ酢みそ和え」

膀胱のコンディションを整えると、表裏関係の腎のコンディションも整います。腎と膀胱に働きかけられるレシピを2つお伝えします。

 

“腎・膀胱の機能にうれしい食材”でおススメなのは、いか、えび、帆立、くるみ、クコ、ズッキーニ、のりなどが挙がります。これらの食材を使ったおススメレシピの1つ目は「いかとほうれん草のくるみ酢みそ和え」です。

 

くるみは脳の形をしているから記憶力に良いけれど、ドライナッツとしてそのまま食べるぐらいしかしない…という声の印象が多かったので、スーパーで普段目にする身近な食材と合わせて“身近なレシピ”にしてみました。

 

作り方は、まず“具材”の準備をします。クコ(大さじ1)を予め水に浸して柔らかく戻します。ほうれん草(1わ)は湯がいた後に絞り、4cmほどの長さに切り、いか(200g:ボイル刺身)を4~5cmの大きさに切ります。

 

次に“くるみ酢みそ”を作ります。くるみ(10g:5~6個)を粗みじん切りにしてボウルに入れ、酢(大さじ2)・白みそ(大さじ2)・きび砂糖(大さじ2)を加えて混ぜ合わせます。くるみ酢みそのボウルにクコ・ほうれん草・いかを加えて混ぜ合わせ、器に盛りつけたら出来上がりです。


酢みそに混ぜ合わせたくるみは「身体に精を補い、腎の機能を助けて記憶力を保持して、大腸に潤いを補う」働きが期待できます。中国の古代思想である陰陽論から考えると、“精”は陰・陽に分かれる前の“源”と捉えることが出来るので、くるみはとても身体に嬉しい食材と紐解くことが出来ます。そして、先ほど「脳の形をしているから記憶力に良い」と紹介させていただきましたが、中医学も同じ捉え方をしています。

 

“くるみ酢みそ”に合わせたいかは「身体に血と潤いを補って、血のめぐりを良くする」働きが、ほうれん草は「身体に血と潤いを補い、肝の機能を整えて、便通を良くする」働きが、クコは「腎の機能を助けて目の疲れを改善する」働きが期待できます。いか・ほうれん草・クコをくるみ酢みそで和えることで、「身体に精・血・潤いを補って、腎と肝の機能を助けて、目の疲れ・大腸の潤いに働きかける」効能を持つレシピになりました。冬至の時季の身体を気遣う“身近なレシピ”となることを願ってレシピにしてみました。

 

カラダに熱を補う温性の海鮮食材、えび。「えび・帆立・ズッキーニのアーリオオーリオ」

 

2つ目も腎・膀胱の機能を補うレシピとして「えび・帆立・ズッキーニのアーリオオーリオ」を紹介します。えび料理をお店で注文するとそこそこの価格になってしまうのですが、スーパーで「食材のえび」を見ると比較的大きめのえびがかなりお手頃価格で入手できます。“えび”は身体に熱を補ってくれる「温性」の海鮮食材として想起No.1に挙がるので、冬至の時季にもやっぱりおススメ食材と思いレシピにしました。

 

作り方は、えび(10尾)の殻をむいて背ワタを取り、ベビー帆立(10個)と合せて、酒(大さじ2)・塩こしょう(少々)で下味をつけます。ズッキーニ(1本)は厚さ5mmの輪切りに、にんにく(1片)は包丁の腹でつぶします。

 

次に、調味料を合せます。ボウルに塩(小さじ1/2)・しょうゆ(小さじ1)・黒こしょう(少々)・みじん切りにした刻みのり(1g)・水あめ(小さじ1)・酒(大さじ1)を入れて、しっかり混ぜ合わせます。

 

最後に、フライパンにオリーブオイル(大さじ1)・にんにくを入れて熱し、中火でズッキーニを炒めます。ズッキーニの片面に焼き色がついたら裏返し、えび・ベビー帆立を合せ入れて、合せた調味料を加えて炒めます。えび・ベビー帆立に火が通ったら器に盛りつけて出来上がりです。

 

えびは「身体を温めて気を補い、腎の機能を助ける」働きが、ベビー帆立は「身体に潤いを補って肝と腎の機能を助ける」働きが、ズッキーニは「身体に潤いを補って尿の出を良くする」働きが期待できます。

 

先ほど膀胱の話を紹介させていただきましたが、尿意を我慢すると身体のバリア機能である衛気から援軍をもらってしまうことになります。えび・ベビー帆立・ズッキーニがトリオになることで、「身体を温めながら尿をしっかり出しきる」「腎臓・膀胱の働きである腎の機能を助ける」「精血同源(せいけつどうげん)で腎の機能と深く関係する肝の機能も助ける」という働きが期待できるようになります。

 

レシピ名のアーリオオーリオはイタリア語で、アーリオ(aglio)はニンニク、オーリオ(olio)は油(特にオリーブ・オイル)のことを指します。身体に熱を補ってくれる「温性」の海鮮食材として想起No.1の“えび”を身近な食材に感じていただきたくて、フライパンひとつで出来るお手軽レシピをおススメにしてみました。

 

そして、調味料で合せたのりは「身体の水分のめぐりを良くして詰まりを取り除き、咳を鎮める」働きが期待できます。のりを入れなくても味は成立しますが、寒さが深まる冬至の時季なので「水分のめぐりを良くして詰まりを取り除く働き」を重ね合わせたレシピにしてみました。

 

寒さ・ウイルスの影響で体調を崩してしまうことがないように、一見すると身体の中で関係なさそうですが実はつながっている膀胱・腎のケアに気遣っていただきたいと思います。

 

連載中の「田野岡メソッド」が書籍になりました!

『ご自愛薬膳』田野岡亮太・著 1,980円(10%税込)/主婦の友社 

「身近にある旬の食べ物が、いちばんのご自愛です!」 田野岡メソッド連載で繰り返し語られるこのメッセージが、1冊の書籍にまとまりました。近所のスーパーで手に入る身近な食材を使い、更年期をはじめとする女性の不調を軽減する「薬膳」を日常化しませんか?

日本の漢方では「その症状に処方する漢方薬」が機械的に決められていますが、本来の中医学では症状と原因は人それぞれと捉えます。それに合わせた効果的な食事を「薬膳」とし、食で養生するのが基本なのです。

田野岡メソッドに触れると、スーパーの棚が「薬効の宝庫」に見えてきますよ!

アマゾンはこちらから

スポンサーリンク

スポンサーリンク

スポンサーリンク