「それ、私がやるべきですか?」部下の一言に絶句…不満タラタラの相手が納得して引き受ける、リーダーの賢い返し方
相手を導くためのステップ
ステップ❶ 言われた瞬間を「絶好の機会」と捉える
理想は、チームへの配属時など、なるべく早い段階で「あなたに期待する役割はこれです」と明確に伝えることです。しかし、役割をはっきり伝えていない状況で、部下からこの一言を突きつけられたら、「役割を再確認する絶好の機会が来た」と捉えましょう。そして、相手の価値を認める言葉から入ります。
「良い質問をありがとう。いい機会だから、改めて〇〇さんの担当について確認させてほしい。あなたのこれまでの経験は、このチームにとって本当に貴重で、誰もができることじゃない。その上で、今のチームにおけるあなたの役割として、この業務をお願いしたいと考えているんだけど、その認識で合っているかな?」
相手に敬意を示しつつも、業務命令の根拠となる「役割」について冷静に、明確に確認を求めるのです。
ステップ❷ あえて「バカなフリ」をして第三者を巻き込む
もし、それでも相手が納得しない場合や、対話がこじれそうなときは、あえて「バカなフリをする」という少し高度なテクニックも有効です。
「そうか、〇〇さんがやるべきことなのかどうか、私も自信がなくなってきたな。一度、部長も交えて、チーム全体の役割分担を再確認させてもらってもいいかな?」
一対一の対立を避け、よりオープンな場で、相手の役割を明確にしようと試みるのです。本当は相手の仕事だとわかっていても、あえて第三者を巻き込むことで、角を立てずに着地点を見出す。これもリーダーの賢さと言えるでしょう。
ステップ❸ 感情的なフォローも添える
相手が役割を理解し、納得してくれたら、最後は感情的なフォローを添えます。
「そうだよね、この仕事は大変だと思う。気持ちはわかるよ。でも、難しいA案件をこなしてきた〇〇さんなら、絶対にできると信じてる」
論理で正し、感情で励ます。この両輪が大切です。ただし、最終的に目指したいのは、そもそも「それ、私がしないといけないですか?」という疑問をメンバーに発生させないチームづくりです。そのためには、「役割確認表」の作成と、年度初めなどでの共有を定例化するのも一案です。
例えば、縦軸に業務内容、横軸にメンバーの名前を書き出し、誰が主担当「◎」で、誰がサポート「〇」なのかを一覧にするのです。こうしてチーム全体の役割を可視化してしまえば、個人の感情で「やる・やらない」を判断する余地はなくなります。感情的な反発は、明確な「役割」や論理的な「仕組み」で防ぐのが一番です。
〈役割確認表の例〉
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■著者略歴: 矢野 香(やの・かおり)
国立大学法人長崎大学准教授。スピーチコンサルタント。専門は、心理学・コミュニケーション論。NHKでのキャスター歴17年。おもにニュース報道番組を担当し、番組視聴率20%超えを記録。NHK在局中からスピーチ研究に取り組み、博士号取得。大学教員として研究をつづけながら「信頼を勝ち取る正統派スピー チ」を伝授。クライアントには、大手上場企業役員、経営者、政治家などエグゼクティブクラスのリーダーが名を連ねる。著書に『その話し方では軽すぎます!──エグゼクティブが鍛えている「人前で話す技法」』(すばる舎)、『最強リーダーの「話す力」誰から見てもリーダーらしく見える「話し方」の秘密』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)などベストセラー多数。
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