さっとひと塗りでパワーアップ。真っ赤なルージュの理由とは…
『千と千尋の神隠し』の主題歌『いつも何度でも』、覚えていますか?
公開から何年経っても、あの曲を聴くと、ジブリの美しい世界や感動が蘇る人も多いはず。
そんな、すてきなテーマ曲の作詞をされた覚 和歌子さん。
このコーナーでは、彼女の手がけたタロットカード「ポエタロ」より、カードのテーマに沿って書かれた覚さんのエッセイを一話ずつご紹介しています。
今回のエレメントは、「口紅」
さっとひと塗りするだけで、なんだか少しパワーアップした自分になれる
女性の強い味方です。
さて、このカードの意味するところとは?
覚さんのエッセイの前に、カードの解説文から少し。
赤は性と創造をつかさどる
第一チャクラの色でもあります。
言わずもがな赤は、情熱や生命力、エネルギーの象徴です。
口紅といえば、赤色のほかにもピンクやベージュ、オレンジと
さまざまな色がありますが、やっぱり、「口紅」と聞いてすぐ浮かぶのは、真っ赤。
ひとえに「赤色」といっても、さまざまな赤色があります。
黄色味が強かったり、オレンジや、青みのある赤色。
口紅にも、それぞれの肌色や髪色に合うように、たくさんの選択肢がありますよね。
はなから「わたしに赤はちょっと・・・」と決めつけないこと。
赤色が気になるようになったら、迷わず、けれども自分に合ったペースで
新しい自分を楽しんでみましょう。
もちろん、赤色が大好きなら、もっともっと気分をあげていきましょう。
自分に自信をもって、いきいきと背筋をのばして歩いていたら
きっと、すてきな出会いが飛びこんでくるはず。
それでは、覚さんのエッセイをどうぞ。
***
【口紅】もう着ないから、の根拠
真っ赤なルージュは
飲食時も接吻時にも着替えのときにも
明らかに不便。
入社式にも
成人式にも
結婚式にも
ほぼ相応しくない。
真冬の唇が乾くとき、
真夏の海で泳ぐときには
役に立たないどころか、
化粧崩れしたときのややこしさといったら
ほとんど取り返しがつかない。
濃い化粧をしそうな演歌歌手やホステスさんでも
自分に似合うものを知っているおしゃれな人は
滅多に真っ赤なルージュを使わない。
にもかからわず口紅といえば真紅が代表。
なぜだ。
ニンジャとフジヤマが日本文化の代表みたいなものか。
ちがうか。
その昔、友人(女性/当時30歳)が恋をしたとき、
突然赤い色が目につくようになったと言って、
私から「もう着ないからいいよね」と
赤いオーバーコートを奪っていったことがあった。
その根拠は何だったのだろう。
料理にはトマトやパプリカを加えると、
いきなり美味しそうに見えて食欲をそそる赤色マジックがあるというが、
深紅の口紅が色気(生殖欲)をあおるように、
赤という色は
つくづく生きる意欲のようなものとつながっているのだなと思う。
男性が口紅のカードを引いたときは、
「生命力(がある/ない)」というメッセージのほかに
「身だしなみ」を示唆されていると思っていい。
むさいオヤジを自認している男たちよ、
たかがクジャクの雄でさえ
生存のためには”見た目”でアピールするんですよ。
覚 和歌子
詩人・作詞家
山梨県生れ/千葉県育ち。早大一文卒。平原綾香、smap、新垣勉、夏川りみ、クミコ、ムーンライダーズなどの作詞で、多くの作品をCD化。NHK全国学校音楽コンクール課題曲、校歌、合唱組曲等の作詞なども多く手がける。01年『千と千尋の神隠し』主題歌『いつも何度でも(曲・歌唱/木村弓)』の作詞でレコード大賞金賞。詩集『ゼロになるからだ』(徳間書店)、『はじまりはひとつのことば』(港の人)、『2馬力』(ナナロク社)など。エッセイ、絵本、翻訳など著作多数。映画監督、脚本、舞台演出、朗読、自らのバンドを率いてのソロライブ、米国ミドルベリー大学日本語学特別講師など。詩作を軸足にマルチな活動を展開。
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「ポエタロ」とは?
「ポエムタロットカード」を縮めた名前、『ポエタロ』。
47枚のカードにはそれぞれ、美しくやわらかい日本語の詩と、
かわいらしくも不思議な魅力のあるイラストが描かれています。
使い方はいたって簡単。シャッフルしたカードの中から、
その時の直感で1枚、あなた自身のためにカードを引いてみてください。
1日のはじまりにその日の指針を得てもいいし、なにか大きなチャレンジの前、
なかなか超えられない壁に直面しているときに。
そのときの気持ちや環境にリンクした、やさしい詩とメッセージが、
次の1歩を踏み出す勇気や確信を与えてくれる不思議なカードです。
あなたの心強い味方になってくれるはず。
『ポエタロ いのちの車輪をまわす言葉』
覚 和歌子・著 石川 勇一(相模女子教授)・監修 大野 舞(Denali)・画 カード47枚 ガイドブック付き 3,780円(税込)/地湧社
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