現在60歳の私が振り返る「更年期の始まりから終わりまで」。49歳、ホルモン補充療法を始めるとどうなる?

月刊女性誌の専属ライターとして美容全般、健康、予防医療、旅、ライフスタイルなどを約11年担当してきたフリーライターの葉山より子さん。ライター業に足を踏み入れる前には、23年以上に渡って海外旅行のツアーコンダクターを努めていたという異色の経歴の持ち主です。

ベテランコンダクターとして指名のお客様も多く、海外に渡航するたび目の肥えたマダムから現地でのアレンジリクエストを受けるため、自然と世界の美容や健康法にも精通したという葉山さん。長年の取材と経験から「美は心身の健康の上になりたつ」を実感しているそう。

そんな葉山さんが「更年期世代の乗り切りにぜひおすすめしたい」というのがホルモン補充療法(HRT)。体験を教えていただきました。

 

突然始まった「滝のような汗」。でも、「まだ早いでしょ」と受診はしなかった

はじめまして、葉山です。私は現在60歳。都内在住です。そんな私の更年期体験、いちばん最初は48歳のときでしょうか。

 

梅雨の晴れ間、冷房の効いている電車内で、突然、顔がカーっと熱くなり、首の後ろから顔から、汗が噴き出てきました。「何?何?」と驚いて首にハンドタオルを巻き、下を向くと顔の汗が床にぽたぽたと落ち、電車に乗っていられず下車してベンチで休みました。

 

やがて寝汗もぐっしょりかくようになり、外出中の大量の発汗が不安で替えの下着まで持ち歩くように。

 

この症状が出る前、母と父が立て続けに亡くなっていたため、心身がかなり疲弊していました。息切れ、不眠が出て体調もよくなかったのですが、40歳から受けていた人間ドッグの結果がよかったこともあり、辛くても「まだ大丈夫」と病院には行きませんでした。

 

対馬ルリ子先生への取材で女性ホルモンに対する知識を得た。自分への投薬は…

そんな時、産婦人科医の対馬ルリ子先生と美容家吉川千明さんの共著である『女性ホルモン塾』を読み、幸運にも女性誌の企画提案が通って、取材で更年期障害の症状について対馬ルリ子先生に取材をお願いすることになったのです。

 

更年期(閉経前後10年間)は、女性ホルモン(エストロゲン)の減少による身体の不調だけでなく、子育てや親の介護、家族や職場の人間関係など心の悩みも増えてくる頃で、多様な症状により、個人差がありますが、日常生活に支障を引き起こします。

 

突然のほてりや多汗はホットフラッシュで、更年期障害の代表的な症状です。そのほか、「ほら、あれよ、あれ」と名前がでてこない物忘れも、加齢だけが原因ではなく、エストロゲンの減少によりひどくなる場合があると知りました。更年期の症状は、ストレスが強いと余計に自律神経が乱れて重くなるそうです。また、几帳面、神経質、完全主義などの性格も更年期症状の悪化に影響します。

 

治療法の一つ、薬で減少しているエストロゲンを補う「ホルモン補充療法(HRT)」は、11年前はまだ、乳がん発生のリスクが上がるから怖いというイメージがありました。しかし、喫煙や肥満のほうがリスクは大きく、きちんと使えば「症状改善のメリットのがある」とのことで、私は、乳がん検査・子宮体がん検査を定期的に受けていきながら、 HRTを始めようと思いました。このとき49歳でした。

 

ホルモンはどうやって補充する? 錠剤、ジェルやテープなどから選べるが

ホルモン補充療法は、「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の両方を補充します。手術などで子宮を摘出した人はエストロゲンのみでOKです。

 

対馬先生のクリニック、対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座の診察では、丁寧なカウンセリングとHRTを受けられるかどうか検査を受け、薬剤は先生と何にするか決めました。エストロゲン製剤には、飲み薬(錠剤)、貼り薬(パッチ・貼付剤)、塗り薬(ジェル剤)の3種があります。

 

まずはエストロゲンの投与からということになり、薬は、貼り薬のエストラーナテープ0.72mgを二日に1回、お腹に貼ることになりました。すると、私の場合は幸運にもホットフラッシュや寝汗に対してすぐに効果が。多汗の不安がなくなったことで、ぐんと気が楽になりました。気分の落ち込みや不眠などメンタルの症状は続きますが、息切れは軽減し、しぼんでいた風船がまた膨らんだかのように気持ちに張りが出て、仕事への意欲が湧いたのをよく覚えています。

 

半年後から、子宮体がんのリスクを抑えるために、エストロゲン製剤に加えて黄体ホルモン製剤も併用することになりました。エストロゲン製剤は塗り薬のディビゲル1mgに変更し、毎日、太ももに塗り広げました。黄体ホルモン製剤はプロベラ錠2.5mgに。月に11日間服用する「周期的投与法」でした。

 

現在は、エストロゲン製剤ジュリナ錠0,5mgと、黄体ホルモン製剤エフメノカプセル100mgに。エフメノカプセルは昨年11月より発売された最新の天然型黄体ホルモン製剤で、乳がんのリスクがより下がるとされています。眠気を誘う作用があるため寝る前に服用。薬は、年齢やその時の体調や服用しやすさで、先生と話して変えていきました。

左・エストロゲン製剤のジュリナ。右・天然型黄体ホルモン製剤のエフメノ。保険適用、この組み合わせでおよそ1か月3000円前後の自己負担。

 

▶【後編】葉山さん、HRTを続けていると、いつ閉経したのかがわからないのでは?どう閉経を判断しましたか?

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