不倫をやめない妻が「ただ一つ求めた」もの。快楽に溺れる二人の行方は

2021.03.02 LOVE

後ろ指をさされる関係とわかっていても、やめられない不毛なつながり。

不倫を選ぶ女性たちの背景には何があるのか、またこれからどうするのか、垣間見えた胸の内をご紹介します。

【不倫の精算#20前編】

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その不倫は「新婚」の時期に始まっていた

42歳になるGさんは、個人事業主として在宅で仕事をしている。

夫とふたりの子供がいて慌ただしい毎日だが、自身の実家が近くにあることが幸いして、何とか仕事に集中できていた。

 

Gさんには、10年の付き合いになる不倫相手がいる。

二人は仕事が縁で知り合った。相手の男性はバツイチで、不倫がはじまったときにはすでに離婚済み、子どもたちは母親についていったためひとり暮らしをしていた。

 

「最初からいいなと思っていた人なの。

夫とは付き合いがズルズルと続いて結婚するしかない状態で籍を入れちゃったから、どこかで遊べる人がほしかったのだと思う」

 

そう振り返りながら話すGさんだったが、驚くことに、この不倫はGさんがまだ新婚の時期に始まったそうだ。もちろん、不倫相手の男性も新婚と承知で肉体関係を持った。

 

我が子はかわいい。でも、ふと思い出すことは誰にだってある

そんな二人の関係が一度だけ切れたのは8年前、Gさんが妊娠したときだという。

 

「夫が子どもを早くほしがったの。

私も不倫の彼との子どもがほしいとまでは思わなかったし、結婚しているんだから夫の子を産むのが当然よね。

だから、子作りに集中してから出産までの2年間は音信不通だったわ」

 

Gさんは無事に第一子を出産したが、慌ただしい新生児の頃が過ぎ1歳を迎えるときに、不倫の彼を思い出したそうだ。

 

「そのタイミングで?」

 

はじめて不倫の話をGさんから打ち明けられたとき、かわいい盛りの子供がいるのに不倫相手の顔が胸に浮かぶことが、よくわからなかったのを覚えている。

 

「うん、卒乳が成功して一段落ついて、少しだけ自分のことに余裕を持てるようになったからかも。

1歳になったら子は保育園に入れて、仕事を再開するつもりだったし」

 

淡々とGさんは話す。

だが、この不倫とは別に、

 

「夫の実家が育児についていろいろ口を出すので困る」

「こっちは寝不足で毎日大変なのに、夫に家事を強制される」

「自分の実家を頼ろうとすれば夫にイヤミを言われる」

 

結婚生活にそんな悩みを抱えているのは知っていた。

 

手のかかる小さい子を抱え、ストレスの溜まる毎日であったことは想像できる。そのはけ口に不倫相手の存在が蘇ったのだろうと思った。

 

こんなに私は大変なのに。誰ひとりとして私をいたわってくれない

「我が子だもの、もちろんかわいいし、何よりも最優先よ。それはずっと変わらない。

でも、家で仕事をして保育園の送迎も私。家事も育児もひとりでやっているの。

夫も、あっちの実家も協力はしないのよ。

こんな毎日じゃ、息が詰まるし仕事もはかどらないし。私はね、『自分』に戻れる時間がほしかったの」

 

まっすぐにこちらを見ながら言い切ったGさんの、この言葉が一番の本音だったのだと思う。

Gさんが生まれ育った地方都市には、まだ結婚には男系優位の感覚が残る。押しの強い義実家と違い、自分の実家の親は「娘を迎えてもらった側」としていつも一歩引いた位置にいる。でも、自分が我を通せば必ずこの地域では角が立つ。

 

本来見方になってくれるべき実の親にすら「夫を一番にしなさいよ」と言われ、愚痴も聞いてもらえない。このストレスを不倫相手で解消することを思いついたのは、Gさんにとって「自分に残された最後の道」だったのだろう。

 

音信不通だった彼にLINEしてみると、意外なことにすぐ既読がつき、返信があった。

「久しぶり。 どう? 仕事は順調?」

以前と変わらず気さくに声をかけてくれる彼に、Gさんの心は一気に傾いていった。

 

「妻」でも「母親」でもない、ただの「私」でいる時間がほしい

「彼とは前みたいに話ができて、すぐ会おうって話になったの。

子どもは保育園だから平日は出ていく時間を作れるし、何とか仕事を調整して彼と食事に行く約束をして。

久しぶりに家を出られる、妻でも母親でもない時間を過ごせると思うと、本当にわくわくした」

Gさんは笑顔でそのときの自分について話す。

 

2年ぶりに会う彼は記憶にあった姿と変わっておらず、Gさんに対して

「出産したんだよね?

全然スタイルが変わってないね、今もきれいだ」

とためらいもなく褒め言葉を送ったそうだ。

 

最後の会話が「妊活するから」だったことを思い出しながら、Gさんは夫からは出ない言葉をたやすく送ってくれる彼への期待を募らせていった。

 

「期待? 何の?」

そう尋ねると、Gさんはまばたきを繰り返して

「えーと、だから、またベッドに誘われること」

と、視線をぎこちなく外しながら答えた。

 

妻でも母親でもなく、ただのオンナとして求められること。

配偶者である夫では叶えてもらえないことを、Gさんは不倫の彼なら応えてくれるだろうと思った。

 

子どもはいるけど会う時間は作れること、平日なら電話でもすぐ話せることなど、遠回しに“お膳立て”を伝えるうち、期待通りに彼から

「ホテルでも、どう?」

と控えめに誘われた。

 

Gさんと不倫の彼は再会してあっという間に結ばれた。それはGさんにとって「貴重な息抜き」になったが、同時に「バレずに関係を続けること」の大きな悩みが持ち上がった。

 

Gさんはある“決断”をしており、それを聞いてほしくて今日はランチに誘われたのだった。何だろうと思いながらここまでの話を聞いていたが、食後のコーヒーが運ばれてくるときになって、ようやく彼女は本題に入った。

 

>>>後編 本当に恋なの?「仕返し」ではなく? 不倫妻の抱える意外な闇とは

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