コンビニバイトに「買い取りノルマ」が!これって違法じゃないの?

 

「明日までに全員で30個売りましょう!」

 

チームを鼓舞するような店長の言葉は、時に人を追い込むプレッシャーの言葉へと変貌します。

 

目標が達成できなかった場合、気持ちの優しい人は特に、『自分で買い取ろう』と思ってしまうものです。また、店長に「買い取れ」と言われたら、それに歯向かうことができず、素直に従ってしまう人もいるでしょう。

 

しかし、そもそもそんなノルマをアルバイトに課してもよいのでしょうか? 減給や休みカットなど、待遇に影響するような責任を要求されたとしても、泣き寝入りするしかないのでしょうか?

 

この記事では、アルバイトがノルマを課せられることの違法性について、解説していきます。

 

一般的にはびこるノルマ制度

Q.休みの日にコンビニでバイトをはじめましたが、パートさんいわく、その店はお中元やクリスマスケーキの買い取りがあるそうです。必達のノルマというわけではなく、「当然買うよね?」という断りにくい誘導で勧められるそうなのですが、これってアリなんですか?(41歳 会社員)

 

よくありそうなこのケース。

 

『買わなければいけない空気』を察して買ってしまうのは、いかにも日本人らしいですよね。売れ残りの負担を従業員皆で負担しようという気構えはすばらしいのかもしれません。

 

が、しかし…。

 

それが『自主的』ではなく『強制的』だった場合は、果たして適法なのでしょうか。

 

こんなケースは違法になる?

先ほどの質問のケースでは、『買わなければいけない空気』という言葉の解釈が争点になってくると思われます。

 

『買え』と強制されたのか、それとも『あくまで自己判断』と言われているのか。そこが違法性を分ける大きなポイントになるでしょう。つまり、従業員が何の指示や命令も受けないで任意で商品を購入することは適法ですが、会社がこれを命じて購入を強いる行為は適法とはいえません。したがって、このような命令に従う義務はなく、命令違反を理由にペナルティを受けても、そのようなペナルティは無効です。

 

また、会社側が従業員に購入を命じ、購入費用を一方的に給料から天引きするなどした場合は、労働基準法24条の定める賃金全額払の原則に抵触しますので、差額を支払うよう会社に求めることが可能です。

 

したがって、仮に会社側から『商品を購入するように』と指示・命令されたような場合は、会社に対して『買うつもりはない』と明確な意思を伝えてください。もし1人でこれをするのが不安であれば、他の従業員と協力して意思表明をするのもありだと思います。

 

そこでもし、

 

「ダメだ!絶対に買え!」

「買わないとクビだ!」

「これはお前の責任でもあるんだ!」

 

などといったように、買取を強制するような言動があった場合は、違法なパワーハラスメントにあたる可能性も出てきます。

 

この言い方ってアウト?セーフ?

買い取りを命じる言葉はさまざまなものがあるかと思います。では、いったいどこからがアウトでどこまでがセーフなのでしょうか?

ポイントは買い取りを強いられたかどうかです。

 

例①
店長「売れ残りがあったので、一人5個ずつ買ってもらいます」
私「いえ、私はそんな契約はしていないので買取はできません」
店長「いや、お前の責任なんだから買い取りなさい」
私「いや、でも私たちは売る努力はしましたし、その責任をバイトに負わせるのは…」
店長「いや、お前たちがもっと頑張れば売れたんだ!買い取ってもらわなければクビだ!!」
私「そ、そんな…」

 

このような会話がされた場合は、買い取りを強要するものとして違法な命令といえそうです。

違法な命令には従う必要はありません。また、買い取りをしなかった場合に解雇するという脅し文句は、違法なパワーハラスメント行為に当たる可能性があります。

 

例②
店長「みんなで過去最高の売上を達成しよう!」
私「いいですね!どうやって売上を伸ばしましょうか?」
店長「みんなで話し合おう」
私「POPを作ってもいいですか?」
店長「もちろんだ!」
私「買ってもらうために接客にも気をつけましょう」
店長「よっしゃー!みんな頑張ろう!」
アルバイトたち「頑張りましょう!」

 

上記では物品の買い取りなどを強いていませんので、特に違法な点はありません。

 

そもそも論として、アルバイトのモチベーションが上がるような雰囲気を作ることが大切でしょう。そのためには、常日頃からコミュニケーションを取ることが重要かもしれません。

 

ペナルティを課せられた場合の対策

店舗が定める売上目標が未達だった場合にペナルティを課すことは、場合によっては違法となります。例えば、目標未達だから罰金を支払わせることや、毎月の給与を減額するということは違法です。このような場合は以下のような対応が考えられます。

 

労働基準監督署に相談する

労働基準法に反した行為をした場合には、労働基準監督署に相談することで、会社へ指導をしてもらうことができます。

 

この際、売れ残りを買い取ることを命じられたことや、減給されたことなど、証拠を持っていくことが大切です。証拠がなければ労働基準監督署は動いてくれませんので、いつどのようなことをされたのか、またはどんなことを言われたのか、なるべく多くの証拠を持っていくようにしましょう。

 

仲間とともに声をあげる

『当然買うよね?』という空気が現場に流れているときに自分だけ買わないのは、とても勇気のいることだと思います。

 

しかし、もしかしたらあなただけではなく、職場の仲間たちも『買いたくない』という同じ気持ちを抱えているかもしれません。

 

1人で『買いたくない』と発言するのは難しいと感じても、同じ気持ちをもった仲間と一緒であれば、声をあげることも可能でしょう。

 

買い取りを要求され、それに応じたくないのであれば、仲間とともに買取拒否の声をあげてみてはいかがでしょうか。

 

辞める

辞めることは決して後ろめたいことではありません。ストレスを持ちながら働き続けても残るものは多くなく、むしろ失うものの方が大きいです。健康を壊すこと、お金を失うことなど、我慢して働き続けることのリスクはとても大きいでしょう。

 

買い取りなどのペナルティがあまりにも大きい場合、辞めるという勇気ある決断を下すことも大切です。

 

まとめ

売れ残り商品の買い取りを命じられても、従う必要はありません。違法な命令を我慢して受け入れることなく、勇気をもって行動に移していきましょう。

 

★編集部より/あなたの「これってどうなの?」法律素朴な疑問をお寄せください!

無記名でOKです!応募はこちらから

 

【関連記事】

スポンサーリンク

この記事を友達に教えたい!と思ったら、シェア!

 

この記事が面白かったら

「いいね!」してね

 

「ゼクハラ」って何だか知ってる?36種類もある「○○ハラ」全リスト

財務省事務次官のセクハラ、日大アメフト部のパワハラ、体操女子のパワハラなど、今年もハラスメント問題は頻繁に話題に上がっています。実はハラスメント行為は、セクハラ…

女性管理職のみなさん!これを部下の男性に言ったらセクハラですよ!

セクハラやパワハラは社会問題となっていますが、減少していかないのが現状。その原因の一つに、立場を利用したものが多く、なかなか表に出てこないということがあります。…

【知ってた?】年収500万以上ないと日雇い派遣で働けない!?

すぐに仕事を入れられて、すぐにお給料がもらえる日雇い派遣。急にお金が必要になった時、重宝しますよね。筆者も学生時代はよく利用していました。実はこの日雇い派遣に関…

今さら聞けない素朴なギモン「仕事用の文房具って、自腹で買うべきもの?」

こんにちは。あなたの弁護士編集部です。突然なのですが、みなさん、仕事で使う文房具にかかる費用は自分で出していますか? それとも、『経費』として会社が出してくれま…

【弁護士執筆】セクハラが「イケメン無罪」でおじさん有罪って本当?どういう定義なの?

連日ハラスメント問題がテレビ等で報道されております。以前の私は、「ハラスメント」問題は重要であるとは思いながらも、個別の労働問題の一つの論点としか認識していませ…

知ってた?本業+副業でも「8時間以上働けば残業代が出る」ってこと

2018年は『副業解禁元年』と呼ばれており、今年に入ってから副業を解禁した企業も非常に多くなりました。私の友人も、昼間の本業の後、夜は地元のコンビニでアルバイトをし…

「副業禁止」の副業の範囲って、どこからどこまで?

一般的には、副業はよくないものとして認識されているかもしれません。しかし、一言で『副業』といっても、いったいどこからどこまでが副業で、どこからがアウトなのでしょ…

女同士でもセクハラになる!こんな言葉にご注意

『セクハラ』というと、一般的には男性が女性に対してやってしまうことという印象があるでしょう。ですが実際には、かなり限定的なケースではありますが、同性間でもセクハ…

時代錯誤! 女だけ「無給で1時間早く出社」で雑務する会社の残念な結末

近年では(…といっても随分経ちますが)男女雇用機会均等法の浸透や、女性の働き方についての喚起が叫ばれてきた影響もあるのか、過去のように女性がお茶くみをしたり、事務…

退職したいけど認めてもらえない!どうしたらいい?

「辞めたい」と会社に伝えても、なかなか辞めさせてくれない場合、どうすればよいのでしょうか?会社側から、「辞められたらみんなに迷惑がかかる」「損害賠償を請求するぞ…

夜の夫婦生活はいつまで?50代からの性事情とセックスを拒否するリスク

40歳50歳を過ぎても、夫(妻)が夫婦生活を求めてくることもあります。しかし、体力の限界を感じていたり性欲がまったくわかなかったりすると「いつまでしなくちゃいけないの?」と感じてしまいますよね。また「こんな…

「ゼクハラ」って何だか知ってる?36種類もある「○○ハラ」全リスト

財務省事務次官のセクハラ、日大アメフト部のパワハラ、体操女子のパワハラなど、今年もハラスメント問題は頻繁に話題に上がっています。実はハラスメント行為は、セクハラやパワハラ以外にもたくさんの種類がありま…

知ってた?本業+副業でも「8時間以上働けば残業代が出る」ってこと

2018年は『副業解禁元年』と呼ばれており、今年に入ってから副業を解禁した企業も非常に多くなりました。私の友人も、昼間の本業の後、夜は地元のコンビニでアルバイトをしています。以前の話にはなりますが、筆者の…

夫に「隠し子」が…!! 認知している婚外子がいることで起こり得るトラブルって?

去年、1年間付き合った男性と結婚し、今年の初め妊娠が発覚しました。幸せいっぱいの毎日でしたが、先日、夫のスマホの写真フォルダ内に、3、4歳ほどの女の子の写真が複数枚(すべて同じ人物)入っているのを発見し…

大事な会議の日に部下から有給休暇を申請された!拒否することはできる?

「会社の今後の運営方針を決めるような、そんな大事な会議の日に有給休暇を申請された…。」こんなとき、申請拒否することはできるのでしょうか?それとも、どんな理由であれ、労働者のもつ権利である有給休暇の申請…

【意外と知らない?】『婚約』と『婚姻』の違いってなに?

『婚約』と『婚姻』似たような言葉ですが、実は大きな違いがあります。一体どこが違うのでしょうか?『婚約』とは、法律的には『婚姻』の約束をすることです。とはいえ、これだけではよくわからないですよね。この記…

退職したいけど認めてもらえない!どうしたらいい?

「辞めたい」と会社に伝えても、なかなか辞めさせてくれない場合、どうすればよいのでしょうか?会社側から、「辞められたらみんなに迷惑がかかる」「損害賠償を請求するぞ」などと言われたら、なかなか行動に移すこ…

それ、私のお金…!!元婚約者との共同預金は誰のもの?

今年で同棲1年を迎え、付き合って2年の記念日である9月に結婚の約束をしました。7月に約束し、両親への挨拶、式場の下見まで済ませた彼なのに、急にうまくいかなくなって、別れてしまいました…。それ自体、すごく…

知っておきたい「ノルマ達成」合法・違法の分かれ道って?

土日はしっかりと休むことができ、安定した給料をもらえるというイメージの強い郵便局。しかしその実態は、ブラック企業ともいえるほど、劣悪な面もあわせ持っているようです。実は、日本郵便株式会社は、2016年のブ…

そんなのアリ⁉ セックスレスを理由に離婚を迫られた夫婦

結婚したいけど、年齢や体力的にセックスしたくない人も少なくないと思います。しかし、セックスレスが不倫や離婚の原因になってしまうことも少なくありません。たとえ、結婚前に「セックスなしでいいよ」と約束して…

注目の記事

WORKに関する最新記事