「生の白樺樹液採取のため、女性社員を2週間北海道に」アムリターラ・勝田小百合さんが徹底的に生産者を支援する「圧倒的な危機感」とは

『アンチエイジングの鬼』というブログをご存じでしょうか。2005年にアムリターラ代表・勝田小百合さんが解説したブログ、20年強の時を経て、いまやアムリターラは国産オーガニックコスメ&フーズの代名詞のひとつとなりました。

経営者であると同時に、治療家、美容家、作家、表現者、さまざまな顔を持つ勝田さんですが、私は彼女を思想家だと思っています。そんな勝田さんがいま手掛けている「アムリアグリプロジェクト」をキーに、いま・これからのアムリターラについて伺います。たっぷり5本分の記事で勝田さんの今に触れてください。

(この記事は5本中の1本め ////

「生の白樺樹液を配合した化粧水」、その背景にあったこれだけの「知られざる戦い」

‐‐アムリターラのベストセラー化粧水『ホワイトバーチモイストウォーター』は、本来なら水を使うであろうところを全量白樺の樹液にした、すべて美容成分でできた化粧水です。この最重要な原料である白樺の樹液の採取に、アムリターラの社員さんがまる2週間「留学」してきたという報告会が開かれました。

アムリターラをスタートした2008年当時、私はローフードに凝っていました。「非加熱原料で化粧水が作れたら最高」と考える中、ちょうどフィンランド産の白樺樹液という理想的な非加熱原料と出会って。2010年、水さえ使わない美容成分100%の化粧品「ホワイトバーチモイストウォーター」を発売することができました。

 

白樺樹液は、日本では主に北海道で採取され、かつてアイヌ民族の方が健康飲料として飲んでいた歴史があります。北欧では「森の看護師」と呼ばれる成分です。雪解けの早春に、地上50cmほどのところに直径2cm、深さ4cmほどの小さな穴を開けると、ぽたぽたと樹液があふれてくるんです。これを採ります。木々が芽吹いてしまうと樹液は止まるので、雪解けの2~3週間の時期にだけ採取できる貴重な成分です。樹液が出てこなくなったら、穴に木の栓をして、その年の収穫は終了。

 

白樺樹液はアミノ酸や糖類など保湿成分、ミネラルをたっぷり含み、ほんのりと甘い。ですが、糖を含むので発酵します。アムリターラは、発酵を止めるためのグレープフルーツエキスなどは入れますが、防腐剤は使いません。ですから、非加熱の原料が海を渡ってくるとなると、それはもう大変な戦いになります。また、自然のものですから毎回成分も変わります。これはアムリターラの化粧品全てに於いてですが、同じ産地でもその年の気候に応じて成分も香りも少しづつ変わります。加えて気候変動などの影響も受けて、素材そのものが少しずつ変わってきてしまって。

 

やっぱり国産がいい、中でも北海道の白樺がいいと思い、5、6年前から白樺樹液の生産者を訪ねていました。ただ、前述のとおり、採り方やその後の処理に技術が必要で、ものすごく難しい原料なんです。

 

‐‐そんな中、北海道の美深(びふか)にある松山農場さんと出会ったと。

写真左から・ホワイトバーチモイストウォーター セット (レフィル120mlと専用ボトルのセット)5,665円、エイジ ソリューション クリーム 30g 12,980円(ともに税込)/アムリターラ いずれも美深町産のシラカンバ樹液を使用。

古くからの会社さんで、私もお名前は存じ上げていました。自社製品だけ作っているのかと思ったら、化粧品原料も卸してくださると。そして、社長さんとお話ししたらすぐに意気投合しました。70代の男性なのですが、新しいことにチャレンジしたいと目をキラキラ輝かせているような人で、喋っていてワクワクして。3、4年の付き合いなのにずっと昔からの気の合う友人みたいに、すっかり仲よくなりました。

 

お話の中で、そんな松山農場さんも高齢化していて、ちょうど人手が一人足りなくなっていると聞きました。そのころ、かつて河出書房新社で私の書籍『FLOWで不老』を編集してくれた矢島さんがアムリターラに転職してきました。現在は弊社の広報担当者ですので、以下矢島と呼びますね。矢島はホワイトバーチで自身のアトピーをケアした経験を持つので白樺への関心が高く、入社前から一緒に美深を訪れたりしていました。年に1回の「美深白樺樹液祭り」では白樺で淹れたコーヒーを一緒に出しました。

 

そして、白樺採取の人手が足りない話を聞いた矢島が「体力には自信がある。ぜひ自分が行きたい」と言い出して。私も本当は行きたいんですけど、お任せして、2週間の貴重な労働力として矢島と彼女の20代のお友達の女性2名で行ってもらいました。この様子を先日「樹液留学報告2026」としてメディアのみなさんにお話したのが冒頭のお話ですね。

 

最初は、生産者さんは「都会から会社の人がちょろっと来ても、まあ2、3日で帰るから」と捉えていたと思います。でも、矢島はガッツリ本気で労働しにやってきました。原料を、生産者さんを大事にしている、この白樺事業の未来を根底から支えて役に立ちたいという気持ちが強いので、生産者さんたちもだんだん見る目が変わってきて。2025年、2026年と2回行っていますが、2026年にはすっかり採集メンバーの一員となりました。

 

‐‐単なるお客様ではなく、確たるメンバーとしてフルコミットで参加したことで、わかったことも多数あるのではと思います。

「アムリターラが白樺に対してできることは何か?」というニーズも矢島が探ってきてくれました。矢島は父親が北海道大学農学部の元教授で、白樺にも関わっていたそうです。もともと白樺に関心が高く、現地でも第一人者の北大名誉教授・寺沢実先生に話を聞きに行ってくれたりしながら、現地では白樺採取に取り組む皆さんに「今の白樺の状況はどうか」と聞いてくれました。

 

結果、いろいろなことがわかりました。実は白樺の木も高齢化しているそうです。現在の白樺林はあと数年で限界が来るから、新しく植林して一本一本育つよう間引き、また車が入れるように整備することも必要であると。育成には10年、15年かかりますから今すぐ交代できる話ではないのですが、先々はいまの白樺林を休ませることもできるようになる。そうしないと、もとはアイヌ民族の方々が継承してきた文化である白樺樹液採取が途絶えてしまうと。

 

そこで、アムリターラが続けてきた「amri agri project(アムリアグリプロジェクト)」の中で、「アムリアグリ白樺プロジェクト」を一本独立して立てることになりました。ホワイトバーチモイストウォーターはアムリターラでも一番人気の商品ですから、リフィルパック1個につき何円と積み立てる形で支援を始めました。これは私もやりたくてやっている話で、もともと商売というよりも、こうした社会循環を作ることが好きなんですよね。

 

つづき>>>「循環よく過ごしていると微生物からもよい波がくると思う」アムリターラ・勝田小百合さんの「運」を支える信念とは

 

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