誰にも言えない彼女の「ねじれた事情」その背景【40代、50代の性のリアル#22後編】

2021.12.25 LOVE

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ミドリさんの口調はおっとりとしていて、話しているとこちらまでがのんびりした気分になる。ふっくらとした体型も、そう思わせる理由のひとつだろう。

「私、子どものころから無駄に胸が大きくて、男の人はみ~んなオッパイにつられてくるんです。私の顔を見ないで、オッパイとお話しするんですよ」

と朗らかに笑う様子を前にすると、実は辛辣なことを言っているのに、つられて笑ってしまう。

 

自信がないから、誘われたとき断れない

結婚後も、ミドリさんに言い寄ってくる男性はあとを断たなかった。

 

ミドリ「胸が目立たないような服を着るようにはしているんですけどね。男性からジロジロ見られると、『あ~、この人もか~』って思っちゃいます。身体が目的で、セックスだけできればいいんでしょって」

 

そんなことはないのではないか。実際に話していても、たくさんの魅力がある女性だとわかる。

 

ミドリ「そうですか? 自分に自信がなさすぎて、ついそう思っちゃうんですよね。夫からも『自信がなさすぎだぞ』とよく言われます。でも私はいまだにセックスしないで男性と関係を築く方法がわからないし、求められたらどうやって断ればいいかもわからないんです」

 

そうなった原因を、ミドリさんははっきりと確信している。

 

父からされたことの影響が、現在もつづいている

ミドリ「幼いころ、父から身体をさわられていました。身体の弱い母が長期入院すると、夜、布団に入ってくるんです。思えば私は物心ついたときから、常に父の顔色をうかがってきたんですよね。喜怒哀楽が激しいうえに気分屋で、機嫌を損なったら大声を出したり物を投げたり。だから私は父に甘えた記憶がないんです。そんな父が、私の身体をさわっているときだけは機嫌がよかったんですよ」

 

その体験は、ミドリさんのなかに「身体を差し出さないと、やさしくしてもらえない」という感覚を植え付けた。性被害、なかでも子どものころの性虐待はその後の人生に長く、大きく影響する。

 

ミドリ「私が好きになる人って、みんな共通点があるんです。ポーカーフェイスで、何を考えているかわからない人。父のように急に機嫌が変わって、表情も別人のように変わって……という相手だと、一緒にいて疲れてしまうから。夫はそれとは真逆の人でした。激しい愛情表現はないけれど、ぜんぶ受け止めてくれるんです」

 

夫に、理想の父親像を見る

どんな試し行動にも応えてくれたから結婚したいと思った、というのは前篇で紹介したとおり。年の差が21歳差ということもあり、ミドリさんの話を聞いていると、”夫”ではなく”理想のお父さん”について話しているのではないかと感じるときがある。

 

ミドリ「夫は先妻さんとのあいだにふたりお子さんがいるのですが、私はものすごく嫉妬していたんですよね。『この人がお父さんなんてズルイ!!』って。それだけでなく自分の子どもたちが小さいときも、パパに無邪気に体当たりしたり甘えたりしているのを見て、うらやましくてしょうがなかったんです。顔色をうかがわないでいいっていうだけで、私の子ども時代とはぜんぜん違うんです」

 

つづく言葉に、筆者は一瞬、耳を疑った。

 

家族の世話に明け暮れる毎日、「私って何なんだろう…」

ミドリ「そんな父とは今も同居しているんですけど」

 

夫とふたりの子ども、そして父親を加えた5人で生活を送っているらしい。父親の話をする声や表情から、憎んでいたり恨んでいる感じは伝わってこない。けれど、

 

ミドリ「ここ5年ぐらい、昔イヤだって言えなかったいろんなことが、心にモヤモヤと煙のように立ち込めている感じなんです。家族のお世話はすべて私の役目。夫も子どもたちも、それから父も、みんな好きにやっているように見えて、私って何なんだろうって思っちゃう……そんなときに男性から『いまから会わない?』って連絡がくると、会いに行っちゃうんですよね」

 

非日常を味わい、気分転換になるのが、ミドリさんにとっての婚外セックスだった。

 

男性でないと埋められない心の穴がある

ミドリ「うちにいると私は”お母さん”でしかなくて、お母さんじゃない自分を取り戻したくなるんですよ。でも、これといった趣味もなくて。女友だちと遊びに行くのも楽しいんですけど、女性では埋められない隙間ってあるような気がしています。男性と会っている時間だけは、正直な気持ちでいられるんですよ」

 

まるで宇多田ヒカルと椎名林檎の「二時間だけのバカンス」である。

 

ミドリ「でも本当は、夫さえいればいいのかもしれません。夫が仕事でいない日は、さびしくて、不安で、不安定になるんです。以前は泊まりの仕事ではなく夫も毎日帰ってきたのですが、そのときはこんなことありませんでした。きっと私は、子どものころからさびしかったんです。夫がいないとフラフラしてして、夫が家にいるとそれが治まる、という毎日です」

 

同年代男性との出会いによって、変化が訪れるか?

男性と会い、どんな時間を過ごしたのか、ミドリさんは夫にすべて報告している。それが夫婦の性生活のスパイスにもなっている。

 

そして現在、変化の兆しが見えている。同い年の男性から、ミドリさんは誘いを受けているのだ。これまではミドリさんからすればずっと年の離れた男性、夫からすれば自分と年の近い男性たちが相手だった。

 

ミドリ「夫も今までとは違うと感じているらしいです。3Pしたいとまで言ってるんですよ。気が早いですよね、まだどうなるかわからないのに」

 

と口ではいうが、ミドリさんの口調にはあきらかに期待の色が混ざっていた。

 

前編はこちらから>>>60代夫の「寝取られ」プレイに応じる21歳年下妻、その真意は

 

【編集部より】

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