「家庭はもう冷え切ってるのよ」会社の部下との不倫におぼれる40代既婚女性の誤算とは
「不倫」という罪を抱えた事実
だが、L子は大きなことを忘れていた。
彼女が記している「夫婦関係が破綻している証拠」は、夫が週末何も言わずに一日家を空けたり、子どもの授業参観のプリントも目を通さず捨てたりと、確かに夫としてマイナスなことが正しく示されている。それはいざ離婚するときに夫を黙らせるための大切な記録であったが、その一方で、彼女自身が「不倫」という人の道から外れた関係を持ったことは、みずから不利な状況を用意したことにはならないのだろうか。
そこを突っ込むと、「うーん……。そうだけど。でも、バレなかったら大丈夫じゃない?」とL子は笑って肩をすくめる。「バレなかったら、ねぇ」と首をかしげると、続けて「そもそも、うちの人が先に壊したのよ」とL子は言った。その口調はさっきと違う強い響きがあり、顔を上げるとこちらを睨みつけるL子の視線があった。
私は悪くない。L子の瞳はそう語っていた。
不倫は決して正当化される関係にはならない。たとえ不倫前から夫婦関係が悪かったとしても、それが夫のせいだとしても、「だから」独身の男性と肉体関係を持つことを「良し」とされることはない。その大きなマイナスを、L子は「バレなかったら大丈夫」で片付けるが、子どもたちが進学して家を出るまでまだ何年もかかる中で、そう上手くいくのだろうか。
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ひろたかおり
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