花粉がバンバン飛ぶ「雨水」の頃、春菊や三つ葉を食べたくなる「中医学的なワケ」

こんにちは、再春館製薬所の田野岡亮太です。

立春の次の節気、2026年の「雨水(うすい)」は2月19日から3月4日。

1年に二十四めぐる「節気」のありさまと養生について、ここ熊本からメッセージをお送りします。

 

【田野岡メソッド/二十四節気のかんたん養生】

肝の異常は心に飛び火しやすい。心に影響が及ぶ前にコンディションを整えて

春は肝の機能を気遣ってほしい季節ですが、肝の異常は心の機能に“飛び火”しやすい傾向があります。心に飛び火してしまう前に、“肝”の機能への意識を高めてみましょう。

 

「冬は腎の機能をケアしてあげて」のコラム(こちら)を記載させていただいた際に、腎と肝のつながりを紹介させていただきました。腎と肝がそれぞれ貯めている“精”と“血”のどちらか一方が不足すると、他方が転化して補い合う関係です。この関係を中医学では「精血同源(せいけつどうげん)」と表現しています。春は“肝”の機能のケアに意識を向けて欲しい季節ですが、肝と関係性の高い“腎”の機能のケアも忘れたくないところです。

 

腎のコンディションは、「食べて腎精を貯めること」を必要とします。食生活の乱れや急激なダイエットなどで「食べる」ことが不安定になると、腎精が貯まらずにコンディションが整わなくなります。特に、腎の機能を支える血液や津液(しんえき)が顕著に少なくなる「陰虚(いんきょ)」の状態は腎の陰陽バランスが崩れている状態で、腎の機能に相対的な「熱」があると捉えます。

 

腎の機能に相対的な熱が見られる場合、腎とつながりの深い肝の機能にも相対的な熱が伝わるケースがあると中医学は考えています。さらに、肝に相対的な熱が見られる場合、かなりな確率で“心”に熱がある時の症状が見られることから、「肝の異常は心に飛び火しやすい」と捉えています。春は肝の機能に影響が出やすい季節です。心への飛び火が起きる前に、肝のケアを行いたいですね。

 

相対的な熱による肝気の高ぶりを鎮めて、滞りやすい肝気の流れを整えるおススメの食材は、春菊・セロリ・三つ葉などの“香りのある青菜”です。

 

春菊・セロリ・三つ葉、いずれも生で食べても良いでしょう。“青菜の香り”をより感じられる食べ方なので、付け合わせをこの時季だけ“生の春菊”にするのもおすすめです。

 

最近は気候変動の影響でキャベツなど緑色の野菜の価格が高くなることがありますが、この季節の身体に嬉しい比較的安価な“香りのある青菜”を手にしていただけると、肝の機能が喜ぶと思います。

 

香り高い青菜で肝気の高ぶりを抑える「春菊・菊花・なつめみそをのせた蒸し山芋」

肝の機能にうれしい食材”でおススメなのは、春菊、セロリ、菊花、帆立、いか、レモン、梅などが挙がります。肝の高ぶりを鎮める“香りのある青菜”を使ったレシピで、腎の機能もケアできるものを2つ紹介させていただきます。

 

これらの“肝の機能にうれしい食材”を使ったおススメレシピの1つ目は「春菊・菊花・なつめみそをのせた蒸し山芋」です。スーパーで常に目にする“春菊”ですが、その食べ方の想起No.1は冬の鍋料理。今回は鍋以外の食べ方をレシピにしてみました。

 

作り方は、まず“蒸し山芋”を作ります。山芋(400g)はピーラーで皮をむいて2cm厚の輪切りにする。山芋・ベビー帆立(10個)を蒸し器で15分間蒸します。

 

次に“春菊・菊花・なつめみそ”を作ります。春菊(1束)・菊花(少量)は洗ってみじん切りに、なつめ(乾燥4個)は種を外してみじん切りにします。蒸したベビー帆立をみじん切りにして、春菊・菊花・みそ(大さじ1)・酢(大さじ1)・水(大さじ1)と合せてよく混ぜます。

 

最後に、蒸した山芋を器に盛りつけて、上から“春菊・菊花・なつめみそ”をのせたら出来上がりです。砂糖に代えてみじん切りなつめを使うことで、“自然の甘み”で味付けができるところもおススメポイントです。

 

山芋は「身体に精と気を補って、腎の機能を助ける」働きが期待できます。中国の古代思想である陰陽論から考えると、“精”は陰・陽に分かれる前の“源”と捉えることが出来るので、精を補う山芋はとても身体に嬉しい食材と紐解くことが出来ます。油を使わない“蒸す”調理にしているところも身体を気遣うおススメポイントです。

 

山芋の上にのせた春菊は「身体の水分のめぐりを良くして、肝と精神のコンディションを整える」働きが、菊花は「気のめぐりを良くして肝のコンディションを整えて、目の疲れ・炎症を鎮める」働きが、ベビー帆立は「身体に潤いを補い、腎・肝・精神の機能を助ける」働きが、なつめは「身体に気と血を補い、精神のコンディションを整える」働きが期待できます。“香りのある青菜”の春菊は肝の機能のコンディションとともに「精神のコンディション」も整えます。これは“心”の機能を助けることをあらわしていて、旨味・甘みで加えたベビー帆立・なつめもこの働きに協力してくれます。

 

美味しく味わえるメニューとして食材を選びましたが、期待できる効能にも親和性があって身体へのメッセージがハッキリしている食材の組合せなので、おススメレシピとして紹介させていただきました。

 

肝の機能を補う「いか・セロリ・新たまねぎのレモン炒め」

2つ目も肝の機能を補うレシピとして「いか・セロリ・新たまねぎのレモン炒め」を紹介します。スーパーで目にする頻度の高い“セロリ”ですが、生食はちょっと苦手…という方も多い印象ですので、今回は生食以外の食べ方をレシピにしてみました。

 

作り方は、いか(300g:ボイル刺身用)はワタを取り、洗って皮をむいてサッと塩ゆでします。胴は輪切りに、足は4cmほどの長さに切って、酒(大さじ1)・塩こしょう(少々)で下味をつけます。(いかはボイル刺身用・冷凍でも良いです。)セロリ(1本)は茎のすじを取って斜め薄切りに、葉はざく切りに、新玉ねぎ(1/2個)は薄切りに、レモン(1個)は串切りにします。なつめと(乾燥3個)梅干し(1個)は種を外してみじん切りにして、酒(大さじ1)を加えます。

 

フライパンにごま油をひいて、セロリの茎を炒めます。次いで、いか・セロリの葉・新たまねぎを炒め、最後にレモン・なつめ・梅干しを加えてなじませます。器に盛りつけたら出来上がりです。

 

いかは「身体に血と潤いを補い、血のめぐりを良くする」働きが期待できます。これに合わせたセロリは「身体の水分のめぐり・肝のコンディションを良くして、炎症を鎮める」働きが、新玉ねぎは「身体の気・血・水分のめぐりを良くする」働きが、レモンは「身体に潤いを補って、気と水分のめぐりを良くする」働きが、なつめは「身体に気と血を補い、精神のコンディションを整える」働きが期待できます。

 

つまり、ここまでの食材の効能をまとめると「気・血・水分のすべてを補ってめぐらせる」「肝・精神のコンディションを整える」「炎症を鎮める」ことが出来る、雨水の時季には嬉しい効能を持つメニューになります。これに味付けで加えた梅肉は「身体に潤いを補い、水分のめぐりを良くして、引きしめる」働きが期待できます。だんだんと暖かくなる時季に、補ってめぐりが良くなった気・血・水分が「浮き浮き」してバラバラにならないように、梅肉の「引きしめる」働きに目を光らせてもらいました。

 

“香りのある青菜”のセロリと“酸味による引きしめ”が期待できる梅肉・レモンを使って春に気をつけたいポイントを表現したおススメレシピです。

 

暦の上では、そろそろ春のピークに差し掛かります。次回から「春の虫が動き始める」啓蟄(けいちつ)です。

 

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