#16前編 毎日じゃないと満たされない彼女が「ひみつの関係」を作るまで【40代、50代の性のリアル】
“身体だけの割り切った関係”とは、聞き飽きた感のあるフレーズだが、それを実践できている人はどのくらいいるのだろう。一度や二度会ってセックスをするだけなら、それも容易かもしれない。けれど継続して関係を持つ、まして、今回お話をうかがったミユキさんのように10年以上関係がつづくとなると、”身体だけ”はかえってむずかしい。
時間とともに取り巻く事情は変わる、加齢や病気など肉体の変化がもたらす影響もある。最初は割り切っていても、そうはいかなくなる人のほうが多いのではないか。
【40代、50代の性のリアル #16 前編】
とにかく「したい」、だから母親業は手抜きしない
ミユキさん(48歳)の毎日は忙しい。コロナ禍で正規職員の仕事を失い、パートの仕事を3件掛け持ちしている。ひと月のうち丸一日休みになる日がほとんほとんどない。
しかしその合間を縫って、男性と会う。仕事の昼休憩に男性と約束をしてホテルに行く。終業後、夜は別の男性と約束をしている。深夜、会食を終えたまた別の男性から「迎えにきて」と連絡がある。車で店まで出向き、ふたりでホテルに向かう……子どもが小学校高学年のころから、そんな生活をつづけていた。
子どものお弁当は出かける前後に手早く用意した。子どもから送り迎えしてほしいといわれれば、必ず応じた。母親として手を抜くことはなかったと自信をもっていえる。
その奔放さ以前に、タフさに驚かされる。もともと体力には自信があるのだろうか?
「それよりも、とにかくしたいんです。できるチャンスがあるなら、逃したくない」
生まれも育ちも北陸。彫りの深い顔立ちで、すれ違う人は男女の別なく思わずふり返るであろう、華やかさがあるミユキさん。
「現在おつき合いしている方たちとの出会いは、離婚前に下の子の小学校でPTAの役員を務めたときです。元夫は、子どもたちの学校行事は運動会どころか入学式、卒業式にも顔を出すことが一切なく、学校関係は私ひとりで出席していました。役員になると学校での打ち合わせや行事だけでなく、市のPTA連絡協議会や各種委員会などにも出席しなくてはいけなくて、いろんな学校の役員さんとしょっちゅう顔を合わせていました。会議のあとは飲みにいくんですよ」
満たしてくれない夫…10歳以上年上の男性たちとの秘密の関係
平日の夜に時間が取れるとなると、ミユキさん以外の役員は、会社経営者や、時間の融通が利きやすい専門職の男性が多かった。ミユキさんは20代前半の若さで子どもをふたり産んだので、PTAではもっとも若い。男性役員は10歳以上年上の人ばかりだった。
彼らとの会話が、ミユキさんは楽しくてならなかった。夫とのにはなかった知性のようなものがあったし、彼らは頼りがいもあった。そんな時間を重ねるうちに、そのなかから「私、この人と寝てみたい」と思う男性がちらほら出てきた。
「役員の任期が終わればもう会わなくなるはずだったのですが、その前に、はじまってしまったんですよね。3人ぐらいの人と、ほぼ同時に」
こうした付き合いが、10年以上経ってもつづいている。ほぼ毎日会う人もいれば、数カ月に一度のペースで連絡がくる人もいる。
「ほんと毎日朝からしたくてならないんです。夫との離婚の理由も、ひとつはそれ。夫はまだ20代だったのに2、3日に1回しかできない。それじゃ私はぜんぜん満たされない。そのうちオトナのオモチャを使ってくれるようになったんですが、私はそれを手抜きだと感じてしまう……満たされなくて体と頭がおかしくなりそうでした」
入院した男性からの呼び出し。カーテンを閉めて、こっそりと
だから現在は、誘いがあれば可能なかぎり応じる。ある男性が入院したときには病室から電話がきた。
「救急搬送されたと連絡を受けて病院に駆けつけたら、ちょうど奥さんが帰ったあとでした。こんなときでも私にとっては、会う=セックスする、です。23時を過ぎていたし4人部屋だったので、カーテンを閉め声を押し殺しながら手早く済ませました。その後も彼の入院中は毎日お見舞いに行って、売店で必要なものを買い、必ずセックスもして……周囲は私のことを奥さんと思っていたみたいです」
後編>>>「妻とは別れるから」と言い寄る既婚者…彼女の意外な答えとは…?