教養があらわれるナイフとフォークのお作法。覚えてておきたいテーブルマナー
『プロトコール』とは、国際社会で円滑に交流し、言葉や文化が異なる人々が平和に心地よく過ごすための決まり事です。テーブル・マナーもまた、敬意を伝える大事な表現です。今回も前回に引き続き、皆様がパーティの席でよく悩まれるというテーブルマナーの疑問について(一社)日本プロトコール&マナーズ協会主任講師の松田玲子先生にお聞きしました。
【連載/気品を身につけるシンプルな教え#14/ナイフ&フォーク編】
*連載一覧
(一社)日本プロトコール&マナーズ協会
>>前回「育ちの差が出る「パンの食べ方」。覚えておきたいテーブルマナー」
前回はパンの食べ方に品性があらわれるという話をしましたが、今回は知っていそうで実は曖昧な人が多い、カトラリーのお作法について。
カトラリーの使い方「食事中」と「終わりました」のサイン
ナイフとフォークのことをカトラリーといいます。
カトラリーの使い方は、国と地域によってさまざまですが、ここでは「エレガントな女性のたしなみ」の観点からお伝えします。
プロトコールでは、右手にナイフ、左手にフォークを持ち、ペアで一組と考えて一緒に使います。左利きの場合は、逆の手で持っても良いとされています。
ナイフ、フォークとも、人差し指を伸ばし、背に当てて持ちます。親指は柄のわきに当て、残りの指は軽く添える程度です。
「食事中」のサインはフォークをハの字に
袖を引っ掛けぬよう内側に入れて
食事中のサインは、ナイフとフォークの柄を出来るだけ皿の奥に「ハの字」にして置き
ます。なぜならば、柄が手前に出ていると腕や袖を引っ掛けるなどのトラブルが予想されますので、それを未然に防ぐためです。
「食事終了」のサインはカトラリーを揃える
時計の10時と4時に揃える
食事が終了したら、サービスの方に「食事終了」がわかるようにサインを送ります。カトラリーの置き方にはフランス式やイギリス式などがありますが、プロトコールではフォークの腹側を上に、ナイフの刃先は必ず自分のほうへ向けて揃えます。揃え方はお皿を時計に見立ててナイフとフォークの先を10時、柄を4時の方向に置きます。
ナイフの刃先をお相手に向けることは、敵意があるサインと見なされたヨーロッパの歴史に由来するものですので、食事中のサインも含めて、ナイフの刃先は必ず自分側に向けます。
食べ残した物がある場合は、お皿の右奥に寄せて置きます。ナイフを口に入れたり、ナイフに付いたソースをなめたりすることはNGです。
普段の食事から美意識をもっていただくことが大事
テーブル・マナーにはさまざまな形式がありますが、マナーで重要なことは形式だけではなく、「なぜ、そうするのか」といった奥に秘められた相手を思いやる心や、文化、歴史があるからです。普段の食事からその背景を意識していただくことで、いざと言うときにも慌てずに美しく振る舞うことができますね。
>>「育ちのいい人がレストラン入店前後で絶対にしないこと。招かれざる客にならないためのマナー」
>>「グラスに口紅がついたら…」覚えておきたいテーブル・マナー
続きを読む
スポンサーリンク