もう、故郷に帰っていいですか?-42歳・栄子の場合(2)-【40女の恋愛事情・story5】
もう、実家に帰っておいで。そう母は言う。
私を心を東京につなぎとめているのは、妻のいるあの男性。
あまり語られることのないアラフォー女性の恋愛事情をクローズアップした小説、【40女の恋愛事情】。
42歳・栄子の場合、1回目に続き、3回連続の2回目です。
私が実家に戻って3日目に、彼からのメッセージが入った。
「明日、会える?」
簡潔な言葉しか、彼は伝えてはこない。
「好きだよ」なんて、一度も書いて来たことがない。
甘い言葉が欲しくて以前ねだったことがあるけれど、
「そんなのは恥ずかしくて書けない」
と、一蹴されただけだった。
ただの恋人だったら、照れてるんだな、で終わるところかもしれないけれど、
どうしても、ネガティブなことを想像してしまう。
私たちの関係は、不倫だから。
バレたらまずいようなことを、書かないようにしているのかな、と。
証拠に残るようなことを、したくないのかな、と。
奥さんがいるとわかっていたのに、どうしてこんなことになってしまったのだろう。
大学時代の仲間と集まって、帰りにたまたま2人になって、飲み直して……。
お酒の勢いもあって、実は昔好きだったんだよと打ち明けたら、僕もだよなんて言われて、気がついたら、彼とベッドの中にいた。
それから、月に1度会うようになって、もう、2年近くになる。
デートは大抵、私が住んでいる駅周辺だった。
駅近くでお酒を飲んで、それから当たり前のような顔で、私の一人暮らしの部屋に来る。
入院した時にはお見舞いも来てはくれなかった。
知り合いに会うとまずいから行けない、と言われてしまった。
そのかわり、退院したらすぐに私の部屋にやってきた。
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