「男性の育ちが分かる」行動って?日本人はテーブルマナーばかり気にするけど、フランス人が重要視する「日常生活のマナー」とは

2026.05.29 LIFE

「マナー」と聞くと、テーブルでの所作や形式的なルールを思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし翻訳家・エッセイストの村上香住子氏は、マナーとはもっと日常に根ざした「相手をよく見て行動すること」だと指摘します。

80年代からマガジンハウスやマダムフィガロのパリ支局長として活躍し、ジェーン・バーキンやシャルロット・ゲンズブールをはじめ、数多くの文化人と交流を重ねてきた村上氏が「AtoZ」のキーワードで綴った、本物の知性とユーモア、そしてエレガンスを取り入れるためのエッセンスが散りばめられたエッセイ。

本記事ではその中から、日本とフランスの「マナーの違い」や、素敵な男性を見極めるための「パリの紳士たちのマナー」をお届けします。

※本記事は書籍『おしゃれなマナー AtoZ パリで暮らして知ったミューズたちの素顔』(村上香住子:著/ CEメディアハウス)から一部抜粋・編集したものです

 

galanterie 【女性へのマナー】――マナーとは心遣い。相手をよく見て

「女の子は、たとえ一本の花ででも、殴ってはいけません!」中世の騎士道精神からきている教えのようですが、パリの公園で、まだ六歳くらいの男の子に母親が教えているのを聞いたことがあります。

「女性に対するマナーを見れば、その男性の育ちが分かる」とフランスではいわれています。ですが、日本ではテーブルマナーばかりが注目されていて、そうした日常生活のマナーは、あまり重視されていないような気がします。素敵な男性を見極めるために、レディのみなさんもパリの紳士たちのマナーを観察してみてください。

ビルに入るときに後から女性がきていたら、ドアは手で支えて開けておくのが男性のマナーです。しかしパリで20年暮らして帰国した私は、ドアがばたんと自分の顔面に跳ね返ってきたときに、日本のリアルを痛感させられたものです。

また、たとえば路上を歩くときは、車が水たまりの水を跳ねて女性のドレスを汚さないように、男性は車道側を歩きます。さらにカフェでは、男性は十五分くらい早めに行って、席を確保するのが普通です。恋人だったら、対面ではなく並んで座るのがパリ流です。

人前で鼻をかむのは、あまりいい嗜みとはいえません。一言「エクスキューゼ・モワ(失礼)」と詫びてからなら。階段を上るときは、男性が女性より先に行き、降りるときも男性が先です。店を出るときも、男性が先に出ます。何か危険が起きないかを見てから、女性が出るのです。

パリでは、夜に女性を自宅まで送っていくときは、相手がドアの向こうに消えるまで見送るのが一般的なマナーです。これは礼儀というより、無事に建物に入ったかを見届けるといった意味合いで、地区によっては治安の良くない都市で自然に生まれたマナーなのかもしれません。

現代はフェミニズムも多様な時代になり、こうして男性からひ弱に見られて、大切に扱われるのはかえって鬱陶しいと感じる女性もいますので、心遣いといっても、女性の思想次第かもしれません。

なんといってもフランスは革命をした国なので、反抗心が強く、常識的な社会的秩序に大人しく従う、というのはどう見ても格好悪い。そう考えている人も結構いるのです。

ですから来日すると、生真面目に信号を守っている日本人を見て、「信じられない」といった表情で眺めているフランス人もいます。「どうして車が来ていないのに渡ってはいけないの? 日本は全体主義?」渋谷のスクランブル交差点で、こう言われて困ったこともありました。

 

ここまでの記事では、パリの紳士たちの「女性へのマナー」を紹介しました。つづく関連記事では、「自由を愛するフランス人の生き方」についてお届けします。
つづき>>パリの「進んでいる女性」は「キッチンのない部屋」を選ぶ?「しなければいけない」から解放されたい、自由を愛するフランス人の生き方

 

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著者:村上香住子(ムラカミ・カスミコ)
翻訳家、エッセイスト。 1985年にマガジンハウス社からの依頼を受けパリ支局長として赴任し、1992年、フランス最大の新聞社フィガロの中にあるパリ支局に移る。20年間のパリでのジャーナリストとしての活動後、2005年夏に帰国。ジェーン・バーキンやその家族とは40年にわたる親交をかさねている。




『おしゃれなマナーAtoZ』(CEメディアハウス)刊行記念イベント開催!
村上香住子×岡本仁「パリところどころ」
日時:2026年5月30日(土)11:00~13:00
会場:本屋B&B(東京・下北沢)
イベント申し込み:https://bookandbeer.com/event/20260530_pew/



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