「誰かのぬくもりを求めていいですか?」40歳・夏海、アラフォーの恋愛事情 

2016.11.01 LOVE

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別れのシーンに出くわした私は、そこに釘付けになった。

まるで映画のように美しいシーンだった。

巻き髪が美しい女性と、ふわっとした長いグレーのシャツを羽織った長身の男性。

 

「今日はありがと」

すぐに彼女は顔を上げ、微笑み、髪をかきあげた。

「またな」

彼女は軽く手を上げ、足早に去っていく。

その姿を見送った彼は、不意に私のほうを見た。

 

「気になる?」

彼は意味ありげにこちらに微笑みかけた。

私は慌てて首を横に振った。

その時に店の看板が目に入った。

そこは、ホストクラブだった。

 

つまり、今出てきた綺麗な女性は、お店のお客様で、私に話しかけてきたのは、ホスト……。

繁華街を一本入ると、こういう光景があるのかと私はたじろいだ。

私が知らない世界。

そしてこれからも関わりがないだろう世界……のはずだった。

 

「気になるなら、寄ってく?」

そのホストの大きな瞳は、私を捉えて離さない。

彼が私に、ゆっくりと手を差し出してくる。

まるで、王子様が、プリンセスに手を貸すかのように。

 

私は反射的にそこに自分の手を重ねていた。

彼の手は、とても温かかった。

それは、私が求めていたぬくもりだった。

 

 

誰かのぬくもりを求めていいですか?40歳・夏海(2)に続く-【40女の恋愛事情・story6】 毎週火曜18時更新

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