更年期世代の春の身体が「ゆらぎやすい」理由は?中医学には「引き締める」食材があって
こんにちは、再春館製薬所の田野岡亮太です。
立春の次の節気、2026年の「雨水(うすい)」は2月19日から3月4日。
1年に二十四めぐる「節気」のありさまと養生について、ここ熊本からメッセージをお送りします。
【田野岡メソッド/二十四節気のかんたん養生】
四季が「二季」になりつつある昨今ですが、春の到来は
立春から15日目にあたる日が「雨水」の始まりです。冷たい雪が雨に変わるころ。野山の雪をゆっくりと溶かす雨が降り、草木の芽吹きが促されます。元々は大寒の頃の冬の気候の特徴として使われていた「三寒四温」ですが、2~3月にかけても「雨が降っては気温が上がり、晴れて、再び寒くなって」という現象が続きながらだんだん暖かくなりますね。
最近では「二季」と言われるように、春と秋の期間が短くなっているようで、春の到来も年々ゆっくりになっているかもしれません。ここ熊本の再春館製薬所がある再春館HILLTOP(ヒルトップ)正門には、写真の通り大きく枝を張った梅の木があり、社員は毎日この木を見ながら出勤して季節を知ります。
とりわけ春は梅春(うめはる)という言葉があるほどで、梅の花を見ながら出勤時に春の到来を感じています。少し前までは2月半ばにはすっかり満開の花を見せてくれた印象なのですが、最近では2月末でもまだ硬いつぼみのままだったりします。「春の到来もやっぱり少し遅れ気味なのかな…」そんなことを梅の花から感じています。
春の「浮き浮き」がめぐりを乱す。肝の機能をケアして
空気がだんだんと暖かくなる春に活躍したくなるのは「肝」の機能です。はじめて登場する「肝」ですが、どのような働きがあるのでしょうか。
まず、「肝」は全身の気の発散を調整します。これを疏泄(そせつ)と呼びます。また、血を貯めて調節します。全身を流れる血液を貯蔵するプールの役割もしています。「肝」は伸びやかな状態を好み、枝葉のようにすくすく伸びることを好む性格とも表現できます。
身体の中には、“カタチがあるもの”の「血(けつ)」「津液(しんえき)」と“カタチがないもの”の「気」があると中医学ではイメージしていて、そろって存在していることをバランスがとれた状態と捉えています。
暖かい春がくると、気は浮き浮きし始めてふわふわと舞い上がりたくなります。いっぽうの血・津液は、まだ寒い冬の影響が残っているため、すぐに浮き浮きと動き出すのは難しいと感じています。その結果、“カタチのあるもの”と“カタチのないもの”の動き方がバラバラになりやすく、バランスが崩れやすくなってしまいます。
この「気だけ先走ってしまった状態」になりやすいので、春は“ゆらぎ”と表現されるバランスを保つのが難しい季節と言われます。この時季のご自愛のポイントは“気をぎゅっと引きしめる”こと。寒さと暖かさを繰り返しながら気温が上がっていく時季なので、バランスを保ちながら徐々に動かしていくために引きしめを意識してみてください。ここで役立つのが「酸味」です。
レモンを酢に漬けるだけでできる「レモン酢」に注目
私がこの時季に特におすすめしたいのは「レモン酢」です。お酢にレモンを合せて作る万能調味料で、国産レモンを店頭で見つけると1年分作りたくなります。2つ分のざく切りレモンを梅酒の瓶に入れて、お酢500mlを注いで漬けるだけ。無添加で作られた高級なお酢を使っても良いですし、お手頃プライスのお酢とレモンを合せても作ることが出来ます。
レモン酢は驚くほど何にでも合うところが、ビックリでおススメしたくなるポイントです。餃子や牡蠣鍋に使うと味がまろやかになります。もともとの味を引き立たせるような、本当に不思議な使い勝手です。麻婆豆腐にも少しかけてみたのですが、麻婆豆腐がまろやかになりながら味が引き立つ印象でした。調味料にこだわりをお持ちの人には、是非一度試していただきたいと思います。
普通の酢はストレートで飲むには酸味をきつく感じますが、レモン皮の苦味が米酢の酸味を和らげて、ほのかに甘味を感じるようにまろやかにしてくれます。“レモン”と“酢”なので「酸っぱくなる」というイメージですが、逆に口に入りやすく調整されるのは驚きです。
せいろがあるならぜひ作ってほしい。かじきまぐろのレモン蒸し
先ほど紹介させていただいたレモンに次いで“肝の機能にうれしい食材”でおススメなのは、かじきまぐろ、豆苗、酢などが挙がります。
これらの“肝の機能にうれしい食材”を使ったおススメレシピの1つ目は「かじきまぐろのレモン蒸し」です。寒さが残る春先のこの時季には、スーパーでもかじきまぐろを目にする機会が増えます。ほのかな甘みと香りが感じられるかじきまぐろを身近に感じていただきたい想いでレシピにしてみました。
作り方は、かじきまぐろ(6切れ:刺身用切り身)の表面に塩(小さじ1/4)をふり、1分間ほどおいて表面の水分をペーパータオルでふき取ります。しめじ(1/2株)は石づきをはずして1本ずつバラバラに、レモン(1個)は5mm厚の輪切りに、豆苗(10本)は約1cmの長さに刻みます。
蒸し器にクッキングシートをひき、しめじを入れて塩(小さじ1/4)をふります。その上に、かじきまぐろ・レモン・豆苗を乗せて5~6分間蒸したら出来上がりです。
かじきまぐろは水分の多い魚なので、塩ふり時間・加熱時間を長くすると身が硬くなってしまいますので、“短時間”が甘みと香りを味わうポイントです。
かじきまぐろは「身体に潤いを補い、気のめぐりを良くする」働きが、レモンは「身体に潤いを補い、気と水分のめぐりを良くする」働きが期待できます。ふっくらとした食感とやわらかい舌触りが特長のかじきまぐろとレモンは効能で見るとほぼ同じ働きをします。つまり、この2つの食材を合せることで「その働きを強く届けたい」というメッセージを身体に届けることが出来ます。
そして、一緒に合わせたしめじは「身体に気と血を補い、炎症を鎮める」働きが、豆苗は「肝のコンディションを整えて、炎症を鎮める」働きが期待できます。春の「浮き浮き」でバランスが崩れて身体のどこかで炎症のような状態が引き起こされる…そんな事態の先回りをしてくれるしめじ&豆苗を添えて作ったレシピです。
郷土料理は「旬の塊」です。熊本に春を告げる「ひともじのぐるぐる」

2つ目も肝の機能を補うレシピとして「ひともじのぐるぐる」を紹介します。こちらは熊本の郷土料理で、ひともじとは見た目が小ねぎに似ている「わけぎ」のことです。ゆでると甘味が増すことが特長です。今では一年中収穫されますが、冬の寒さで甘味が増した春先が旬ですので、「郷土料理で春の対策」をお伝えしたいと思ってレシピにしました。
作り方は、まず“ぐるぐる”を作ります。わけぎ(8本:なければ小ねぎで良いです)は根元のひげ根のみを切り落とし、鍋に沸かした熱湯に根の方からつけて2分間ほど茹でます。熱湯からひきあげたら、根元から5~6cmのとろこで折り曲げて、さらに5~6cmのところでもう一度折り返します。折り曲げた部分を束ねるように、残りの葉をぐるぐると巻き付けます。巻き終わりは葉先を根元の脇にはさみ込みます。
次に“酢みそ”を作ります。みそ(大さじ1)・酢(大さじ1)・きび砂糖(大さじ1)・水(大さじ1)を混ぜ合わせます。“ぐるぐる”を器に盛りつけて、上から酢みそをかけたら出来上がりです。
わけぎは「ねぎと玉ねぎ交雑種」のことなので、それぞれの働きを見てみます。ねぎは「身体の気と水分のめぐりを良くして、炎症を鎮める」働きが、玉ねぎは「身体の気・血・水分のめぐりを良くして、炎症を鎮める」働きが期待できます。ねぎと玉ねぎは期待できる効能がほとんど一緒ですので、わけぎに期待できる働きもこのあたりなのではないかと思われます。
酢みそに使った酢は「身体の血のめぐりを良くして、詰まりを取り除いて炎症を鎮める」働きが期待できます。冬の時季に紹介させていただいた「詰まりを取り除く」働きと、春の時季に頻出する「炎症を鎮める」働きを摂り込むことで、身体は春本番を迎える準備をしているように感じます。そして、酢みその「酸味」で気・血・津液のバランスを引きしめることも、もうひとつの大切なことですね。
だんだんと春が近づくこの時季に必要な働きが織り込まれた“郷土料理”を紹介したい想いでおススメレシピにしてみました。
雨水の期間が終わると、そろそろ暖かくなるでしょうか。寒さが残るうち、身体が動き出す準備をしているうちは、酸味がおススメです。
連載中の「田野岡メソッド」が書籍になりました!
「身近にある旬の食べ物が、いちばんのご自愛です!」 田野岡メソッド連載で繰り返し語られるこのメッセージが、1冊の書籍にまとまりました。近所のスーパーで手に入る身近な食材を使い、更年期をはじめとする女性の不調を軽減する「薬膳」を日常化しませんか?
日本の漢方では「その症状に処方する漢方薬」が機械的に決められていますが、本来の中医学では症状と原因は人それぞれと捉えます。それに合わせた効果的な食事を「薬膳」とし、食で養生するのが基本なのです。
田野岡メソッドに触れると、スーパーの棚が「薬効の宝庫」に見えてきますよ!
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