子どもの不登校=親の「評価」?公認心理師が語る「親が陥りがちな状態」と、本当に考えるべきこと
子どもに「学校に行きたくない」と言われると、多くの親が「この先どうなるの?」と不安になります。自分の育て方が悪かったのでは、と責めたり、このまま社会で自立できるのかと暗い未来を想像してしまうこともあるでしょう。
こうした親の苦しさについて、20年以上にわたり不登校の子どもと家族に向き合ってきた公認心理師の植木希恵氏は、「困っているのは誰なのか」という視点が重要だと指摘します。
本記事では、植木氏の著書から、親が不安にとらわれやすい理由をご紹介します。
※本記事は書籍『不登校・行き渋り…タイプ別でわかる 「学校に行きたくない」と言われたときの親のかかわり方』(植木希恵:著/ディスカヴァー・トゥエンティワン)から一部抜粋・編集したものです
困っているのは誰なのか?
子どもが不登校や行き渋りの状態になると、保護者のみなさんは自分の子育てを疑います。私の育て方が悪かったのかな。愛情が足りなかったのかな。もっと子どもの話を聞くべきだったのかな。もっとああしていたら、こうしていたら……。
子育てをしている保護者にとって、子どもが不登校になったり、行き渋りをしたりすると、本当に心配になりますよね。
ただ、だからといって、なぜ学校に行きたくないのか、学校で何か問題があったのかと子どもを質問攻めにすると、子どもはうまく答えられなかったり、保護者の期待する答えが出せなかったりして投げやりになります。
そうすると、保護者のみなさんは「心配だから」「とにかく気になる」「少しでも何かできることはないか」という思いで先回りし、さらに子どもに言葉での説明を求め、心の内をさらけ出すよう促します。そうすると、ますます子どもに嫌がられます。
ここで、少し立ち止まって考えてみてください。子どもが学校に行けないことを、「誰が」問題だと見なしているのでしょうか?
システムズアプローチという心理面接の手法では、不登校における子どもの立場にある人をIP(Identified Person:問題があるとされた人)と呼びます。Identified というのは「そう見なされた」ということで、つまり、問題は子ども自身がつくり出しているのではなく、「ほかの誰かが、子どもに問題があると見なしている」と考えるのです。
もちろん、本人が困っていることもあります。その場合は子ども自身が自分を変えたいと思っているので、話を進めやすいです。しかし、保護者が子どものことを過度に心配している場合、まず「困っているのは誰なのか」の整理からはじめる必要があります。「それは誰の考えなのか」「誰がどのように困っているのか」「誰が変化を望んでいるのか」を言葉にして確認し合います。
たとえば、私がカウンセリングの場で保護者の方から「学校に行けたほうがいいですよね?」と聞かれたときには、「お子さんはどう考えていますか? どうしたいと言っていますか?」と返答しています。
子どもを自分の延長のように捉えていませんか?
子どもの不登校・行き渋りがストレスとなって、親自身がぐらぐらと揺らいでしまうのは、本当によくあることです。
まず気づいていただきたいのは、保護者である自分自身に「学校に行ってほしい」という気持ちがあり、子どもを学校に行く方向にコントロールしたいという欲求があるということです。
多くの保護者のみなさんはここで、自分の思い込みや価値観に気づくこともあるでしょう。子どもに対して「学校に行ってほしい」「学校は行くものだ」という期待があり、学校というコミュニティにうまく適応できていないわが子をまるで自分の延長のように考えているので、つらさを感じてしまうのです。
子どもが学校に行くか、行かないかを、親である自分自身が社会に適応しているのか、不適応なのかの評価として無意識のうちに捉えていることもあります。子どもの成長具合が、社会における自分の評価として、テストの点数のようにフィードバックされるような感覚に近いでしょうか。
不登校に限らず、子どもができるとかできないとか、子どもの状態を見て自分に合格や不合格を出してしまいそうになる。これは私自身も身に覚えがあるので、常に気をつけようと思っていることです。
ここまでの記事では、不登校や行き渋りの状態になったときに持つべき「困っているのは誰なのか?」という視点についてご紹介しました。つづく関連記事では、「子どもが学校に行けないと親が不安になる理由 」についてご紹介します。
つづき>>親が「子どもの不登校・行き渋り」で悩むのはなぜか?親自身も気づいていない、不安になる理由【公認心理師が解説】
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■著者略歴: 植木希恵(うえき・きえ)
公認心理師。20年以上、不登校・発達障害の子どもたちとその家族にかかわる。カウンセラー・心理スタッフとして勤務したフリースクール併設のカウンセリングルームで、多くの不登校の子どもたちにソーシャルスキルトレーニングや心理カウンセリング、進路相談を行う。その後、中学校で講師として勤務した際に不登校や発達障害の子どもと接する機会が増えたため、2014年、広島市にて「不登校・発達障害傾向の子どものための個別指導塾 きらぼし学舎」を開業。1人の子どもに長くかかわるのが特徴で、小学生から高校、大学、専門学校、社会人になってからもカウンセリングを継続しているケースもある。子どもの心理・学習サポートを行うと同時に、母親に子育ての視点を提供する人気講座「お母さんのための心理学講座」をオンラインで開講中。受講生の方から「もし受講していなかったら、不登校の子どもへの対応を誤ったり迷ったりしていたはず」「不登校だから、発達障害だからではないもう一つ上の視点を学び、子どもとの関係が良くなった」という報告が届いている。著書に『発達障害&グレーゾーンの子の「できた!」がふえる おうち学習サポート大全』(主婦の友社)がある。
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