「誰かのぬくもりを求めていいですか?」40歳・夏海、アラフォーの恋愛事情
恋人がいなくても、特に困ってはいなかった。
週末には、趣味のパン作り教室もあるし、エステにも美容院にもネイルにも行きたいし。
やることは、たくさんあった。むしろ時間が足りないくらいだった。
なぜ自分には恋人ができないのだろう。
30代のうちは、こんなことで悶々と悩んだこともあるし、合コンなどに出かけて、誰かとつがいになろうと試みたこともあった。
でも、できなかった。
お互いのニーズが合わないような、そんなことが続いて、40代になった。
もう恋人はいいや。
そう思った途端、すべての時間は自分だけのものになった。
だから私は充実している。
ただ、足りないのは、たったひとつ足りないのは、誰かのぬくもりだった。
愛し合う誰か出なくてもいい。
優しく手をつないでくれる人が、時々欲しくなる。
たまに、隣に誰かがいて欲しくなる時がある。
手袋を忘れて冷え切った指先のせいかもしれない。
長い旅路の途中で、誰かとふっとすれ違う、お互いの今後の健闘を祈り合う。
そんな感じで軽くハグができるような、そんな誰かは欲しくなる時がある。
そんな私の目の前で、不意に女性が抱きしめられた。
突き当たりにあるビルの銀色の大きな扉から出てきた男の人と女の人。
男の人が名残惜しそうに軽く彼女を抱き寄せ、励ますように背中をぽんぽんと叩いた。
この記事は
作家&エッセイスト
内藤みか
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