IKKO、自筆の手紙と手みやげにみる「オンナの気配り」の盲点

2018.11.02 LIFE

昔話で恐縮ですが、今から20年くらい前、私が社会に出たころの「女性のための社会人マナーブック」的なものを読むと、やっぱり時代が全然違うと感じるのです。

 

内容を一言で表すと「気をつかえ」。

お金をもらっている立場だから仕事をするのは当たり前ですが、男性が仕事をしやすいように気を配り、メイクやファッションも周囲の雰囲気を良くするために必要なものだというような指導がされています。20年前はとっくに男女雇用機会均等法が施行されてますから、男女の垣根なく働く女性がたくさんいたにも拘わらず、ともかく気配り気配り、うるせー。同僚に交際を申し込まれて断るときも、相手の気持ちを傷つけないようにするなどの気配りをすべきだと書いてあります。つまり、アラフォー世代とは「オンナは気配りするのが仕事」とすりこまれてきたと言ってもいいでしょう。

 

しかし、時代は確実に動いています。結婚したら妻子を養うのがオトコの仕事と思う男性は減り、また妻子を養える甲斐性を持つ男性そのものが激減しています。女性にも仕事をしてもらわないと困ると考えている男性が増えるいっぽう、「女性の気配り」についてアップデートされていないのが不思議だなぁと思いませんか?

 

カリスマヘアメイクIKKOが頭角を表したのは、気配りがあったから

今、芸能界で気配りクィーンとして君臨するのは、美容家のIKKOさんではないでしょうか。もともとは大女優に指名されるカリスマ・ヘアメイクとしてテレビに出だしたIKKOさん。その秘訣はメイク環境とメイク前を充実させたこと。メイクする場所をサロンのように模様替えし(その分、IKKOさんたちは早く仕事場に入らなくてはなりません)、女優たちに足や顔にマッサージをほどこすことでリラックスしてもらったそうです。女優からすれば、IKKOさんがいる現場に身一つで行けば、気持ちいいわ、肌の調子は上がるわで言うことなしだったことでしょう。「ボクらの時代」(フジテレビ系)に出演した元女優・君島十和子によると、IKKOさんは撮影が終わるまで、ずっと見守ってくれるとプロフェッショナルな姿勢を絶賛していました。

 

その後、IKKOさんはおネェであることをカミングアウト、バラエティーに進出しはじめます。

 

特に持ちネタがあるわけでもないのに、大御所・明石家さんまを前にぐいぐい出るハートの強さと、ダウンタウン・松本人志に「ガキの使いやあらへんで」(日本テレビ系)で「妖怪尺食い」とあだ名をつけられる空気の読めなさ、少しのイタさが笑いを生み、バラエティーでは重宝されています。マツコ・デラックスは「嵐にしやがれ」(日本テレビ系)で、「IKKOさんには敵わない」と発言していましたが、確かに唯一無二の存在感があります。

 

テレビに出だしても、本業の美容家としての活躍は絶好調。IKKOファンのためにディナーショーも全国で開かれていますし、自身がプロデュースした化粧品は韓国で人気だそうです。IKKOさんは軽井沢の別荘をバラエティーで公開していますが、オンナの細腕で稼ぎ出したものの大きさがうかがえます。

 

IKKOさんは、成功の秘訣を「ひと手間かけること」と話しています。努力することは大前提として、そこに自分なりの工夫をプラスすること。特に手紙や手土産など手のつくものにこだわっているようです。「アナザースカイ」(日本テレビ系)で嬉しかったこととして、自分が入院している際、韓国人の友人がすぐに手紙をくれたことをあげていましたが、IKKOさんはそういう情の深さが好みなのでしょう。

 

「女性自身」(光文社)によると、IKKOさんは50代になってから、大河ドラマの制作にも関わる書道家に手ほどきを受け、共演者全員に手紙と手土産を必ず渡しているそうです。レギュラー番組を持っている人ですから、毎週用意するのは大変だと思いますが、「週刊女性」(主婦と生活社)がIKKOさんにインタビューしたところ、「大変って言ったら、オンナがすたる」そうです。「女性自身」「週刊女性」という女性週刊誌が取材していることでもわかるとおり、手間をいとわない女性は女性読者の尊敬を集める存在です。

 

おそらく、この記事をお読みの皆さまも良識派のスタンスでしょう。そんな中、本当に申し上げにくいのですが、私なぞは「そこまでする必要ある?」と思ってしまうのです。

 

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