「ここは地獄じゃ」。姉川の戦場で小一郎と藤吉郎が目にした、乱世の恐ろしさ。信長、家康、長政、それぞれの思惑は……【NHK大河『豊臣兄弟!』15話】
*TOP画像/小一郎(仲野太賀) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』15話(4月19日放送)より(C)NHK
戦国時代のど真ん中を舞台にした『豊臣兄弟!』(NHK総合ほか)の主人公は仲野太賀が演じる豊臣秀長。兄弟の絆で“天下統一”という偉業を成し遂げた豊臣兄弟の奇跡を描いた大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK総合ほか)の第15話が4月19日に放送されました。40代50代働く女性の目線で毎話、作品の内容や時代背景を深掘り解説していきます。
孤高の信長。信長が抱える軍のトップならではの苦悩とは?
前回の放送回では、藤吉郎(池松壮亮)らは浅井・朝倉軍から織田信長(小栗旬)を守り抜きました。藤吉郎は勝利をおさめ帰京し、信長の顔を見ると安心したのか、その場で倒れ込んでしまいました。一週間以上にわたり眠り続けた藤吉郎ですが、彼がこの間にみた夢とは、浅井久政(榎木孝明)が”信長に我が軍の動きを知らせた”と、市(宮崎あおい)を問い詰めるいうものでした。夢にはそのときに考えていることや不安が現れるといわれていますが、藤吉郎は市や織田家の行く末をそれだけ案じていたのでしょう。
一方、信長は長政に裏切られた怒りが、いまだに静まりません。鉄砲が揃い次第、小谷を攻め、浅井軍を討ち滅ぼそうと、激しく意気込んでいます。信長のもとに鉄砲が揃わないのには、小一郎(仲野太賀)の思惑があったためです。浅井軍をうかつに攻めれば、市の身が危ないため、準備をあえて遅らせていたのです。
しかし、信長は長政に寝返った市に配慮することは一切ありません。長政は市に対し、自分と離縁し、信長のもとに戻るように伝えましたが、市はそれを拒んだのです。市は長政がどんな男なのか不安を抱いていましたが、彼の優しさに心惹かれていきます。愛情を注ぎ、自分の気持ちを常に気にかけてくれる彼に、愛情が自然と湧いていったのです。
戦国時代は“私はどちらも大切だから二人の味方をする”というような悠長な態度は許されません。また、“大切な人が敵側に寝返ったけど、その人には危害を加えたくない”と考えていれば一族が滅びます。 あるいは、信長が小一郎にトップとしての立場を明かしていたように、少しでも弱気な姿勢を見せれば、自分の言葉に従う者はたちまちいなくなってしまいます。
そうした中で登場したのが、藤吉郎でした。「そのお役目 このサルめにお任せくだされ!」と元気よく叫びながら、軽やかに現れました。藤吉郎は傷と過労で休息を取っていたわけですが、「申し訳ござりませぬ!少し寝坊してしまいました」と冗談を言い、場の雰囲気を和らげます。このコントのような軽快な登場に笑いを誘われた視聴者も多かったことでしょう。

藤吉郎(池松壮亮) 利家(大東駿介) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』15話(4月19日放送)より(C)NHK
そして、信長を勝利に導くための作戦を企てたのは、竹中半兵衛(菅田将暉)。彼は小谷城周辺の地形を考慮し、敵方の動きを予想した策を信長に説明していました。さらに、半兵衛は刈安城と長比城の調略をすでに済ませたといいます。
「この世の地獄」を彷彿とする姉川大合戦
信長は義理の弟として深く信頼を寄せていた長政に裏切られたうえ、実の妹である市にも実質的に裏切られ、心に深い傷を負っていました。そんな信長の周囲には彼を心の中で軽んじている者や憎んでいる者ばかりでした。徳川家康(松下洸平)は信長に自分の力がどれほど重要かを知らしめるため、あえて遅れて参戦。また、足利義昭(尾上右近)は“信長のため”という体を装いながら、織田軍への援軍を出すことを控えると宣言し、周囲を驚かせていました。

足利義昭(尾上右近) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』15話(4月19日放送)より(C)NHK
一方、信長を裏切った長政も、裏切られるという報いを受けていました。朝倉家から参戦したのは、朝倉一門衆の朝倉景健(重岡漠)でした。景健「我らが来たからには 大船に乗った気でおられよ」と意気揚々と振る舞っていましたが、朝倉義景(鶴見辰吾)本人が出てこなかったのには理由がありました。金ヶ崎で信長を逃がした責任は浅井家にあると怒っていたこと、そして義景自身が戦に出て負けるようなことがあってはならないという考えがあったのです。
姉川大合戦は、浅井軍と朝倉軍、織田軍と徳川軍が姉川を挟んで激突した戦いです。この一帯は多くの兵が流血したことから、「血原(ちはら)」とも呼ばれています。矢を打ち合うカンカンという音や兵のハアハアという息遣いが響き、銃弾が飛び交う戦場では、兵が次々に命を落としていきました。母を求めて息絶えていく兵の姿もそこにはありました。
藤吉郎の「小一郎。今ここからは 生き延びるために戦うのじゃ」という言葉は、この戦の恐ろしさを物語っているようでした。

小一郎(仲野太賀) 藤吉郎(池松壮亮) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』15話(4月19日放送)より(C)NHK
織田軍と徳川軍の陣は次々と崩され、敗勢に陥ったときもありましたが、家康の活躍によって逆転しました。家康は”一度姿を消し、合戦の最中に機を見計らって、相手の横っ腹を突け”と、信長から指示を受けていたのです。

信長(小栗旬) 家康(松下洸平) 利家(大東駿介) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』15話(4月19日放送)より(C)NHK
小一郎と藤吉郎が数々の死体が横たわる光景を見つめながら、立ち尽くす場面は切ないものでした。小一郎が「ここは地獄じゃ…」と涙を流しながら座り込むと、藤吉郎は小一郎にあたたかく寄り添いました。
故郷の中村では“万事円満”に事を解決し、みんなが幸せになることを望んでいた小一郎。また、藤吉郎についても、なか(坂井真紀)が断言していたように、人を殺せるような男ではなかったはずです。そんな二人も侍として戦場に繰り返し赴く中で、戦に“慣れ”が出てきたようにも思います。そうした中で、姉川の合戦は戦の恐ろしさ、乱世を生きる苦しみを改めて思い知らせる戦でもありました。
本編では、姉川大合戦で小一郎と藤吉郎が見た乱世の恐ろしさと武将たちの思惑と決意についてお伝えしました。
▶▶『豊臣兄弟!』の14話では家康(松下洸平)が藤吉郎(池松壮亮)に「鎮痒剤」を「痛みが和らぐ秘伝の薬」として渡す場面が……70代半ばまで生きた徳川家康は超健康志向
では、長寿だった家康の行いや暮らしについてお届けします。
1
スポンサーリンク
【注目の記事】
- 男性のモーニングエレクション低下は「重要な疾患につながるとても明らかなサイン」、軽視しないでほしい
- 合理的すぎる「初診自費」が日本の更年期治療を変えるかもしれない。日本初の「パートナーシップヘルスケア専門クリニック」が沖縄に開院した納得の理由
- 不登校で引きこもりになった子どもが、バイトを始め、海外留学を考えるまでに変わった!「親が強制しなくても動き出す」その方法とは?
- 「高3で不登校になるなんて」生徒会長にスタバ、優等生の娘がなぜ!?復学支援も頼りにならず、母親が抱えた苦悩とは
- 偏食ぎみの子どもにおすすめしたいナンバーワン食材。脳の発達に、免疫力もアップ!子どもにこそ食べて欲しい最強野菜とは【小児科医が解説】
スポンサーリンク















