春分の時季「目が疲れてる」人はししゃもを食べて!では「年度変わりの多忙ストレス」の人が摂るべき「白い野菜」は?
こんにちは、再春館製薬所の田野岡亮太です。
春分というと春分の日、1日のことと感じますが、節気のうえでは一定の期間を指します。
2026年の春分は啓蟄(けいちつ)の次、3月20日から4月4日まで。
1年に二十四めぐる「節気」のありさまと養生について、ここ熊本からメッセージをお送りします。
【田野岡メソッド/二十四節気のかんたん養生】
肝は血の貯蔵プール。コンディションを整えておくことが大事
写真は再春館HILLTOP(ヒルトップ)の桜並木です。通勤道から園内に入ったところにあり、この時季は「桜のトンネル」に迎えられる特別な毎朝を過ごすことが出来ます。満開になるまでの心待ち期間はゆっくりと長いのですが、散る時は意外と早く感じます。毎年の桜並木の様子から自然の“今の様子”を受け取って、「身体の中の様子も同様なんだな」と思いながら春を通勤しています。
通勤道には花桃の木もあり、毎年鮮やかな色の花を見せてくれます。「とても鮮やかだな」と思って近寄って見ると、白色と桃色の花が同じ枝についていました。「源平咲き」というそうですが、毎年色鮮やかに感じていた理由がわかって清々しい気持ちになりました。
さて、今回も春に活躍したくなる肝の機能のお話の続きです。前回、肝と表裏関係(ひょうりかんけい)の「胆」の役割は「決断を司る」ことであり、些細なことでも決めるべきことが決められない、いつも迷ってしまう人は、胆がお疲れなのかもしれませんとお話ししました。その胆と表裏関係の「肝」には、「血を貯めて調節する」という重要な働きがあります。
身体を流れる血液に関係する器官は、心臓がポンプで血管がチューブと例えられます。これだけだと、身体のどこかで少しでも出血が起きた場合に血が体外に流れ続けることになり、命の危険に直結してしまうことになります。そんなことにならないように、出血のバックアップ機能として「肝が血液を貯めるプール」となっています。これは中医学の考え方も西洋医学(解剖学)の捉え方も一緒ですね。
肝は全身の気の発散を調節する疏泄(そせつ)機能で、体内の気(エネルギー)をめぐらせる働きをします。気がめぐるようになると、同時に血・津液(しんえき)もめぐるようになります。その働きに重ねて、血を貯める「血液のプール」という働きもします。一手に複数の機能を担っているので、どの機能も同等にケアしてあげることが重要です。血を貯めるのが難しくなると、気のめぐりが滞り始めたり、肝に火が付きやすくなったり、いわゆる貧血と呼ばれる状態のあらわれが見られたりします。なので、肝の機能のコンディションを整えることは大切です。
同じことを反対の視点から見ると、ストレスによる気の滞りを解消して肝の状態を整えないと、血液をストックする場所の大部分を占める「肝」が機能しにくくなるということです。肝は「大きな血液のプール」のようなものですから、気から見ても血から見ても、「全般的な肝のコンディション」に着目することが大事ということになります。この概念は西洋医学の貧血対策と同じようでいて少し異なり、鉄分を補うというような成分だけの話ではないと捉えているのが中医学の概念です。
更年期症状を「中医学的」に捉えると、原因に「肝」の機能も関係する
女性は月経があるため、体内の血を周期的に失います。先ほど触れたように、肝は「身体の中の大きな血のプール」ですので、肝のコンディションがしっかりしていないと血を貯めることが不十分となってしまい、月経にも異常事態として影響することが想定されます。
また、肝と腎の機能はお互いに深く関係しているため、陰陽バランスの乱れによって腎の熱が相対的に顕著になると、その熱で肝の機能にも火がついてしまうことがあると中医学は捉えています。腎の陰陽バランスの乱れは更年期の年齢で顕著になることが多いため、「更年期はホットフラッシュ」という印象が強くなります。
とにかく女性は生涯に渡り「肝」がとても重要で、「血をプールできる肝のコンディションの維持」が大事になります。
更年期の年齢を迎えると、身体の四方八方で更年期障害と呼ばれる症状が見られるようになります。汗・頭痛・関節痛・イライラ…と症状が様々で、人によって症状のあらわれ方が異なったりするため「どのように対処すればよいのか…」と不安に思っている方も多い印象です。
中医学の視点で見れば要因の根本はひとつに集約されて、それは「腎の機能」になります。先ほどお話ししたように、腎と肝の機能はお互いに深く関係しているため、「肝の機能」も更年期障害の要因に関連することとなります。中医学は「身体にあらわれた症状から原因の根本を見つめる」ので、症状が様々とあらわれる更年期症状のケアに向いているとも言われます。
肝の血を貯めるに肝を養う。「ししゃもとなすのカシス塩麹包み蒸し」
“肝の機能にうれしい食材”でおススメなのは、ししゃも、ムール貝、豆苗、春菊、しいたけ、オレンジ、カシスなどが挙がります。
これらの“肝の機能にうれしい食材”を使ったおススメレシピの1つ目は「ししゃもとなすのカシス塩麹包み蒸し」です。スーパーの鮮魚コーナーでししゃもを見かける度に「焼き魚以外にどんな食べ方が出来るだろうか?」と思うことが多かったので、今回は「蒸し」調理のレシピにトライしてみました。
作り方は、ししゃも(6尾)にカシスリキュール(大さじ1)を加えてなじませます。なす(1本)は縦半分に切り、隠し包丁を入れながら2cm幅に切ります。ボウルになすを入れて、塩麹(小さじ1)・カシスリキュール(大さじ1)を加えて揉み込み、5分ほど置いてなじませます。オレンジ(1個)は皮をむいて輪切りにします。
なす・ししゃも・オレンジを乗せたクッキングシートの両端をキャンディ包みのようにねじり、蒸し器で10分蒸します。器に移して、豆苗(10本)を上から添えたら出来上がりです。
ししゃもは「身体の血と水分のめぐりを良くして、肝と腎の機能を助ける」働きが、なすも「身体の血と水分のめぐりを良くする」働きが期待できます。同じ効能を持つ食材を合せると、その作用に勢いをつけることができるので、「肝が血液を貯めるプール」のコンディションが良くなりますね。今回のレシピはこだわってカシスを使ったのですが、カシスは「身体に血と潤いを補って、肝と腎の機能を助け、目の疲れを改善する」働きが期待できます。ししゃもの塩味となすの旨味を引き出したくて選んだのですが、甘みと味の深みが増して美味しくなり、ほぼ同じ効能を持っているので「肝の血液のプール」にとっては願ったり叶ったりです。
ストレスでのイライラや目の疲れが気になる方にとって“ししゃも”はおススメ食材です。焼く以外の調理方法として届くことを願っておススメレシピにしてみました。
案外簡単に作れるごちそう「ムール貝・しいたけ・春菊の白みそ豆乳蒸し」

2つ目も肝の機能を補うレシピとして「ムール貝・しいたけ・春菊の白みそ豆乳蒸し」を紹介します。“ムール貝”と聞くとちょっと遠い存在に感じられる方もいらっしゃるかと思いますが、肝の機能を気遣う食材としてはとてもおススメです。最近ではスーパーの魚コーナーの冷凍棚に並んでいることをよく目にしますので、身近な食材になっていただけることを願ってレシピにしてみました。
作り方は、ムール貝(8個:冷凍)を用意します。しいたけ(4個:50g程度)は石づきを外して1cm角に、玉ねぎ(中1個:150g程度)は皮をむいて1cm角に切ります。春菊は洗って1cm幅に切ります。
次に“白みそ豆乳ソース”を作ります。ボウルに豆乳(200g)・白みそ(40g)・塩(小さじ1/8)・片栗粉(10g)・寒天(2g)を入れて、泡だて器で泡立てます。
フライパンでしいたけ・玉ねぎを炒めて、火から下ろして粗熱を取ります。器にしいたけ・玉ねぎ・春菊を入れて、白みそ豆乳ソースを流し込み、上にムール貝を乗せて、蒸し器で5分間蒸したら出来上がりです。
ムール貝は「身体に熱・精・血を補って、腎と肝の機能を助けて、身体の詰まりを取り除く」働きが期待できます。中国の古代思想である陰陽論から考えると、“精”は陰・陽に分かれる前の“源”と捉えることが出来るので、ムール貝はとても身体に嬉しい食材と紐解くことが出来ます。一緒に合わせたしいたけは「身体に気を補って、肝の機能を助ける」働きが、春菊は「身体の水分のめぐりを良くして、肝と心のコンディションを整える」働きが期待できます。肝に必要な要素を補って、肝のコンディションを整えるムール貝・しいたけ・春菊の組合せは「肝の血液のプール」にとって嬉しい組合せです。
その他に組み合わせた玉ねぎは「身体の気・血・水分のめぐりを良くして、炎症を鎮める」働きが、豆乳は「身体の水分を補ってめぐりを良くして、身体の衰弱を改善する」働きが期待できます。3月後半から4月初めは新年度を迎えることもあり、知らず知らずのうちに直面してしまう様々なストレスから「炎症」「身体の衰弱」が起きてしまうかもしれない時季です。身体が不調を訴える前の“予防”としても摂っていただきたいと思い、おススメレシピとさせていただきました。
次回は晴明です。
連載中の「田野岡メソッド」が書籍になりました!
「身近にある旬の食べ物が、いちばんのご自愛です!」 田野岡メソッド連載で繰り返し語られるこのメッセージが、1冊の書籍にまとまりました。近所のスーパーで手に入る身近な食材を使い、更年期をはじめとする女性の不調を軽減する「薬膳」を日常化しませんか?
日本の漢方では「その症状に処方する漢方薬」が機械的に決められていますが、本来の中医学では症状と原因は人それぞれと捉えます。それに合わせた効果的な食事を「薬膳」とし、食で養生するのが基本なのです。
田野岡メソッドに触れると、スーパーの棚が「薬効の宝庫」に見えてきますよ!
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