【チェックリスト】あなたの脳疲労度は?40代・50代更年期「脳のアンチエイジング」とは

40代に入り、「最近いろいろ忘れっぽくて。認知症かも?」と冗談めかして言うことが増えました。こうした忘れっぽさは大抵の場合「通常の老化の範囲」なのですが、実は認知症そのものは40代から進行が始まることも事実。では、どういう人が注意すべきなのでしょう? また、特に更年期世代が普段から心がけるべき生活習慣とは?

まずは自分の現状をチェック。以下のリストで自分の「脳疲労」を確認してみてください。

 

リスク判定/脳疲労チェックリスト

以下の項目のうち、あてはまるものの数を数えてください。

1.食事が美味しくないと感じることが多くある

2.夜中に目が覚めやすい

3.便秘がちである

4.集中力が続かない

5.判断力が最近低下したと感じる

6.物忘れが多い

7.考えがまとまりにくい

8.身体を使わないのに疲れを感じる

9.無気力になることがある

10.いつもイライラしている

11.気持ちが沈んで暗い気分になる

12.何もないのに不安に感じることが多い

 

 

脳疲労の目安は……次ページ

あなたの「脳疲労レベル」は…

1〜3個の人:脳疲労レベル「低」 特に心配ありません

4個以上7個以下の人:脳疲労レベル「中」 ちょっと注意

8個以上の人:脳疲労レベル「高」 かなり注意

 

脳疲労レベル中~高の人は、脳疲労予備軍の可能性があり、脳のゴミが溜まっている状態と考えられます。日頃から脳の健康を意識して、脳ケアに気をつけることが重要です。

8個以上の人はさらに注意が必要と言えます。

 

 

「認知症」の原因物質は45歳ごろから蓄積が始まる

認知症の患者数は国際的に急増しています。いっぽう、この数年で脳の研究は進んでおり、最近では認知症を出現させる原因の1つパーキンソン病の発症は盲腸の切除と関係があるかもしれないということが示唆されたりしています。

 

認知症の原因となる物質の一つが「アミロイドβタンパク」です。

 

この物質は認知症を発症する15~20年前から脳に蓄積し始めます。この状態を「プレクリニカル認知症」と呼びますが、この段階ではまだはっきりとした症状は現れません。

 

アミロイドβがたまりきって「タウタンパク質」もたまり始めると「軽度認知症(MCI)」へ進行し、物忘れなどの症状が目立ってきます。そこから約5年で過半数の人が認知症へと進みます。

 

70歳ごろからの発症率が高い認知症ですが、逆算すればその多くは45歳ごろからアミロイドβの蓄積が始まっていることになります。そのため、40代から認知症予防に意識を持つことが大切です。

 

更年期世代の女性は「脳疲労」の影響を受けやすい

早稲田大学の矢澤一良教授によると、女性は閉経を境に女性ホルモンの量が急激に減少することで脳疲労が引き起こされやすくなり、脳の老化が促進されるそうです。

 

脳疲労とは、脳の神経細胞にアミロイドβやタウタンパク質といった物質が溜まることによって、細胞傷害性が高まると同時に炎症が起きているような状態のことを指し、自覚症状がありません。

 

脳細胞は身体と比べて炎症を起こしやすく、アミロイドβの蓄積を防ぐ働きをする女性ホルモンが減少すると、アミロイドβが急増し脳疲労の要因となります。

 

また、脳細胞は35歳をピークに毎日10万個ずつ死滅すると言われており、脳細胞は修復不可能であるため、脳細胞を減らさないことが重要となります。

 

女性ホルモンは卵巣だけでなく、脳の海馬でも少量ですが作られており、これは海馬だけで使われるため、少量でも記憶力アップに繋がります。海馬で作られる女性ホルモンは、海馬を刺激することで増やせると考えられるため、読書や脳トレ・ゲームなど脳に刺激を与えることを適度に行うことが将来の認知症予防にも繋がるかもしれません。

 

認知症患者の割合は日本が先進国最大。今後急増します

厚生労働省の発表によると、2012年時点での認知症患者数は約462万人と推計されています。2025年にはより急増し、全国の認知症患者数が700万人を超えるとの推計を発表しています。経済協力開発機構(OECD)によると、日本の認知症患者の割合は、加盟35か国中最も高く、日本の人口に対する認知症有病率は2.33%で、OECD平均の1.48%と比較しても大きく上回る結果となっています。

 

この数字は日本が急速に高齢化することが主因と推測されます。医療のめざましい発展、介護者の献身的な努力が実を結び、「認知症を発症するまで皆の命が伸びた」成果とも言えますから、「日本の健康習慣がダメ」というようなものではありません。が、「誰しも他人事ではない」ことは意識したほうがいいでしょう。

 

厚生労働省認知症対策総合研究事業の調査によると、高齢になるにつれて女性患者の割合は男性よりも高くなると報告されています。75歳までは男女とも患者数の割合はほぼ一緒ですが、90歳時点で、男性は約40%に対し、女性は1.5倍の60%まで増加します。女性はより気をつけるにこしたことはないでしょう。

 

脳のアンチエイジングは「老廃物を排出」して行う

では、認知症に備えるため、40代から心がけておくべきことは何でしょうか。

まずは「脳に老廃物を溜めない」こと。そのため、「脳のアンチエイジング」を行うことでアミロイドβやタウタンパクといった不要なタンパク質を排出を促すことが重要です。脳のアンチエイジングの方法として、「休養」「栄養(食事)」などが挙げられます。

休養をたっぷりとる

いちばんよい休養は睡眠。成人は睡眠時間を最低でも6~7.5時間とりましょう。休日にたくさん寝て普段の睡眠不足を補おうとする、いわゆる「寝だめ」は生活リズムが壊れてしまうためおすすめできません。とはいえ、睡眠時間を定期的に取れない人は深部体温を下げるなど睡眠の質を向上させることで、脳の老廃物の蓄積を解消させることができます。

 

【睡眠の質を向上させる例】

眠い時に30分の昼寝
ぬるめのお湯で10分以内の半身浴
寝る直前のお酒やタバコをしない
寝る前60分はスマホなどの電子機器を扱わない
昼間に日光を浴びる
汗をかくくらいの運動をする

 

栄養に気をつける

ブレインフードと呼ばれる食べ物は、脳を健康に保つ働きがあると言われます。中でもPS(ホスファチジルセリン)という成分は、脳内の老廃物を排出する機能があると言われています。

 

PSは人間の体を構成する60兆個の細胞膜に含まれるリン脂質の一種です。通常の細胞膜のリン脂質中には約3%しか含まれませんが、脳細胞(ニューロン)の細胞膜においては約20%を占めており、「脳の潤滑油」と呼ばれるほど、脳の情報伝達において重要な役割を果たしています。

PSには、記憶力・認知力改善をはじめ、ストレス緩和効果、 ADHDの症状改善(注意欠陥多動性障害)、パフォーマンス(集中力)の向上などの脳機能改善効果が報告されています。

他の食品と比べ、PSが多く含まれている身近な食材には大豆がありますが、PSの1日での理想的な摂取量と言われる100mgを摂取するために必要な大豆の量は、納豆約100パック分。PSは食材から取り入れることが難しい成分でもあるので、サプリメントなどを活用しながら、効率的に摂取していく工夫が必要です。

きちんと歯を磨く

ブレインフードを食べたからといって、満足して歯も磨かずに寝てしまったらせっかくの脳ケアが台無しになってしまうかも。

歯周病菌に含まれる毒素は、記憶をつかさどる海馬に「脳のゴミ」を増やし、認知症の症状を悪化させるといわれています。きちんと歯を磨いて口内をきれいに保つことも脳のケアにつながっています。

 

脳疲労の解消に良い「ブレインフード」とは?

【代表的な成分】

抗酸化成分(ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノール、カロテノイドなど)
抗炎症成分(オメガ3脂肪酸、クルクミン、セサミンなど)

【代表的な食品】

■青魚

鯖や秋刀魚といった青魚には、DHA(ドコサヘキサエン酸)という成分が多く含まれます。DHAは、脳の神経細胞を活性化させたり、傷ついた神経細胞を修復したりする効果があります。

■チョコレート・赤ワイン

チョコレートや赤ワインにはポリフェノールが含まれています。ポリフェノールには、アミロイドβやタウタンパクの蓄積を抑える効果があります。また、抗菌化作用もあるため、脳のケアにはぴったりです。ただ、ワインはアルコール分も含まれているため、飲み過ぎには注意が必要です。

■大豆

大豆にはPS(ホスファチジルセリン)が含まれ、脳細胞に溜まったアミロイドβやタウタンパクの排出を促進する効果や、DNAと結合することで細胞膜の柔軟性を高める効果があります。サプリメントでの摂取も効果的です。

 

お話:矢澤 一良(やざわ かずなが)教授

早稲田大学 ナノ・ライフ創新研究機構規範科学総合研究所ヘルスフード科学部門 研究院教授

「日本を健康にする!」研究会会長として、健康的な食生活のための間食の重要性を説く「機能性おやつプロジェクト」を推進。1972年京都大学工学部工業化学科卒業。2014年4月より現職。ヘルスフード科学、脂質栄養学、海洋微生物学、食品薬理学を専門とする。学術論文を130報以上発表(共著を含む)、300件以上の特許を出願している。著書に『機能性おやつ』扶桑社(2012)等がある。

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